23 / 50
第一章 『無能』のレッテルを貼られた僕がいかにして英雄と呼ばれるようになったか?
第二十三話 レッテルが『価値』あるものになるには……?
しおりを挟む
僕はようやくウィンへさっき伝えかったことを話すことができた。
そして事のいきさつを話して、まずウィンの第一声が――。
「バッカじゃないの!?」
はい、まったくもってごもっともです。
「そんなことでリリー姉ぇが気づくと思う? というか、だれも気付かないよ!」
はい、おっしゃる通りでございます。
「だいたいねぇ、変な小細工しないで昔みたいにストレートに言えばいいんだよ!
だいたいリリー姉ぇはあのキザな金持ちのことなんとも思ってない。そもそも――」
えっと僕らはというと、荒野のど真ん中で延々とウィンに説教を受けています。
でも、話の中で気になることが。
あの町長の家でもあったことだけど。
「ちょっとまってウィン、昔みたいにって?」
「えぇ……あぁ、そっか、フィルにはまだ話したことがなかったよね。レヴィン兄の【烙印】――いいえ、【才花】のこと」
ひとまず〈キキ〉がニオイをたどれるみたいだから、リリー姉さんを助けるべく先へと進んだんだ。
もちろん、ウィンから話を聞きながらね。
前に【烙印】にはその意味とは逆の性質があるっていったと思う。
ただ実際にはその逆の行いをするようにつき動かされるって感じなんだ。
その強さは個人差があるけど。
でも務めを終えて大人をむかえた時、【烙印】は変化して、【才花】に変わる。
そうしてはじめて、【烙印】につき動かされることなく自由に、力を使えるようになるんだ。
「はじめに断っておくけど、かなり引くから注意してね」
「引く? どういうこと?」
「レヴィン兄ぃの【才花】は〈熱愛〉。もともとは〈重婚〉の【烙印】だったんだ」
…………………。
…………。
……。
うん、引く。
「フィル! テメェ! なんだその顔は!?」
「だって、似合わなすぎるでしょ! なんだよそれ!?」
「二人ともうっさい! とにかく! レヴィン兄ぃは昔、その【烙印】につき動かされて、リリー姉ぇにプロポーズしまくってたの、毎日毎日」
「…………ごめん、いま毎日って言った?」
「そう、18になるまで365日、毎日」
ウィンの話だと〈重婚〉の【烙印】は身近な一人の異性を一途に想うことにつき動かされるんだそうだ。
それも強力に。
ちなみにここでいう異性っていうのは血のつながりが近しい人は除かれるらしい。
ということは、血のつながりのないリリー姉さんへ標的が向くわけで……。
「ああ……町長を反射的に杖でぶっとばしたのって」
「そういうこと、1年前ぐらいからあんな感じ。数か月前に大人をむかえてから、これでもだいぶ落ち着いたんだから」
さぞ、うんざりしただろうなぁ。リリー姉さん。
「クーン! クーン!」
「え? なに〈キキ〉? この先の遺跡に続いているって? え~と、そんなのどこに……?」
周囲を見わたすと――あった。
2、3マイル先の孤立岩のふもとに。
「あそこか! 急ごう! ウィン! アニキ!」
「うん!」
「おう、待ってろ! リリー! 今助けにいくからな!」
――無名の遺跡 内部――
Krii Kraa……。
「なにこの音?」
「歯車みたいな音だね」
「チクショー、待っていろ、リリー」
「アニキ、もうちょっと落ち着いて」
「レヴィン兄ぃ、アタシだってリリー姉ぇのこと心配だし、気持ちはわかるけど……」
「……わかってんだ、オレだって、けどよ。あの人形どもにナニかされていないかと思ったら……ぐっ! ゲスヤローがっ!」
うーん、なんというか、それってさ……。
「アニキ……」
「……レヴィン兄ぃ、リリー姉ぇをダシにして、もしかしてものすごくエッチなこと想像していない?」
「クーンクーン」
だよねぇ……。
それからしばらく警戒しながら進んだんだけど――おかしい。
「変だね。人ひとりどころか、人形一つ出てこない」
「うん、どうなっているんだろう?」
と、思っていたら目先に部屋を見つけて、中から何か聞こえてくる。
それと光も。
Tom‐Tom Tom‐Tom Tom‐Tom……。
Humble-Humlle Humble-Humlle Humble-Humlle……。
