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2章~時の契約~
10.~新たな力を求めて~
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この間の事件があってから、真紀はなにやら思いつめたような表情をしていた。
結衣を助けたいと思っているのに、もしあの場にいても何もできない役立たずだったのだろう・・・。自分には友達や自分自身を守れる”力”と呼べるものがないから・・・。
結衣にはジンがいるのに・・・。自分は・・・
結衣が奥のキッチンでリンゴの皮むきをしていた時だった。
「あの・・・」
真紀がジンとリアンを食い入るように見据えた。
「どうしたの?」
すぐにリアンが不思議そうに真紀を見つめ返した。
「私も、捕縛じゃなくて・・”契約”・・・したい・・・」
「・・・・”何の為に”力を求めるのか・・・強い意志はあるのか?」
試すかのようにジンは真紀を見つめた。
「・・・」
真紀は静かに頷いた。
ジンはため息を吐いて苦笑した。
「学院のような大掛かりな魔方陣は描けない・・・それに、授業とやらで召喚をして、誰も声に応えてないのだろう?」
痛いところを突かれて真紀は黙った。
「ならさ、直接行って捕まえてくればいいよ」
リアンがサラリと大それたことを言った。
人間が魔界に?無謀すぎる・・・狼の群れに手負いの羊を放り込むようなものだ・・・。
「・・・・・・危険すぎる・・・」
「呼んでもこないなら、それしかないじゃないか・・」
リアンとジンは考え込むように俯いていて、真紀は黙ったまま動かない。
「危なくなったら僕たちが、助けに入ればいいよ」
「・・・一緒に魔界に行くということか?」
「うん、一番手っ取り早くて安全」
「何の話?」
いきなり結衣が話に割り込むように後ろから顔を出した。
「わぁ!?」
吃驚したリアンが大きな声を出した。
「え?!」
その大きな声に吃驚して結衣は手にしていたリンゴが宙に舞い、無理に拾おうとした体はバランスを崩して倒れる。
棚の角に危なく後頭部を打ち付ける寸前でジンに腕を引っ張られ助けられた。
「何をしている・・・・」
結衣は引っ張られたままジンの腕の中に抱きかかえられる形になった。
「吃驚したぁ・・・」
そういう結衣にジンは溜息を吐いた。
「吃驚したのはこっちだ・・・・」
まったく、少し目を離すとこれだ・・・厄介な呪いを掛けられたものだ・・。自分がいることで不幸になるが離れるわけにもいかないから、四六時中目を離すわけにはいかなくなった。
常に周りに気を張り巡らせるというのは正直結構しんどい・・・。
「真紀の守護者を探しに魔界へ行こうの旅!」
リアンが楽しそうに口にした。
「・・・」
まったく・・・苦労が耐えない。
「どうやっていくの?」
結衣の問いにリアンが自信満々に答えた。
「”異世界への扉”の鍵を僕もジンも持ってるからいつでも開けられるんだ」
「異世界への扉の鍵?」
「その辺の普通の魔物は決して手に入れられない世界間の渡りの力!消耗は激しいけど・・少しなら開けれるよ!」
「・・・・狭間で逸れたら何処に出るか分からないから・・・気をつけろよ?」
念を押すように後ろではしゃぐ結衣を見つめた。
当の結衣は真紀と目を輝かせて話をしていて聞いてないようだ。
「・・・・」
「じゃ、いっくよー!」
何か呪文のようなものを唱えると空間に穴が出現した。
奥を覗き込むと、真っ暗でいかにも異次元って感じがする。
足元には細い光の道があった。
「・・・なんか怖い」
結衣が呟く。
「道細くて、足元怖いね・・・」
結衣の前を歩く真紀が言った。
「・・・ぅん・・・」
