神が作った異世界でほのぼのする予定。

キツネバレー

文字の大きさ
48 / 58
4章 のんびり探索

5話 アラクネと私達と王都

しおりを挟む
乗り気で私達の街に来ると言ったアラクネ達を街へと送りニーナに任せた。

ニーナは「お任せ下さい」と濁った目で笑顔を浮かべていた。
本当に任せてよかったのだろうかと考えながら私とマオは王都へと向かう。

「また、街に人がふえたのう。ん?…人ではないか」
カカカと笑うマオ。

「どんどん街に人が増えてきたらどうしようかねー」

ふーむと考える。ほぼ私は街にいたが特になにもしていない。
街の守りも完璧だし、飯もうまい。特に私がいなくてもまわるようになっている。

「問題が起きそうだったら街に帰る感じでマオとずっと旅しててもいいかな」
といいつつマオを見た。

「そうじゃの。街にいても特にやることもないしな」
すこしご機嫌になったマオがニコッと笑った。



それから数日後、特にめぼしい街もなく王都へと着いた私達。


「おもったより遠かったね」
すこし疲れた私が言う。

「数日前旅をしてもよいと言ったお前を少し恨む」
思ったより疲れているマオが悪態をつく。

うーん、旅は思ったより疲れる…家が一番かも知れない。

気分を切り替え王都の門をくぐる。

「「おぉ」」
2人で王都の街並みを見て声を上げる。

中世ヨーロッパのような雰囲気ででかい城が遠いのに目立つ。

「ふーむ、おいお主よ。儂にもあれを作れ」
多分王城を指差すマオ。

無理だろ。掃除大変だぞあれ。
あれ…でもニーナとナツキの部下共だったら余裕そうだな…。

むむむと考えてると怒声が響く。


「おい!汚いガキが!ちゃんと前みてんのかぁ!」

恰幅がいいおっさんが孤児っぽい子供に向かって怒鳴り散らしている。
子供は俯いたまま何も答えず震えている。

可哀想に思えたので助けようとかけよる。


「まぁ待て」

女性の声が響く。

「子供が汚いのは事実だがお前がそこまで騒ぐ必要はない」

そう答えた女性は黒い甲冑に包まれていた。

「あれ?サーシャじゃん」
私は答える。


「むむ?エルか?どうしてここに」
少し声を高くして答えるサーシャ。顔は見えないが多分喜んでいる。
多分だが…

「おぉ…よく見たらマオもいるじゃないか久しいな」
少し平坦になった声で答えるサーシャ。

ふふん、私を見たときの方が声が高い絶対に喜んでいるだろう。

ふふふとニヤける私。

「おい、アホ面がすごいぞ」
マオが私の顔をみて引いた顔をしている。
そんなに引かんでもええやろ。


「おい!クソアマ共がなに井戸端会議してんだよ!!」
放置されていたおっさんが騒ぐ。

うるさいので黙ってもらおうと手に魔力を込めた時サーシャが手で私を制止した。

「私に任せろ」

そういったサーシャの鎧から紫色の煙がでていく。

「ここは引いたほうがいい」

サーシャからとんでもない圧を感じる。

「あやつ相当強くなっているのう」
マオが答えた。

強くなってるんだなぁとほのぼのしているとおっさんは何も言わずビビってダッシュで逃げていった。


紫の煙が消えたサーシャがこちらを向いた。

「王都だと人が多くてな、いざこざが増えて困るんだ」
サーシャは震えていた子供の頭を優しく撫でてそう答えた。

「サーシャも強くなってるんだね」
私はそう答えたあと大分背伸びをしてサーシャの頭を撫でた。

私は子供ではないとそっぽを向いたサーシャだったが、少し屈んだあとそのまま撫でられていた。
いつまでたってもかわいい奴め。


怯えていた子供は孤児院の子供だったらしく、サーシャと一緒に孤児院に行くことにした。

「少しではあるが孤児院に行っているんだ」
サーシャは子供と手をつなぎながら答えた。


「よくその見た目で怖がれられないね」


「ふふ、私もそう思っていたのだが子供には人気があるんだ」
ここだけはエルに感謝していると答えるサーシャ

「ただ、あまりにも鎧姿が人気でな…脱いで孤児院に行くとなんで着てないんだと怒られるんだ」
少し困ったような声を出すサーシャ。
ただ、嬉しそうな声である。


「ゾフィとユッテは?」

「今は宿にいるな。せっかくだから呼ぶとしよう」
サーシャが腰についたバードコール?のようなものに魔力を込めた。

するとふくろうのような見た目の鳥がサーシャに飛んできた。

「ゾフィとユッテを孤児院に呼んできてくれ」
そうサーシャがフクロウへ伝えるとフクロウはサッと飛んでいった。

「なにそれずるい」
ジーとサーシャを見る。

「ふふ、可愛い仲間なんだ。エルにだってマオがいるだろう」
笑いながらサーシャは答えた。


「儂はペットじゃないぞ」


ボソッと答えたマオだったが私はあまり否定もできなかったので何も言えなかった。


しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...