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あの日のこと(中学生)湊side

君の登場と俺の動悸

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その時だった

カシャッ
「お前ら何気色悪い事してんだよ。
  あ、間違えて写真、撮っちゃった」

機械音がした方を向けば見た事ない高身長の生徒が扉の前に立っていた
多分、別なクラス 体育委員でもない

整った顔と長い足の彼はどこのイケメンだ
と恨めしく考えていると
俺を覆っていた奴らは慌てて俺から手を離し、逃げる様に教室から出ていった

「あ…ありがとう」

俺は呆気なさや恥ずかしさと気まずさから、
そっぽを向きながら彼に感謝を伝える
慌てて制服を着直そうと、服に手を掛けるも震えで上手くいかない

それが余計に恥ずかしくなり、冷や汗やら手汗が止まらなかった

「あぁ…だめだこりゃ」

体育座りで両膝の間に顔を埋めて現実逃避する
ドキドキと胸が苦しさが、堪らない
目を瞑っていると、バサリと頭と肩に何かが乗せられる
さっきまで扉の前にいたはずだと
驚いて顔を向けると、視界は真っ暗だった

「少し大きいか」

そう言って、俺には随分サイズの大きい体育ジャージを被せ、着させてくれた

「ありがと…」
「別に。つかお前それ地毛?」

俺の精一杯の感謝を、別に。で片した彼は俺のコンプレックスの髪色を指で掬い上げながら質問してくる

生活指導が面倒で定期的に黒染めしていたが、最近面倒でサボっていたから頭髪が逆プリンみたいになっていた

「ああ…もともと色素薄くて…」

「へー染めんのやめれば?似合うし。
あとそのジャージ おフルだから返さなくて良いから じゃ」ーーガラッ

ヒーローみたいな嵐みたいな登場だった
その割にドライで、1回も笑いかけてくれないけど
俺の震えが止まるまで横に座ってくれた
そんな、優男の名前も聞きそびれたまま
彼はスタスタと教室を後にした

「あ!ちょっ待っ…」

俺は胸のドキドキが止まらなくて苦しくて死ぬかと思った

被せられたジャージの胸元を握りしめると、鳳城と名前が目に入る
お古だと言った彼
そして、これは今の彼には少し小さい気もする
ああ、サイズ違いを買い直したのか
すぐにピンときた
じゃあ、きっと鳳城は彼の名前で、この服も彼のものだ…

ドキドキする…

これが俺と彼、鳳城晴臣くんとの出会いだ

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