「なにこれ? 包丁……の音と、ぐつぐつと……なべ?」
「うーん、だれか料理しているみたい」
「こんなところで料理だぁ? いったい何がどうなってやがる」
とりあえず、僕らはその部屋の中をゆっくりとのぞきこんだ。
「はぁ?」
「えっ?」
「いったいどういうことだぁ? こりゃぁ……」
これは……というかこの人たちは、多分連れ去られた女性たちだ。
中にはあの町長の家に勤めていたメイドらしき人もいる。
料理しているのは、なんとリリー姉さんをつれさった機械人形たち。
それにしても――。
「なんだかみんなもてなされて楽しそう」
「フィル……アタシ、なんかこんな話なかった? 夫にうんざりした妻たちが、連れ去られたとも思ったら、実は家事から解放されて、楽しそうに生活していたみたいな話」
「あぁ~……うん、自分も同じことを思った」
「おいっ! 助けに来たぞ! なにやってんだ! あんたらの旦那や子供だって心配している、さっさとズラかるぞ!」
そして事のいきさつを話して、まずウィンの第一声が――。
「バッカじゃないの!?」
はい、まったくもってごもっともです。
「そんなことでリリー姉ぇが気づくと思う? というか、だれも気付かないよ!」
はい、おっしゃる通りでございます。
「だいたいねぇ、変な小細工しないで昔みたいにストレートに言えばいいんだよ!
だいたいリリー姉ぇはあのキザな金持ちのことなんとも思ってない。そもそも――」
えっと僕らはというと、荒野のど真ん中で延々とウィンに説教を受けています。
でも、話の中で気になることが。
あの町長の家でもあったことだけど。
「ちょっとまってウィン、昔みたいにって?」
「えぇ……あぁ、そっか、フィルにはまだ話したことがなかったよね。レヴィン兄の【烙印】――いいえ、【才花】のこと」
ひとまず〈キキ〉がニオイをたどれるみたいだから、リリー姉さんを助けるべく先へと進んだんだ。
もちろん、ウィンから話を聞きながらね。
前に【烙印】にはその意味とは逆の性質があるっていったと思う。
ただ実際にはその逆の行いをするようにつき動かされるって感じなんだ。
その強さは個人差があるけど。
でも務めを終えて大人をむかえた時、【烙印】は変化して、【才花】に変わる。
そうしてはじめて、【烙印】につき動かされることなく自由に、力を使えるようになるんだ。
「はじめに断っておくけど、かなり引くから注意してね」
「引く? どういうこと?」
「レヴィン兄ぃの【才花】は〈熱愛〉。もともとは〈重婚〉の【烙印】だったんだ」
…………………。
…………。
……。
うん、引く。
「フィル! テメェ! なんだその顔は!?」
「だって、似合わなすぎるでしょ! なんだよそれ!?」
「二人ともうっさい! とにかく! レヴィン兄ぃは昔、その【烙印】につき動かされて、リリー姉ぇにプロポーズしまくってたの、毎日毎日」
「…………ごめん、いま毎日って言った?」
「そう、18になるまで365日、毎日」
ウィンの話だと〈重婚〉の【烙印】は身近な一人の異性を一途に想うことにつき動かされるんだそうだ。
それも強力に。
ちなみにここでいう異性っていうのは血のつながりが近しい人は除かれるらしい。
ということは、血のつながりのないリリー姉さんへ標的が向くわけで……。
「ああ……町長を反射的に杖でぶっとばしたのって」
「そういうこと、1年前ぐらいからあんな感じ。数か月前に大人をむかえてから、これでもだいぶ落ち着いたんだから」
さぞ、うんざりしただろうなぁ。リリー姉さん。
「クーン! クーン!」
「え? なに〈キキ〉? この先の遺跡に続いているって? え~と、そんなのどこに……?」
周囲を見わたすと――あった。
2、3マイル先の孤立岩のふもとに。
「あそこか! 急ごう! ウィン! アニキ!」
「うん!」
「おう、待ってろ! リリー! 今助けにいくからな!」
――無名の遺跡 内部――
Krii Kraa……。
「なにこの音?」
「歯車みたいな音だね」
「チクショー、待っていろ、リリー」
「アニキ、もうちょっと落ち着いて」
「レヴィン兄ぃ、アタシだってリリー姉ぇのこと心配だし、気持ちはわかるけど……」
