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第一章 『無能』のレッテルを貼られた僕がいかにして英雄と呼ばれるようになったか?

第十六話 僕が彼女を『救』いたい理由

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 BANG! BANG! BANG! KABOOOOOOONN!!

 DSSCH! ZSSCH! BFSSSSSSSSSSCH!

『GYOOOOOOOOOOOOOH!!』

「すごいすごい! フィルきいてるよ!」

「ウィン! 口動かしてないで指動かせ! まだヤツはやられてねぇ!」

 そのとおり!

「苦しんでいるけど! まだたおれない! 力を残してるんだ! 気を付けて!」

 緑の血をまきちらして、ダメージはあたえられてるのは確かだけど……。

『山の力よ来たれ! 彼の石は剣を打ち砕き! 骨をも断つ! 岩人の石弾ウィクラトムジ・インヤンスゥ!」

 ZUDOOOOOOOOOOOOOON! DSSCH!!

 するどく特大の岩の弾丸が〈グリードウォーム〉に突きささる!

 BFSSSSSSSSSSSSSCH!

「……やったかしら」

「ふらふらしている。これやったんじゃねぇ……」

 虫の息のように思える。

 でもどうしてだろう?

 どうもイヤな予感がする。

「フィル! やったよねこれ!?」

「……うん」

「じゃこれで、アタシたちも――」

 GYRR――。

「なっ!」

「あっ!」

「えっ!」

 言葉を失った。

〈グリードウォーム〉はたおれる寸前、ウィンを食った!

 GULR――。

「ウィンが飲みこまれた!」

「まずい! 助けるぞ!」

「でも、どうやって!」

 DODODODODOOOOOOOOOOOO――。

 地ひびきがして、地面にもぐっていく〈グリードウォーム〉。

「このままだとにげちまう! どうする!?」

「ど、どうするって、そんな、どうしよう……あぁ……ウィン……どうしたら……」

 リリーさんが泣き始めてしまった。

「僕が助ける!」

「フィル! 待――」

 もういてもたってもいられるか。

 アニキの静止を無視して、自分は〈グリードウォーム〉の口のへ飛びこんだ。

 ZURYU――。

「うげぇ……ぬるぬるしてキモチワル!」

 それにくさい。

 とにかくウィンを探さなきゃ!

 ZOZOZOZOZOZOZOZOZOZOOOOOOOOOO――。

 なんだ? この音?

 地中にもぐっているのか?

 急がなきゃ!

 最近、気づいたことがあるんだ。

 どういういうわけかさ。

 ウィンのことになると、どうしてもいてもたってもいられなくなる自分がいることに。

 もしかしたら僕はウィンのことを――。

「――ウィン! どこ! どこにいる!」

「……その声は、フィル!?」

 肉のカベの向こうからウィンの声がした。

「いま助ける!」

 ヌルヌルする肉のカベをかき分けると、ウィンの白い手が見えて――。

「ウィン!」

「フィル!」

 なんとか引きずりだすことに成功。

「よかった無事で……」

 気付いたらウィンをだきしめていた。

 とにかく今は。

「あぁ……フィル、フィル……助けに来てくれたんだ……」

「うん」

「ありがとう、でもどうしよう……このままだとアタシたち、消化とかされちゃうんじゃ……」

 そうなのだ。

 さて、どうするか。

「キュー!」

「キキ! 出てきちゃだめだって、え? なに? あっちに何かあるから手をのばしてみろって?」

 キキに言われた通り、手をのばすと、コツコツあたる。

 なんだこれ、あ、つかめた。

「ショートバレルのショットガン……? それにこの色……」

星霊銃ピースメーカー 星散銃・アンチェイド>
 【攻撃補正】――Lv1 260
 【命中補正】――Lv1 206
 【重量】――Lv1 74oz
 【会心補正】――Lv1 1.6
 【装填数】―― Lv1 8
 【魔力補正】――Lv1 40
 【追加効果】――????
 【追加効果】――????
 【追加効果】――????

 やっぱりだ。これも〈星霊銃ピースメーカー〉!

 中には何も入ってないけど、体液がいっさいついてなくてキレイだ。

 ん? ちょっとまって、つまり――使える!?

「ウィン、この状態から銃をぬける?」

「うん、できるけど……そっか、中から!」

「そう! 外がだめなら中からだ!」

 三つの星霊銃が光り、二人でほぼ同時、引き金を引くっ!

 BANG! BANG! KABOOOOOOON!!

 BFFRRRRRRRRRRRSSSSSSSSSSSSSSSSSSSS!!

 ふれ上がる体内!

 そしてはち切れる瞬間、二人で飛び出した!

「……ぶはっ!」

「……ハァ……ハァ……やった……外に出られた……」

 アニキたちも見える!

「ウィン! フィル!」 

「レヴィン兄ぃ! リリー姉ぇ! うぁぁぁ! こわかったよぉ!!」

 ウィンは二人にだきしめられ、家族の感動の場面――というはずだった。

「おう……」

「うわぁ……」

「あ……」

 三人ともぬるぬるなっちゃって、思わず――。

「――プッ」

「あ! フィル笑ったな! こうしてやる! おりゃ!」

「うわぁ! や、やめ――」

 なにを血迷ったか!

 ウィンがいきなり飛びついてきて、あっという間に組みふせられた!

「ウィン! ダメだって! お願いだから抱き着かないでくれ! これはいろんな意味で放送できないやつになっちゃうから!」

「そんなわけの分からないことを言って、ごまかそうたってそうはいかないんだから! イシシシシシシ」

 ああ、故郷にいる父さん、母さん……荒野っていろんな意味でマズイです。

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