そういって確認するように足元を見てしまった。
「ッ・・・・・ぅ・・・」
足元の細い光道の両端は底が見えない暗闇だ。
一気に恐怖が全身を駆け上がった。
足が竦んで、震えがとまらなくなった。
前を行く真紀もジンもリアンもそんな様子の結衣に気づいてない。
「早くわたってね・・・そろそろ力が・・・」
リアンが怖いことを呟いた。
ただでさえ細い道が来た後ろのほうから崩れていっていた。
「!!」
これには声も出なかった。
まだある道さえぐにゃりとゆがみ始めた。
「・・・リアン・・もう少し頑張れ・・・」
「そ、そんなこといっても、この人数を・・・こんな長い時間空けてたのなんてなかったから・・・・・」
走るように指示して、リアンを抱えたジンと真紀は出口まで走った、出口はだいぶ小さくなっていた。
「あれ?結衣が出てこない?」
ここで始めて気が付いたようにリアンが指摘した。
「・・・・・まさか・・・・」
「つれてくる!」
そういってジンは異次元の来た道へ引き返していった。
忘れていた・・・トラブル体質のことを・・・・。
「結衣!」
「ぁ・・・ジン・・・」
まだどうにか道の上にはいるようだった。
「そこを動くな・・・今行く」
「あ・・・あの・・、ね・・・・」
怯えきったようでしゃがみ込んでいた結衣は必死で声を絞る。
慣れた様子でジンはすたすたと結衣のほうへ歩いていく。
「・・・?」
もう少しで結衣に手が届くという距離で結衣の足元の道がぐにゃりと大きく揺らいでから消えた。咄嗟に手を伸ばしたジンの手をすり抜けるように結衣は次元の底へ落ちていった。
「きゃっぁぁ・・・」
「結衣!!!」
「ジン・・出口が閉じてしまう!」
リアンが叫んだ。みるともう出口がもうぎりぎり通れるか通れないかの大きさまで小さくなっていた。
「・・・・必ず探し出すから・・・それまでどうか無事でいてくれ・・・」
暗い闇の中に落ちてもう姿が見えなくなった結衣、暗闇にむけて悔しそうに呟きジンは急いで扉をくぐった。
結衣を助けたいと思っているのに、もしあの場にいても何もできない役立たずだったのだろう・・・。自分には友達や自分自身を守れる”力”と呼べるものがないから・・・。
結衣にはジンがいるのに・・・。自分は・・・
結衣が奥のキッチンでリンゴの皮むきをしていた時だった。
「あの・・・」
真紀がジンとリアンを食い入るように見据えた。
「どうしたの?」
すぐにリアンが不思議そうに真紀を見つめ返した。
「私も、捕縛じゃなくて・・”契約”・・・したい・・・」
「・・・・”何の為に”力を求めるのか・・・強い意志はあるのか?」
試すかのようにジンは真紀を見つめた。
「・・・」
真紀は静かに頷いた。
ジンはため息を吐いて苦笑した。
「学院のような大掛かりな魔方陣は描けない・・・それに、授業とやらで召喚をして、誰も声に応えてないのだろう?」
痛いところを突かれて真紀は黙った。
「ならさ、直接行って捕まえてくればいいよ」
リアンがサラリと大それたことを言った。
人間が魔界に?無謀すぎる・・・狼の群れに手負いの羊を放り込むようなものだ・・・。
「・・・・・・危険すぎる・・・」
「呼んでもこないなら、それしかないじゃないか・・」
リアンとジンは考え込むように俯いていて、真紀は黙ったまま動かない。
「危なくなったら僕たちが、助けに入ればいいよ」
「・・・一緒に魔界に行くということか?」
「うん、一番手っ取り早くて安全」
「何の話?」
いきなり結衣が話に割り込むように後ろから顔を出した。
「わぁ!?」
吃驚したリアンが大きな声を出した。
「え?!」
その大きな声に吃驚して結衣は手にしていたリンゴが宙に舞い、無理に拾おうとした体はバランスを崩して倒れる。