「……わかってんだ、オレだって、けどよ。あの人形どもにナニかされていないかと思ったら……ぐっ! ゲスヤローがっ!」
うーん、なんというか、それってさ……。
「アニキ……」
「……レヴィン兄ぃ、リリー姉ぇをダシにして、もしかしてものすごくエッチなこと想像していない?」
「クーンクーン」
だよねぇ……。
それからしばらく警戒しながら進んだんだけど――おかしい。
「変だね。人ひとりどころか、人形一つ出てこない」
「うん、どうなっているんだろう?」
と、思っていたら目先に部屋を見つけて、中から何か聞こえてくる。
それと光も。
Tom‐Tom Tom‐Tom Tom‐Tom……。
Humble-Humlle Humble-Humlle Humble-Humlle……。
「なにこれ? 包丁……の音と、ぐつぐつと……なべ?」
「うーん、だれか料理しているみたい」
「こんなところで料理だぁ? いったい何がどうなってやがる」
とりあえず、僕らはその部屋の中をゆっくりとのぞきこんだ。
「はぁ?」
「えっ?」
「いったいどういうことだぁ? こりゃぁ……」
これは……というかこの人たちは、多分連れ去られた女性たちだ。
中にはあの町長の家に勤めていたメイドらしき人もいる。
料理しているのは、なんとリリー姉さんをつれさった機械人形たち。
それにしても――。
「なんだかみんなもてなされて楽しそう」
「フィル……アタシ、なんかこんな話なかった? 夫にうんざりした妻たちが、連れ去られたとも思ったら、実は家事から解放されて、楽しそうに生活していたみたいな話」
「あぁ~……うん、自分も同じことを思った」
「おいっ! 助けに来たぞ! なにやってんだ! あんたらの旦那や子供だって心配している、さっさとズラかるぞ!」
0
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
【第一部完結】転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!
DAI
ファンタジー
【第一部完結!】
99回のさよならを越えた、究極の『ただいま』
99回転生した最強エルフは、のんびり暮らしたいだけなのに――なぜか家族が増えていく。
99回も転生したエルフの魔法使いフィーネは、
もう世界を救うことにも、英雄になることにも飽きていた。
今世の望みはただひとつ。
――森の奥の丸太小屋で、静かにのんびり暮らすこと。
しかしその願いは、
**前世が日本人の少女・リリィ(12歳)**を拾ったことで、あっさり崩れ去る。
女神の力を秘めた転生少女、
水竜の神・ハク、
精霊神アイリス、
訳ありの戦士たち、
さらには――
猫だと思って連れ帰ったら王女だった少女まで加わり、
丸太小屋はいつの間にか“大所帯”に!?
一方その裏で、
魔神教は「女神の魂」と「特別な血」を狙い、
世界を揺るがす陰謀を進めていた。
のんびり暮らしたいだけなのに、
なぜか神々と魔王と魔神教に囲まれていくエルフ。
「……面倒くさい」
そう呟きながらも、
大切な家族を守るためなら――
99回分の経験と最強の魔法で、容赦はしない。
これは、
最強だけど戦いたくないエルフと、
転生1回目の少女、
そして増え続ける“家族”が紡ぐ、
癒しと激闘の異世界スローライフファンタジー。
ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~
とんがり頭のカモノハシ
ファンタジー
「別の世界から勇者を召喚する卑怯な手口」に業を煮やした堕天使・ルシファーにより、異世界へ魔王として転生させられた大学生・左丹龍之介。
先代・魔王が勇者により討伐されて100年――。
龍之介が見たものは、人魔戦争に敗れた魔族が、辺境の森で厳しい生活を余儀なくされている姿だった。
魔族の生活向上を目指し、龍之介は元魔王軍の四天王、悪魔公のリリス、フェンリルのロキア、妖狐の緋魅狐、古代龍のアモンを次々に配下に収めていく。
バラバラだった魔族を再び一つにした龍之介は、転生前の知識と異世界の人間の暮らしを参考に、森の中へ楽園を作るべく奔走するのだが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる