星の守護龍 ~覚醒と混沌へのカウントダウン~

雪月 光

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1章~石版の伝承~

27.~4神守護獣~

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「全てそろった!邪魔をする者はもうない!」

手にした魂石を傾けその煌きをみつめる。
洞窟周辺の状況全て見えていた。
ユシカとヴィルの死闘、ゼアルの動向と他の者の動き。
石版に手にしていた魂石を入れようとしたときだ、入り口のほうから何かが近付いてきている。

「…もう少しお預けのようだ…」

やってきた相手を見て、アルゼオンはクスクスと笑った。

『王をかえしてもらおうか?』

「これはこれは…守護獣が単独で現れるとは…」

『お前が触れていい存在ではない…軽々しく王を穢す事赦さぬ』

アルゼオンはニヤリと口元に笑みを刻んだ。
左手には黒い炎が燃え盛り、飛び散った炎がウォルベガを攻撃する。

「邪魔するものは、何であろうと…消すだけだ」

激しい技のぶつかりあいが続く。

『大いなる力は…破滅しか齎さぬ!』

「それは過去の臆病者の戯言だ!!」

『愚かな…魔術極めたとて、所詮人間…それは変えられぬ事実だ』

「黙れ!!!」

一段大きな炎の塊をウォルベガ目掛けて投げつけた。

『ぐぅ……ッ』

「!!ウォルベガ!!?」

駆けつけたウォイドの目の前でウォルベガは細かい水の泡となって辺りに散った。

「遅かったようだな?だが、次々と雑魚が…邪魔ばかり…!!」

苛立ちを隠せずにアルゼオンはウォイドを睨み付けた。

「後は俺とお前だけのようだ…終わりにしてやる…」

ウォイドが静かに水を纏った剣を手に取った。

「丁度いい…跡形もなく消してやろう!」

黒い暗黒の力が全てを飲み込む。
アルゼオンが放った黒い玉の攻撃は、触れた物を空間ごと消滅させた。
洞窟の壁が消滅していく。

「……闇に墜ちた魔術師が…ッ」

「黙れ…ウロチョロと…まずはその足からだ…!」

辺りに放った黒い玉が一斉にウォイドの右足に纏わりつき、右足を空間ごと削り取っていく。

「うああああぁぁッ!!」

「いい声で啼く…」

クスクス微笑み、ウォイドに近付いていく。

「………」

「次は何処がいい?腕か?その耳か?」

隙を窺うようにウォイドはアルゼオンの持つジンの魂石の奪還を狙う。

「!」

一瞬の隙を突き、ウォイドはアルゼオンから魂石を奪い取ると、飛んでその場を逃げようとした。

「愚かな!!」

飛んできた黒い玉が腕や腹を突き抜けてきえた。

「ぐぁ…ッ」

失った腕が手にしていた魂石が転げ落ちた。

「…甘い…その存在ごと消し去ってやろう」

「そうはさせない」

ウォイドは自分の全魔力を込めて願う、守護獣達を…ウォルベガとしか契約はしてないけど…4神守護獣全てを…この地に…この身と全魔力を捧げる代わりに…。
古い伝説では4神守護獣を同時に同じ場所に召喚すると奇跡が起こるとか…誰も呼ぶことが出来ないから…そういうデマが流れたのかもしれない。だけど今はそれにしか…一か八か…懸けてみる価値はあるだろう?

「何をする気だ?!」

辺りの振動させるほどの魔力の渦がウォイドを取り巻く。
意識が引きずられる感覚。気付くと真っ白い空間にいた。

”ウォイド…なんて無茶を…”

すける水色の体緑の目に硬い鱗をもつ水龍ウォルベガ…。

”我らを呼ぶのはお前か?”

紅い灼熱の炎を身に纏った紅き瞳の獣…ファルガド。

”愚かな…その身が持たぬのではないか?”

薄い水色の羽毛と長い尾をもつ巨大な風鳥…ディオルム。

”何を望みわし等の力を求める?代償はでかかろう?”

白い4枚の羽根を持つ天使のような姿で、両手には虹色の宝玉…アルフォリス。

4匹の守護獣がウォイドを囲むように其処にいた。

『俺の体も全魔力も捧げる、どうか…王を救って欲しい…4神守護獣は奇跡を起こすと…信じたい…』

”…死を覚悟してまでも尚我らを求めたのだな?”

ファルガドが紅い目を僅かに細めてウォイドを見据えた。

”その魂ごと消滅してしまうかもしれない…それでも…?”

