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第二章 パッショナートな少女と歩く清夏の祭り
第24話 砂漠の薔薇はまだまだ花盛り
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肌色のラメに彩られた平坦で巨大な孤立丘が、太陽の光で照り輝いて、永遠と世界の両端まで広がっている。
雄大な景色の中を、一匹の白い鳥が悠然と泳でいった。
白い鳥を目で追いかけている内、僕は鳥と一緒に世界の端へと旅立っていく気さえ起きてしまった。
「ヴィスルには前にも来たことはあったけど、こんな場所があるなんて知らなかった」
アリスの口から惚れ惚れと感嘆の溜息が洩れる。
アリスが魅了されるのも分かった。自然が創造する絶景には僕も圧倒されるばかりだ。
「ねぇ? 宙人? なんか西部劇に登場するような荒野みたいじゃない。まさに異世界のグランドキャニオンっ!」
愛花の言いたい事は分かる。けど、これは間違える人が多いのだけれど、映画とかCM撮影で使われる荒野はグランドキャニオンじゃない。
「それを言うならモニュメントバレーだよ。色合いと全然違う。地球は赤茶けているけど、肌色とかピンクに近い」
生えている草木も違う。地球は低木だけど、生えているのは丸いサボテンのような植物だ。
「ソラト、愛花ちゃん、地球にもここと似た場所があるの?」
「別の国にね。実際には見たことが無いし、似ていると言われるとちょっと違うって感じがする」
「高さが比較にならないね。地球の倍近くあるんじゃないかな」
「あはは、前に来た地球人も同じことを言っていたわ。だけど驚くのはまだ早い。私が見せたいのはこの先よ」
スッタクング谷を進むに連れ、孤立丘は忽然と姿を消し荒地は丸いサボテンのような植物が群生する地帯へと変わっていく。
「ここを抜けると、いよいよギャスパルト峡谷よ。これはあまり知られていないけど、現在世界遺産への登録を申請中、調査員の人から良い話を貰ったから、来年にでも登録される予定よ」
アリスと僕が車内でリシェーラさんから貴重な話を頂き、メモを取っていると――
「ねぇ、リシェーラさん。ヴィスル周辺で三賢女の遺跡って見た事ありますか? ベアトリッテ遺跡みたいな」
「ベアトリッテ遺跡って……ああ、あれねぇ。う~ん、三賢女の遺跡かぁ……ごめんなさい。見た事ないわ」
「そうですか……」
残念。そう簡単に情報は手に入らないか……
アリスは例の楽譜について聞き込みをしたけど、残念ながらリシェーラさんから情報は得られなかった。
観光案内がてらにもし見つけられればなぁ~と思っていた程度なのであまり期待していなかったけど。
「ところで……リシェーラさんって歳いくつなの?」
「あはは、いくつだと思う?」
「24歳とか?」
「あはは、それだと幼女になっちゃうわね? まぁ、悪い気はしないけど」
多分、リシェーラさんは前に来た地球人と同じこと言われて、愛花をからかったんだろう。
「愛花ちゃん。私達と地球人との成長速度って違うから……」
「あっ! そっか、絢さんがそんなこと言っていたよね。忘れてた」
「そんなことって、愛花は難しい話になると、よく右から左に流れていくよね?」
「う、うるさいなぁ。しょうがないじゃん。難しい話って眠くなるんだもん。そ、そういうソラトはリシェーラさんがいくつに見えるのっ!?」
「はぁ? いくつってそりゃぁ……」
しまったなぁ。藪蛇だった。つい僕は口を挟んでしまったせいで、愛花は臍を曲げてしまった。
さて、どうしたものかなぁ。
「あはは、少年。もしこのリシェーラお姉さんの年齢を言い当てられたら、いいものをあげるわ」
「ソラト頑張ってっ!」
アリスが小さく腕を振って応援してくるのだけれど、愛花には偉そうなことを言っておいて、僕もスペクリムの人の見た目と年齢の一致が完全に付いている訳じゃない。
はっきり言ってさっぱりだ。
ただ、何となくアリスより年上なのは分かる。
アリスは僕らと同じ17歳に見えて、47歳だった。
年上の落ち着いた魅力がリシェーラさんからは漂ってくるわけで。そうなるとやっぱり……
「そうですねぇ。多分はちじゅ――いえ、何でもありません」
ミラー越しのリシェーラさんの眼光に、身の危険を感じ僕はそれ以上言葉を発することが出来なくなった。しかしそんなことで見逃されることは無く――
「80? 何よ? 言ってみなさい」
「宙人……あんたいくら何でも80歳は無いでしょ?」
「ソラト……」
「違うっ! 違うんだっ! 今のは少し計算を間違えただけで――」
「見苦しい良い訳禁止っ!」
今度はもし女性に年齢を当てて見ろって言われても、分からないと答えるのが最善かもしれない。例えそれが逃げであっても――
