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おまけ
とある腐女子の華麗な日々・いち※
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「…買った…ッ…!」
予約して良かったと、私は今しがた出て来た店の入り口をを振り返る。そこには、予約キャンセルに一縷の望みを持つ亡者達が、十人程並んでいた。因みに、全員男だ。
多分、普段のノリで、予約しないでも買えると思ったんだろうな。
しかし。
君達が待つコレは、BLなのだよ。
私を始めとした腐女子達は、欲しい物は必ず予約をする。特典が付かなくても、必ずする。何がなんでもするのだ。マイナー過ぎて、重版が掛からない物も、時にはある。それで涙を流した事は数知れない。だから、気になる物は予約。目に付いたら即買いだ。その為に、日々働いているのだから。
『君色の風(裏)』
それが、私が買ったゲームのタイトルだ。"裏"と言うからには、当然表もある訳で。それは、大人の男の子向けの物となっている。内容は、主人公が五人居るヒロインの中から一人を選び、そのヒロインと力を合わせて世界を救うと云う物だ。まあ、世界を救うなんてのはおまけで、メインは恋愛でえろえろの方なんだけど。
え? 何で腐女子のくせにそんなの知っているんだって? まあまあ、落ち着きなさい。
当然、こんなゲームが発売された事なんて、私は知らなかった。けど、発売してから時間が経過して、クリア報告が上がって来た頃から、ちょっと、いや、かなり、様相が変わって来た。
曰く。
隠し攻略キャラは男だと。
ガンガンやりまくっていると。
しっかりと、その絵もあると。
そんなのがSNSに上がって来て、炎上もすれば、当然、気になる訳で。
そうなれば、調べるのが人間と云う物だ。
息を吸うように調べたよね。
シナリオは、小説家でもある、田中征爾。
キャラデザは、乙女座。
ムービーも、当然、乙女座。
と、なれば、もう、これは…っ…!
って、鼻息を荒くした。
田中征爾は、BLも書く。乙女座は、BLアニメで有名な人気処のアニメ制作会社だ。
それを知った私は、バナナブックスに走った。腐女子の私が、男の子向けのエロゲを買いに。男の子の群れに突っ込み、ガシッと残り一本だった『君色の風』を手に取った。女のくせにエロゲ? と、思われても構わない。そこに欲しい物があるから買うだけだ。
そして、私は泣いた。
苦労して、隠し攻略キャラのケタロウのルートに入ったのに、最初にバッドエンドを見ないと、ハッピーエンドは見られないと云う、鬼畜仕様に泣いた。
しかも、それは主人公のメゴロウが、ケタロウをメッタメタの串刺しってか、ハサミで身体をちょん切ると云う、とんでも死だ。
酷い。
田中サンは悪役贔屓で、とにかく悪役を殺すのが好きだ。病気かよ! って、言いたいぐらいに、とにかく悪役を殺す。その悪役にとんでもない人気があったとしても、サクッと殺す。とにかく殺す。何が何でも殺す。やたらめったら殺す。しかし、BLを書き出して、ちょっとはそれが大人しくなったかな? って、思ってたのに、やっぱり殺すのか、畜生。田中の鬼め。あいつには人の心が無いのか。悪魔だ。
っと、いけないいけない。
田中の悪口は置いといて。
まあ、そんな鬼畜仕様を乗り越えて、ゾンビマウス達も乗り越えて、らぶらぶなハピエンを見た…多分…。…ケタロウ…ゾンビになってたけど…それも、メゴロウにゾンビにされてたけど…。まあ、メゴロウが満足したトコで、人間に戻ってたし…メゴロウにゲンコツくれてたけど、メゴロウ嬉しそうだったし…そんなメゴロウに『…本当に君は仕方がないね…』なんて、ケタロウは甘く蕩けそうな微笑みを浮かべてキスするし…何だかんだで、夏休みにメゴロウの実家に行くって話して…うん、まあ、ハピエン…多分…。
ま、まあ、それは当人達の問題なので、脇へぶん投げて。この『裏君』へと話を戻そう。
この『裏君』は、ケタロウが主人公なのだ。公式から発表されているのは、五人の攻略キャラと三人の隠し攻略キャラだ。まず、メインの五人は、何と生徒会役員どm…生徒会のメンバーだ。そう、生徒会! 私の推しの生徒会長が居るのだ!『表君』で、ケタロウにやたら絡んで来て、何だこいつ…って、思ってたけど…気が付いたら、生徒会長スキーになっていた。きっと、田中も好きだったんだと思う。それぐらいに、良いキャラだった。その、生徒会長を恋人に出来る! と『裏君』の発売が出た時は舞った。舞いに舞った。てか"製作"発表ではなくて"発売"発表に、最初から『裏君』を出す気満々だったんだと思った。だから、乙女座を使ったのかと。きっと、これはじきにアニメ化発表があってもおかしくはない。いや、ある。絶対ある。円盤は予約必須だ。
そして、ちょっぱやの梅雨明け宣言をした炎天下の中車を走らせてアパートへと帰り、ノートパソコンを起動させ、クーラーも入れて、おつまみとビールも用意して、万全の体制で私は『裏君』に挑んだ。今日は水曜日だが、この日の為に三日間の有給休暇を取ってある。そう、すなわち、日曜日まで『裏君』三昧の日々を送る事が出来るのだ。
