神が作った異世界でほのぼのする予定。

キツネバレー

文字の大きさ
56 / 58
4章 のんびり探索

13話 ドラちゃん

しおりを挟む
お腹を出したドラゴンを〈ヒール〉した。


「手が戻った!」

お腹を見せていたドラゴンは立ち上がり(クソでかい)小躍りを初めた。

「地面が揺れるからやめろ」
マオが睨む。


「しゅ…しゅいましぇん」
ピタッとおすわりするドラゴン。


「なんでこんなことしたの?」
私はドラゴンに聞いた。


「人間弱くて怪我しないから面白くて…つい」
ポリポリと爪で器用に頭を掻くドラゴン。

「もうしない?」

「しない!絶対しない!」

「ほんとに?」

するとワイバーンがドラゴンの上空を飛んだ。

ボワアアアアア

「ふふん、ヨルの方が強い」
口から炎が溢れながら自慢げなドラゴン。


「やりそうだから殺そう」
私はこのドラゴンは信じられない。

「ごめんなさい!もうしません!」
サッとお腹を見せるドラゴン。

こいつ……

「あんまり信じられないけどいいや…」
私は諦めた。


「じゃあ、住み家に帰りな…」

「え?それはちょっと嫌かも」

なんでだよ、帰れよ。

「1人でいても楽しくないから…」
シュンと落ち込んだドラゴンを見て、私は少し同情してしまった。

1人でいるのが寂しくて人間をからかって遊んでいたのだろう…。

やっていることは良くないが私達がアリの巣を荒らすのと変わらないのかもしれない。

あんまり信じられないしこれ以上なにかするのも困るし街に連れて行って見張っているのもいいのかもしれない。

「じゃあ、うちの街に来る?仕事はしてもらうけど」

「いいの!?仕事したい!してみたかったんだー!」
ウキウキのドラゴン。

こいつ本当に大丈夫か…


「じゃあ、私達は街へ帰るから、明日来るからこの辺で待ってて」
私がそう伝えるとドラゴンはボフンと煙をだした。


「ん?」

モクモクした煙がはれるとそこには小さな少女がいた。

「チッ…また女か…」

サーシャが舌打ちをした。

なんでそんな怖い声だすの…。


「ヨルもいく!」
そう元気に叫んだ少女。

その姿は真っ白な髪真っ白な瞳真っ白なワンピースで立派な2本の角と尻尾以外は可愛い少女だ。

「なんじゃ、こいつ少しエルに似とらんか?」
マオがジロっとドラゴンを見る。


「人になるときは人の真似をするの」
ドラゴンは答える。

なんで私を真似する。すんな

「真っ白で角と尻尾があるエルか…ありだな…」
ボソッと呟いたサーシャの言葉は誰にも届かなかった。


街に帰った私達。

サーシャはスノウを担ぎつつギルドへドラゴンを追い返したと報告しにいった。

うーん、マッチョだなぁ…。

そして、ドラゴンことヨルはさっきから大分落ち着きがない。

人に化けては街に侵入しようとしたこともあるらしいが、尻尾と角が目立つようで人を完璧に真似できるまでは入らないようにしていたようだ。


「あれはなんだ!あれもだ!これも気になる!」
キョロキョロと落ち着きのないヨル。


「うるさい」
ゴンと頭を叩くマオ。

その程度のダメージでは止まらないヨル。

「殺す」
マオが魔力を込めた。

「ごめんなさい」
路上で腹を見せて転がるヨル。

いじめているみたいだからやめてそれ。ほら皆見てるからやめて!


「こいつには常識というものを教えなければならん」
マオがそう呟いたが、お前が言うなと思った。


孤児院へ戻った私達は明日街へ移送するためにドラゴンにつけるカゴを作ることにした。


一気には運べなさそうだから50人ぐらい乗れればいいかな

ぼちぼち創造魔法で作っているとヨルとゾフィがこちらにきた。

「エルー何作ってんのー?」
ゾフィが声をかけてくる。

「カゴ作ってヨルに運んでもらうんだ」

「そんな大きいものヨルが運べるわけないじゃん」
ハハハと笑うゾフィ。

「ヨルだったら余裕だよ!見ててよ!」


「ちょ…」
嫌な予感がして慌てて止める。

止まらないヨルから煙がボフンとでる。


あーあ…。

そこには巨大なドラゴンいた。


「ひぃ…ドラゴンじゃん…」
私にしがみつくゾフィ。

「早く人に戻りなさい」

「はい」
ぼふん

「ほんとだね…ヨルなら運べそう…ハハハ」
そう引き笑いをするゾフィ


それを見たヨルは少し悲しそうな顔をした。

少し可哀想だと思った私はなんとかしようと考える。


無邪気なところみたらなんとかなるかも!


私はブーメランを作ってみる。

「みてみて」
私はブーメラン投げる。

シュルシュルと音を立てて空に飛んだブーメランは綺麗に私の手元に戻ってくる。


「なんだそれは!魔法か?」
ヨルが食いつく。

「こう縦に投げると戻ってくるんだよ」
そう教えながらヨルにブーメランを渡す。

「えへへ、こうかな」
そう言いながらブーメランの投げ方を真似しているヨルは子供のようで可愛かった。

ゾフィもそれを見てほっこりしている。

成功したようだ。


「じゃあ、いくよー!」
そう言ってブーメランを投げたヨル。


ものすごい勢いで飛んでいったブーメランは衝撃波を出しながら何処かへ飛んでいった。

孤児院の扉や窓が崩壊した。

「戻ってこないけど面白いね!あれ!」
ニコニコ顔のヨル


「す…すごいね…」
ドン引きのゾフィ。


うーん失敗である。




しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...