スレイヴイーター

鬼畜姫

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沈黙の聖女

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 弟子曰く、彼は最初に生まれた人間だった。
 弟子曰く、彼は最強の魔法使いであり、0番目の魔法の使い手として神が用意した世界の守護者だった。

 しかし、当の本人にその自覚はなく、着のみ着のまま『中つ国なかつくに』を旅していたらしい。

 そう、お気に入りの『とんがり帽子』を被って。
 ただ己の魔法の便利さに酔いしれながら。
 邪魔な森は焼き払い、深い川は蒸発させて渡る。
 当然、中つ国の動物を殺しながら、果実をもぎ取りながら、美味しいと思った物を食べた。

 だが、それで中つ国が崩壊したということは一度もなかった。
 なぜなら、彼は魔法で全てを甦らせながら旅を続けたからだ。

 それからようやく、そもそも魔法で肉を創造した方が早いと彼は気が付いた。
 結果、何でも魔法で作れると気が付いて、我々の先祖である人間まで創造してしまったのだ。
 
 その時。彼は既に年老いて、弟子ですら若かりし姿を見たことがないと言う。

 弟子曰く、この人間にとって空白の期間を『0の終末』と呼んだ。
 そう、我々人間の歴史は、彼――マーリンによって作り出されていたのである。

 それから、マーリンは至るところで人間の手助けをしてきた。
 秘密にしていた魔法の使い方を弟子に授け、十六番目の魔法まで開示した。

 その秘術アルカナと称される魔法は0番から二十一番まであった。

 十七番目以降の魔法は神にしか扱えず、マーリンですら『星』、『月』、『太陽』といった宇宙を御する魔法を扱うことは許されなかったらしい。

 しかし弟子曰く、無限の可能性を秘めた0番目の魔法だけは誰にも教えることがなかった。

 魔法の存在すら消す可能性を秘めた0番目の魔法は、神がマーリンに人間への継承を禁じたからである。

 なぜならば――。
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