アルフォリスが静かに問う。

『ああ…俺はどうなってもいい……』

”兄を助けたいと望まぬのか?”

ディオルムが口を開いた。

『…兄も…俺と同じことをするはずだ…きっと分かってくれる』

苦笑しうかばない。

”ウォイド……主は本当に馬鹿だ…その身で……”

『仕方ないだろう?これしか…思い浮かばなかった…』

”我らは汝の望みをかなえ、汝の全てを代価に…召喚に応じよう…”

4神守護獣が同時に口にした。

『ありがとう…』

白い空間が消え、現実に戻された。

「何をした?!!」

慌てた様子のアルゼオンが見えた。

辺りには凄まじい力が渦を巻き、先ほど目にした守護獣達がその巨大な姿を同時に現した。

「なッ!!その体で…何故!!4匹同時などありえない!」

「……後は…たの…む」

ウォイドはグラリとその場に崩れ、次第に白い炎に焼かれその身と魂は消滅した。

『代価確かに受け取った…』

「!!?」

4匹の守護獣はアルゼオンを睨むように見据え、各自が得意とする技をアルゼオンに向けてから、地に落ちているジンの魂石の中へと次々に消えていく。
全て消え終わった後、アルゼオンはそれを拾い上げて笑う。

「これの中に入るとは…鍵と共に消えるがいい!!」

石版に手にしていた魂石を押し付けた。魂石は石版に吸い込まれ中に消えたが、解放された形跡がない。何の反応も…。

「……なんだと?どういうことだ?!」

”王”

「誰だ…俺を呼ぶのは…」

”我らは4神守護獣…貴方が創った存在”

「知らない…それよりも…此処は?」

”石版の中…”

「!!…」

”だけど…まだ間に合う…”

「どういう…?」

”今はまだ、我らがいるから石版は解放されていない…”

「……俺は…どうすれば?」

”それを決めるのは貴方だ…王、何を望む?”

「望み……誰も死なせたくない…」

”時間がない…早く望みを…”

「……過去へ…そして石版を…全ての元凶の石版を破壊したい!」

”時空を渡る代価は大きい、未来を変えるとなると更に…”

”今の地位、その力、係わった全ての者からの貴方に関する記憶の消滅、…少なくともそれは覚悟せねばならない”

「……」

正直きつい…だけど、大切な者を失うほうがもっと…。それなら自分1人だけ苦しめばいいのなら…その代価…甘んじて受けよう。

”その覚悟はおありか?”

「ああ…」

”今の貴方を飛ばすことは出来ない…少し前の貴方を…過去へ誘います”

「……過去の自分を信じるしかないな…」

苦笑するジンに守護獣たちはいう。

”過去の貴方が未来を変えるそのときまで、今のこの時を耐えれますか?”

”魂石に刻まれた鍵が石版解放するのを阻止するという契約の苦痛に…意識を保ち、耐えることが出来るか…?”

”耐えられなければ、未来を変えるなどということは出来ない…”

”石版は解放してはいけない、苦痛に耐えれることができるか?”

「……努力はする…」

苦笑してジンは4神守護獣達を見据えた。

「ありがとう……過去の俺に…よろしく…」

”未来が変わるまで…耐えるのだ…”

4神守護獣たちがその場から消えると、いきなり辺りは真っ暗闇へとなった。

ドクン…

「ぐッあぁぁッ……」

瞬時に体が切り裂かれていくような…細胞が少しづつ侵食されて破壊されているような…激しい痛みが襲った。
大きく目を見開いたまま、体を抱きかかえ、激痛に必死に耐えた。
こんな苦しい激痛きいてない…、これに耐えろだと?無茶を言う…今にも意識が遠のきそうだというのに…。

「ああああぁぁぁぁッ!!」

体を抱えた腕が、痺れて余計に意識を侵して行く。
しゃがみこんで、荒く呼吸を肩で繰り返す。
大きく開けた口から唾液が零れる。

「ぅ…く…るし、ぃ」

涙が零れる、息が詰まりそうになり、咳き込んで体を抱きかかえたまま丸くなる。

「ぁ…ぅぁあ゛ぅ…ふ、ぐぅ」

石版に鍵ごと魂石を明け渡したなら、楽になれるのだろう…。
だけど、失った大切な者たち…石版に係わり不幸になった者…彼らに償わなければ…彼らの痛みに比べれば…これくらい…耐えてみせる…。
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