星の守護龍 ~覚醒と混沌へのカウントダウン~

雪月 光

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1章~石版の伝承~

7.~魔王の帰還2~

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ジンは地下の大浴場へと向かう。
衣服を脱ぎ中へ入ると3人の王専属の従者がジンを待っていた。

「王、羽根を…」

ジンは言われるまま6枚の翼を広げると辺りには抜けた黒い羽が散らばった。
優しく洗われ3人はブラッシングも慣れた手つきでしていく。正直くすぐったい…。
気持ちよさそうに目を瞑りされるがままになる。羽はある意味急所だと思う…優しく触れられると変な感じだ、麻痺してくるような…不思議な感じ。

「終わりました」

「…ありがとう」

羽を仕舞い3人を下がらせ1人湯船につかる。
湯にたくさん浮いている高濃度の魔石を1つ摘み上げ口に運び、飴でも舐めてるかのように舌で玩んだ後、ガリッと噛み砕いて飲み込んだ。
途端に体中に魔力が広がり力が漲る。湯に溶け出した大量の魔力も浸かっているうちに体に染み渡り力が漲ってくる。
ジンは蒼い湯に浸かり静かに目を閉じる。
浴場の奥にある巨大な蒼い水晶が光を集めて煌いた。

”ジオティリアン”

「…・!」

何故かその名で呼ぶのはただ1人だけ。
魔界を創造し魔王を選び見守る最も尊い存在。

「魔神…ガディ様」

歴代の魔王を選抜しその王にだけ姿を見せ、触れることが許される。
全ての魔物が生まれ出たときより魂が渇望し求めるが、見ることも触れる事もできない存在。
湯船から出てジンは奥の蒼い水晶の下へ歩いていく。
水晶の前には漆黒の髪と紫電の瞳を持つ男が立っていた。

「ガディ様…ッ」

ジンは目の前のガディ跪いた。

「1度は祝福(洗礼)は受けました、なのに何故?」

『…この世界に、よくないものが入り込んでいる』

そういいながらガディは濡れて目を覆っているジンの前髪を優しくかき上げ、頬に触れる。
ジンの深紅の瞳とガディの紫電の瞳の視線が交わる。

『再び、その身、心‥魂…我に委ねよ』

そう耳元で囁かれジンは体の力が抜けガクッと膝を折りその場に崩れてしまった。
強い媚薬でも飲まされたように視界が虚ろになりながらも、ガディを見上げる。
紫電の瞳は、心の奥をも見透かされて全て暴いて行く様な強い何かを感じさせる。
ガディの冷たい手がジンの胸に触れるとジンはビクッと体を震わせた。

『何も心配要らない、全て我に委ね、眠るがいい』

「…ふぅ…ッぁ…」

ガディの手がジンの胸の中に深く入り込むたびに、声にならない声が漏れ口の端から唾液が零れる。
体の奥、穢れた心までも見透かされていくように魂が暴かれていく。

「ッぁ…ガ‥ディ…様…ぅ、ぁッ…」

ある一点に触れたときジンはクタリと意識を手放した。一番最深部の触れられたくないだろう大切なところ…。

『…ジオティリアン…』

すっかり冷え切ったジンの胸から腕を抜き、ぐったりしているジンを静かに見下ろした。
何か魂に刻まれている。
それが何かなのはわからない、よくないものだという事だけは理解できる。
暫くすると異変に気付いたのか3人の従者が浴室に入ってきた。

「王?!」

慌てて駆け寄り辺りを警戒するように見回してから、ジンを抱き起こし軽く揺さぶってみる。

「どうなさいました?!」

返事はない、硬く閉ざされた瞼に冷え切った体。
ガディは静かに姿を消しジンは従者が持ってきた白いタオルに身を包まれ気を失ったまま部屋に運ばれていった。

ガディ様…ッ

暗闇の中手を伸ばし何かを掴もうともがく。いくら手を伸ばしても虚無しかつかめない。
ふと暖かい光が現れて、必死にそれを掴むと暗闇が嘘のように晴れて光に包まれた。
それとほぼ同時に現実に引き戻され目を開けると、すぐに自分が掴んだものを確認する。
…手?…
手の主を確認する。
よく見覚えのある…いつも自分の横に居る…ああ…。
思わず笑みが零れる。
ジンの手をしっかりと握ったままスヤスヤと眠るよく見慣れた顔がそこにはあった。

「…麻衣」

静かに名を呼んだ。

「ぅ‥ん」

麻衣は静かに瞼を開け、ハッとしたようにジンを見据えた。

「大丈夫?!お風呂で倒れたって聞いたけど!のぼせたの?!」

そんなわけないだろうと、苦笑するジンに麻衣は安堵の息を吐く。
いつものジンだ。

「心配かけてすまなかった」

麻衣は横に首を振り苦笑しながら答えた。

「ティリルさんが慌てて起こしにくるし、城の中は騒ぎになっているし吃驚したんだから」

ジンは握られている手に再び視線を向けると、麻衣もその視線に気付いて慌てて弁解をする。

「な‥なんか魘されてて…、何か掴もうとしてから…思わず…」

気まずそうにジンから視線をはずした。

「…ありがとう」

ジンは小さく呟き再びベッドに体を埋めた。

「ジン?」

「…一緒に寝るか?」

「え?!」

麻衣が返事をする前に握っていた手をグイッと引っ張られジンの腕の中に倒れこんでしまった。

「え、ジン?!ちょっとッ!」

ギュっと抱きしめられ、必死にもがく麻衣にお構いなしにジンは静かに再び目を瞑る。
私は抱き枕じゃない!!内心突っ込みつつ、安心しきった寝顔のジンを見て苦笑し麻衣もそのまま静かに目を閉じた。
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