棚の角に危なく後頭部を打ち付ける寸前でジンに腕を引っ張られ助けられた。
「何をしている・・・・」
結衣は引っ張られたままジンの腕の中に抱きかかえられる形になった。
「吃驚したぁ・・・」
そういう結衣にジンは溜息を吐いた。
「吃驚したのはこっちだ・・・・」
まったく、少し目を離すとこれだ・・・厄介な呪いを掛けられたものだ・・。自分がいることで不幸になるが離れるわけにもいかないから、四六時中目を離すわけにはいかなくなった。
常に周りに気を張り巡らせるというのは正直結構しんどい・・・。
「真紀の守護者を探しに魔界へ行こうの旅!」
リアンが楽しそうに口にした。
「・・・」
まったく・・・苦労が耐えない。
「どうやっていくの?」
結衣の問いにリアンが自信満々に答えた。
「”異世界への扉”の鍵を僕もジンも持ってるからいつでも開けられるんだ」
「異世界への扉の鍵?」
「その辺の普通の魔物は決して手に入れられない世界間の渡りの力!消耗は激しいけど・・少しなら開けれるよ!」
「・・・・狭間で逸れたら何処に出るか分からないから・・・気をつけろよ?」
念を押すように後ろではしゃぐ結衣を見つめた。
当の結衣は真紀と目を輝かせて話をしていて聞いてないようだ。
「・・・・」
「じゃ、いっくよー!」
何か呪文のようなものを唱えると空間に穴が出現した。
奥を覗き込むと、真っ暗でいかにも異次元って感じがする。
足元には細い光の道があった。
「・・・なんか怖い」
結衣が呟く。
「道細くて、足元怖いね・・・」
結衣の前を歩く真紀が言った。
「・・・ぅん・・・」
そういって確認するように足元を見てしまった。
「ッ・・・・・ぅ・・・」
足元の細い光道の両端は底が見えない暗闇だ。
一気に恐怖が全身を駆け上がった。
足が竦んで、震えがとまらなくなった。
前を行く真紀もジンもリアンもそんな様子の結衣に気づいてない。
「早くわたってね・・・そろそろ力が・・・」
リアンが怖いことを呟いた。
ただでさえ細い道が来た後ろのほうから崩れていっていた。
「!!」
これには声も出なかった。
まだある道さえぐにゃりとゆがみ始めた。
「・・・リアン・・もう少し頑張れ・・・」
「そ、そんなこといっても、この人数を・・・こんな長い時間空けてたのなんてなかったから・・・・・」
走るように指示して、リアンを抱えたジンと真紀は出口まで走った、出口はだいぶ小さくなっていた。
「あれ?結衣が出てこない?」
ここで始めて気が付いたようにリアンが指摘した。
「・・・・・まさか・・・・」
「つれてくる!」
そういってジンは異次元の来た道へ引き返していった。
忘れていた・・・トラブル体質のことを・・・・。
「結衣!」
「ぁ・・・ジン・・・」
まだどうにか道の上にはいるようだった。
「そこを動くな・・・今行く」
「あ・・・あの・・、ね・・・・」
怯えきったようでしゃがみ込んでいた結衣は必死で声を絞る。
慣れた様子でジンはすたすたと結衣のほうへ歩いていく。
「・・・?」
もう少しで結衣に手が届くという距離で結衣の足元の道がぐにゃりと大きく揺らいでから消えた。咄嗟に手を伸ばしたジンの手をすり抜けるように結衣は次元の底へ落ちていった。
「きゃっぁぁ・・・」
「結衣!!!」
「ジン・・出口が閉じてしまう!」
リアンが叫んだ。みるともう出口がもうぎりぎり通れるか通れないかの大きさまで小さくなっていた。
「・・・・必ず探し出すから・・・それまでどうか無事でいてくれ・・・」
暗い闇の中に落ちてもう姿が見えなくなった結衣、暗闇にむけて悔しそうに呟きジンは急いで扉をくぐった。
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