烙印を背負う少女を『救』うたった一つの方法

朝我桜(あさがおー)

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第一章 『無能』のレッテルを貼られた僕がいかにして英雄と呼ばれるようになったか?

第二十三話 レッテルが『価値』あるものになるには……?

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 僕はようやくウィンへさっき伝えかったことを話すことができた。

 そして事のいきさつを話して、まずウィンの第一声が――。

「バッカじゃないの!?」

 はい、まったくもってごもっともです。

「そんなことでリリー姉ぇが気づくと思う? というか、だれも気付かないよ!」

 はい、おっしゃる通りでございます。

「だいたいねぇ、変な小細工しないで昔みたいにストレートに言えばいいんだよ! 
だいたいリリー姉ぇはあのキザな金持ちのことなんとも思ってない。そもそも――」

 えっと僕らはというと、荒野のど真ん中で延々とウィンに説教を受けています。

 でも、話の中で気になることが。

 あの町長の家でもあったことだけど。

「ちょっとまってウィン、昔みたいにって?」

「えぇ……あぁ、そっか、フィルにはまだ話したことがなかったよね。レヴィン兄の【烙印スティグマ】――いいえ、【才花アクシア】のこと」

 ひとまず〈キキ〉がニオイをたどれるみたいだから、リリー姉さんを助けるべく先へと進んだんだ。

 もちろん、ウィンから話を聞きながらね。

 前に【烙印スティグマ】にはその意味とは逆の性質があるっていったと思う。

 ただ実際にはその逆の行いをするようにつき動かされるって感じなんだ。

 その強さは個人差があるけど。

 でも務めを終えて大人シャヴァをむかえた時、【烙印スティグマ】は変化して、【才花アクシア】に変わる。

 そうしてはじめて、【烙印スティグマ】につき動かされることなく自由に、力を使えるようになるんだ。
 
「はじめに断っておくけど、かなりから注意してね」

「引く? どういうこと?」

「レヴィン兄ぃの【才花アクシア】は〈熱愛デヴォート〉。もともとは〈重婚ビガミー〉の【烙印スティグマ】だったんだ」

 …………………。

 …………。

 ……。

 うん、引く。

「フィル! テメェ! なんだその顔は!?」

「だって、似合わなすぎるでしょ! なんだよそれ!?」

「二人ともうっさい! とにかく! レヴィン兄ぃは昔、その【烙印スティグマ】につき動かされて、リリー姉ぇにプロポーズしまくってたの、

「…………ごめん、いまって言った?」

「そう、18になるまで365日、

 ウィンの話だと〈重婚ビガミー〉の【烙印スティグマ】は一人の異性を一途に想うことにつき動かされるんだそうだ。

 それも強力に。

 ちなみにここでいう異性っていうのは血のつながりが近しい人は除かれるらしい。

 ということは、血のつながりのないリリー姉さんへ標的が向くわけで……。

「ああ……町長を反射的に杖でぶっとばしたのって」

「そういうこと、1年前ぐらいからあんな感じ。数か月前に大人シャヴァをむかえてから、これでもだいぶ落ち着いたんだから」

 さぞ、うんざりしただろうなぁ。リリー姉さん。

「クーン! クーン!」

「え? なに〈キキ〉? この先の遺跡に続いているって? え~と、そんなのどこに……?」

 周囲を見わたすと――あった。

 2、3マイル先の孤立岩ビュートのふもとに。

「あそこか! 急ごう! ウィン! アニキ!」

「うん!」

「おう、待ってろ! リリー! 今助けにいくからな!」




 
――無名の遺跡 内部――

 Krii Kraa……。

「なにこの音?」

「歯車みたいな音だね」

「チクショー、待っていろ、リリー」

「アニキ、もうちょっと落ち着いて」

「レヴィン兄ぃ、アタシだってリリー姉ぇのこと心配だし、気持ちはわかるけど……」

「……わかってんだ、オレだって、けどよ。あの人形どもにナニかされていないかと思ったら……ぐっ! ゲスヤローがっ!」

 うーん、なんというか、それってさ……。

「アニキ……」

「……レヴィン兄ぃ、リリー姉ぇをダシにして、もしかしてものすごくエッチなこと想像していない?」

「クーンクーン」

 だよねぇ……。

 それからしばらく警戒しながら進んだんだけど――おかしい。

「変だね。人ひとりどころか、人形一つ出てこない」

「うん、どうなっているんだろう?」

 と、思っていたら目先に部屋を見つけて、中から何か聞こえてくる。

 それと光も。

 Tom‐Tom Tom‐Tom Tom‐Tom……。

 Humble-Humlle  Humble-Humlle Humble-Humlle……。

「なにこれ? 包丁……の音と、ぐつぐつと……なべ?」

「うーん、だれか料理しているみたい」

「こんなところで料理だぁ? いったい何がどうなってやがる」

 とりあえず、僕らはその部屋の中をゆっくりとのぞきこんだ。

「はぁ?」

「えっ?」

「いったいどういうことだぁ? こりゃぁ……」

 これは……というかこの人たちは、多分連れ去られた女性たちだ。

 中にはあの町長の家に勤めていたメイドらしき人もいる。

 料理しているのは、なんとリリー姉さんをつれさった機械人形たち。

 それにしても――。

「なんだかみんなもてなされて楽しそう」

「フィル……アタシ、なんかこんな話なかった? 夫にうんざりした妻たちが、連れ去られたとも思ったら、実は家事から解放されて、楽しそうに生活していたみたいな話」

「あぁ~……うん、自分も同じことを思った」

「おいっ! 助けに来たぞ! なにやってんだ! あんたらの旦那だんなや子供だって心配している、さっさとズラかるぞ!」


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