「…ふふふ…待っていなさい生徒会長! 速攻で落としてあげるからねっ!!」
予約して良かったと、私は今しがた出て来た店の入り口をを振り返る。そこには、予約キャンセルに一縷の望みを持つ亡者達が、十人程並んでいた。因みに、全員男だ。
多分、普段のノリで、予約しないでも買えると思ったんだろうな。
しかし。
君達が待つコレは、BLなのだよ。
私を始めとした腐女子達は、欲しい物は必ず予約をする。特典が付かなくても、必ずする。何がなんでもするのだ。マイナー過ぎて、重版が掛からない物も、時にはある。それで涙を流した事は数知れない。だから、気になる物は予約。目に付いたら即買いだ。その為に、日々働いているのだから。
『君色の風(裏)』
それが、私が買ったゲームのタイトルだ。"裏"と言うからには、当然表もある訳で。それは、大人の男の子向けの物となっている。内容は、主人公が五人居るヒロインの中から一人を選び、そのヒロインと力を合わせて世界を救うと云う物だ。まあ、世界を救うなんてのはおまけで、メインは恋愛でえろえろの方なんだけど。
え? 何で腐女子のくせにそんなの知っているんだって? まあまあ、落ち着きなさい。
当然、こんなゲームが発売された事なんて、私は知らなかった。けど、発売してから時間が経過して、クリア報告が上がって来た頃から、ちょっと、いや、かなり、様相が変わって来た。
曰く。
隠し攻略キャラは男だと。
ガンガンやりまくっていると。
しっかりと、その絵もあると。
そんなのがSNSに上がって来て、炎上もすれば、当然、気になる訳で。
そうなれば、調べるのが人間と云う物だ。
息を吸うように調べたよね。
シナリオは、小説家でもある、田中征爾。
キャラデザは、乙女座。
ムービーも、当然、乙女座。
と、なれば、もう、これは…っ…!
って、鼻息を荒くした。
田中征爾は、BLも書く。乙女座は、BLアニメで有名な人気処のアニメ制作会社だ。
それを知った私は、バナナブックスに走った。腐女子の私が、男の子向けのエロゲを買いに。男の子の群れに突っ込み、ガシッと残り一本だった『君色の風』を手に取った。女のくせにエロゲ? と、思われても構わない。そこに欲しい物があるから買うだけだ。
そして、私は泣いた。
苦労して、隠し攻略キャラのケタロウのルートに入ったのに、最初にバッドエンドを見ないと、ハッピーエンドは見られないと云う、鬼畜仕様に泣いた。
しかも、それは主人公のメゴロウが、ケタロウをメッタメタの串刺しってか、ハサミで身体をちょん切ると云う、とんでも死だ。
酷い。
田中サンは悪役贔屓で、とにかく悪役を殺すのが好きだ。病気かよ! って、言いたいぐらいに、とにかく悪役を殺す。その悪役にとんでもない人気があったとしても、サクッと殺す。とにかく殺す。何が何でも殺す。やたらめったら殺す。しかし、BLを書き出して、ちょっとはそれが大人しくなったかな? って、思ってたのに、やっぱり殺すのか、畜生。田中の鬼め。あいつには人の心が無いのか。悪魔だ。
っと、いけないいけない。
田中の悪口は置いといて。
まあ、そんな鬼畜仕様を乗り越えて、ゾンビマウス達も乗り越えて、らぶらぶなハピエンを見た…多分…。…ケタロウ…ゾンビになってたけど…それも、メゴロウにゾンビにされてたけど…。まあ、メゴロウが満足したトコで、人間に戻ってたし…メゴロウにゲンコツくれてたけど、メゴロウ嬉しそうだったし…そんなメゴロウに『…本当に君は仕方がないね…』なんて、ケタロウは甘く蕩けそうな微笑みを浮かべてキスするし…何だかんだで、夏休みにメゴロウの実家に行くって話して…うん、まあ、ハピエン…多分…。
ま、まあ、それは当人達の問題なので、脇へぶん投げて。この『裏君』へと話を戻そう。
この『裏君』は、ケタロウが主人公なのだ。公式から発表されているのは、五人の攻略キャラと三人の隠し攻略キャラだ。まず、メインの五人は、何と生徒会役員どm…生徒会のメンバーだ。そう、生徒会! 私の推しの生徒会長が居るのだ!『表君』で、ケタロウにやたら絡んで来て、何だこいつ…って、思ってたけど…気が付いたら、生徒会長スキーになっていた。きっと、田中も好きだったんだと思う。それぐらいに、良いキャラだった。その、生徒会長を恋人に出来る! と『裏君』の発売が出た時は舞った。舞いに舞った。てか"製作"発表ではなくて"発売"発表に、最初から『裏君』を出す気満々だったんだと思った。だから、乙女座を使ったのかと。きっと、これはじきにアニメ化発表があってもおかしくはない。いや、ある。絶対ある。円盤は予約必須だ。
そして、ちょっぱやの梅雨明け宣言をした炎天下の中車を走らせてアパートへと帰り、ノートパソコンを起動させ、クーラーも入れて、おつまみとビールも用意して、万全の体制で私は『裏君』に挑んだ。今日は水曜日だが、この日の為に三日間の有給休暇を取ってある。そう、すなわち、日曜日まで『裏君』三昧の日々を送る事が出来るのだ。
「…ふふふ…待っていなさい生徒会長! 速攻で落としてあげるからねっ!!」
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