スレイヴイーター

鬼畜姫

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沈黙の聖女

愛を嘆いた祈り

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 夏、月明かりが照らす寝室は、切なさを募らせるほどに静かでした。
 豪華すぎる貴族の部屋は、奴隷のわたくし――マリア=クロスハートには広すぎて、ただただ持て余すばかり。

 ああ、どうしてこんなにも苦しいのでしょうか。

 あなたと触れ合える時間が過ごせるのであれば、この切なさも、胸の疼きも感じなくて済むというのに――。

 玉のような汗を吹き出し、薄紅色に火照る私の身体。
 寝苦しい夏のせいだと言い聞かせても信じるはずがありません。
 それはまるで蜜蝋みつろうのように、甘く溶け出している私の心が原因なのですから。

 ジュクジュク、ジュクジュクと……。

 男性を惹き付ける蜜が溢れ出て……。

 ああ、フリックさん……。

 私を今すぐ抱いてください。

 抱いていただけない理由を知っている今だからこそ、そんなしがらみを無視してくだされば、きっと私は息を荒くしてあなたの唇を奪うでしょう。

 はしたない女だと罵ってくれてかまいません。
 私はもう神の教えを説く聖女ではないのですから。
 ただの女として愛を求めてみたいのです。

 しかし、叶わぬ想い。

 私の願いを知って、努力した果てに諦めてしまったあなたへ再びお願いすることなどできるでしょうか。

 ああ、フリックさん……。

 私が信仰しているのは神ではなく、ましてやでもなく、あなたなのです。

 二十歳を過ぎても貞操を守ってきた、こんな哀れな生娘に慈悲をお与えください。

 あの日のように、熱くたぎるような紅蓮の瞳で――。
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