因みにリシェーラさんの年齢は56歳だそうだ。
地球人で言うところの20歳数か月と言ったところで、僕が言った80歳だと地球人で大体アラサーと言った歳になってしまう。
雄大な景色の中を、一匹の白い鳥が悠然と泳でいった。
白い鳥を目で追いかけている内、僕は鳥と一緒に世界の端へと旅立っていく気さえ起きてしまった。
「ヴィスルには前にも来たことはあったけど、こんな場所があるなんて知らなかった」
アリスの口から惚れ惚れと感嘆の溜息が洩れる。
アリスが魅了されるのも分かった。自然が創造する絶景には僕も圧倒されるばかりだ。
「ねぇ? 宙人? なんか西部劇に登場するような荒野みたいじゃない。まさに異世界のグランドキャニオンっ!」
愛花の言いたい事は分かる。けど、これは間違える人が多いのだけれど、映画とかCM撮影で使われる荒野はグランドキャニオンじゃない。
「それを言うならモニュメントバレーだよ。色合いと全然違う。地球は赤茶けているけど、肌色とかピンクに近い」
生えている草木も違う。地球は低木だけど、生えているのは丸いサボテンのような植物だ。
「ソラト、愛花ちゃん、地球にもここと似た場所があるの?」
「別の国にね。実際には見たことが無いし、似ていると言われるとちょっと違うって感じがする」
「高さが比較にならないね。地球の倍近くあるんじゃないかな」
「あはは、前に来た地球人も同じことを言っていたわ。だけど驚くのはまだ早い。私が見せたいのはこの先よ」
スッタクング谷を進むに連れ、孤立丘は忽然と姿を消し荒地は丸いサボテンのような植物が群生する地帯へと変わっていく。
「ここを抜けると、いよいよギャスパルト峡谷よ。これはあまり知られていないけど、現在世界遺産への登録を申請中、調査員の人から良い話を貰ったから、来年にでも登録される予定よ」
アリスと僕が車内でリシェーラさんから貴重な話を頂き、メモを取っていると――
「ねぇ、リシェーラさん。ヴィスル周辺で三賢女の遺跡って見た事ありますか? ベアトリッテ遺跡みたいな」
「ベアトリッテ遺跡って……ああ、あれねぇ。う~ん、三賢女の遺跡かぁ……ごめんなさい。見た事ないわ」
「そうですか……」
残念。そう簡単に情報は手に入らないか……
アリスは例の楽譜について聞き込みをしたけど、残念ながらリシェーラさんから情報は得られなかった。
観光案内がてらにもし見つけられればなぁ~と思っていた程度なのであまり期待していなかったけど。
「ところで……リシェーラさんって歳いくつなの?」
「あはは、いくつだと思う?」
「24歳とか?」
「あはは、それだと幼女になっちゃうわね? まぁ、悪い気はしないけど」
多分、リシェーラさんは前に来た地球人と同じこと言われて、愛花をからかったんだろう。
「愛花ちゃん。私達と地球人との成長速度って違うから……」
「あっ! そっか、絢さんがそんなこと言っていたよね。忘れてた」
「そんなことって、愛花は難しい話になると、よく右から左に流れていくよね?」
「う、うるさいなぁ。しょうがないじゃん。難しい話って眠くなるんだもん。そ、そういうソラトはリシェーラさんがいくつに見えるのっ!?」
「はぁ? いくつってそりゃぁ……」
しまったなぁ。藪蛇だった。つい僕は口を挟んでしまったせいで、愛花は臍を曲げてしまった。
さて、どうしたものかなぁ。
「あはは、少年。もしこのリシェーラお姉さんの年齢を言い当てられたら、いいものをあげるわ」
「ソラト頑張ってっ!」
アリスが小さく腕を振って応援してくるのだけれど、愛花には偉そうなことを言っておいて、僕もスペクリムの人の見た目と年齢の一致が完全に付いている訳じゃない。
はっきり言ってさっぱりだ。
ただ、何となくアリスより年上なのは分かる。
アリスは僕らと同じ17歳に見えて、47歳だった。
年上の落ち着いた魅力がリシェーラさんからは漂ってくるわけで。そうなるとやっぱり……
「そうですねぇ。多分はちじゅ――いえ、何でもありません」
ミラー越しのリシェーラさんの眼光に、身の危険を感じ僕はそれ以上言葉を発することが出来なくなった。しかしそんなことで見逃されることは無く――
「80? 何よ? 言ってみなさい」
「宙人……あんたいくら何でも80歳は無いでしょ?」
「ソラト……」
「違うっ! 違うんだっ! 今のは少し計算を間違えただけで――」
「見苦しい良い訳禁止っ!」
今度はもし女性に年齢を当てて見ろって言われても、分からないと答えるのが最善かもしれない。例えそれが逃げであっても――
因みにリシェーラさんの年齢は56歳だそうだ。
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