転生デッドエンド

ブクブク茶釜アイランド

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第一章

死亡

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ああ・・・またか。
タケルは死の淵でそんなことを思っていた。
またと言うのは変かもしれないが、またなのだからしょうがない。

何度も何度も何度も死んだ。
これで何度目だ?
水死、惨死、焼死、呪死、出血死・・・
そして今回は転落死だ。崖から落ちた。

落下の衝撃で、何がどうなったのかは分からないが、上半身と下半身がありえない方向を向いている。
くそくそくそくそくそくそくそ
死ぬまでの数秒間、タケルは自分の宿命を呪っていた。
決して逃れられない死の宿命。死んでも巻き戻される呪の宿命。


もはやタケルに視力は無い。味覚も、嗅覚も、痛覚も・・・
手足の感覚すらなくなり、時間も空間もあやふやになっていた。
自分が誰なのかすら分からなくなっていた。

ただ心の底から湧き上がってくる怒りが、タケルを常世の狭間へと繋ぎ止める。

そんな時、一筋の光が下りてくる。

「・・・・・・」

いや、光ではない。言葉だ。
光と錯覚するほどの存在感のある言葉が、タケルの心に届いたのだ。

聴覚など既に全く失ったはずなのに、その言葉は酷く鮮明に聞こえた。

「クスクスクス、面白い魂をしているね。」

面白くねぇよ・・・
そう言おうと思うが、言葉など出るはずもない・・・

「アハハハハ、言いたいことは何となく分かるよ。僕神だからね。」

何を言ってるんだこいつは・・・・
耳障りな声だ・・・・早く眠らせろ・・・

「このまま眠っちゃうのもいいけど、それじゃあ君の悪夢は覚めないよ?あ、今結構うまいこと言った。」

どうでもいいし、上手くねぇ・・・

「ヒドイネ君・・・、一言物申したいけど、そろそろ時間が無くなってきたよ。本題に入ろうか。」

本題・・・

「そう本題さ。慈悲深き神が君に希望を与えた上げようと言ってるんだよ。」

事態が分からず、沈黙をするタケル。
その反応に、自称神はこてりと首を傾ける。

「う~ん?分っかんないかな~。僕が運命に抗う0.01%の奇跡を与えてあげるって言ってる訳よ~。」

渾身の解説とでも言うように上機嫌で頷く神だが、
余計に訳が分からなくなった・・・。
しかし、今度の沈黙は肯定と受け取ったらしい。

「成程、覚悟十分ってことだね?よし!よし!若者はそうじゃなくちゃ。」

出来てねぇよ・・・

「まあ、ぶっちゃけ君の意見とか聞いてないから、どうでもいいんだけどね。でも絶対に君は僕に感謝するよ。」

随分身勝手な神もいたもんだ・・・

「それでは、さいなら・・・。君の次なある人生が幸多からんことを。」
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