あの子の花に祝福を。

ぽんた

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47.国宝指定されそうな腕輪。

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「ふふ、じゃあ皆待ってるからそろそろ広間に行こうか。」

 ゼインがそう言って手を差し出してきたから、そっと手を重ねる。すると何故か、感極まったように泣き出すものだから、僕も皆も焦ってしまって。

「どっ、どうしたの?!ゼイン?!」

「あの日…君を失わずに済んでっ…!良かった…!」

 ぽろぽろと雫を流しながら膝をついたゼイン。
 皆はいつの間にか部屋から出ていってて、2人きりにしてくれたみたい。

「君が誕生日を迎えられてっ……本当に…嬉しい…。」

 涙でキラキラと輝く瞳を、ニコリと細めながら儚げに微笑むものだから、僕は彼から目を離せなくなった。

「ルカ…、ルカ…、私の最愛。私の唯一。私のもとに来てくれてありがとう。改めて…誕生日おめでとう、ルカ。」

 重ねられた手の甲に、柔らかなキスを落とされた。

 それはまるで、騎士が誓いを捧げるようなポーズで。

「ありがとう、ゼイン。僕こそ、ゼインにお礼を言いたいんだよ。僕の運命になってくれて、ありがとう。
 もし、ゼインが許してくれるなら。
 ……来世も、そのまた来世も、輪廻転生し続ける限り、ずっと一緒にいてくれますか。」

 彼は瞳を大きくすると、再びぼろぼろ泣き始めて。

「当たり前だっ…!!そんなの、私からお願いしたいくらいだ…!」

 もう全然泣き止んでくれないなぁ…。と思いながらハンカチで拭いてあげていると、なんだか無性に目の前の存在がいつも以上に愛おしく思えた。

 ゆっくり屈んで、彼の両頬に手を添える。

 目を真っ赤に腫らした僕の半身。愛しい運命。

 きょとん、とした顔が可愛くって。

 全ての心を込めて、キスをした。

 彼の美しい空色が、果てしなく広がっている。

 それを縁取るような睫毛が涙に濡れて輝いている。

 暫く口づけていると、どちらともなく共に目を閉じて背中に手が回ってきた。




 お母さん、神様。

 この世界に連れてきてくれてありがとう。

 おかげで僕は今、とても幸せ。

 ゼインがいれば、他に何もいらないから。

 だからどうか、この幸せをずっと…。
















 広間に着いた僕は、驚きのあまり一言も話せなくなってしまった。

「おめでとう、ルカ。どうしてもお祝いしたかったから、来ちゃった。」

 ニコ!と笑う彼は、随分久しぶりな気がするネロー。

「ネロー!久しぶり!来てくれたのー?!もう元気?どこも異常ない?」

 そう聞く僕に、ネローはクスクス笑って落ち着きなさい、と手で示した。

「もう大丈夫だよ。ルカのご両親のおかげでフースカにいても全然問題なし!
 それにね、操られてたときみたいじゃなくて、素の自分を出せるから家族ともっと仲良くなれた気がするよ。本当にありがとう。」

 穏やかに微笑む彼は、本当に幸せそうで。

 よかった…。

 そしてネローとの話が終わると、周りにたくさんの人がいることに気がついた。

「わっ!み、皆さんすみません…。話に夢中になっちゃった…。え、えと!この度は、わたくしの誕生日パーティにご参加いただき、ありがとうございます。」

 隣にゼイン、前には母様達やミラ達友人。
 ていうかミラの隣にヴレーヒ様がいるしちゃっかり手を繋いでるし!そんな2人を見てネローはにこにこしてる。

 他にもそれぞれ友人達のご家族、僕のおじいちゃん達、そして国王様は忙しくてこれなかったみたいだけど、ルスト様やエスターお義兄様が来てくれた。

「それでは皆様、パーティをお楽しみください。」

 そう言葉を締めくくると、沢山の拍手が。

「「「おめでとう!ルカーー!!!」」」

 そう叫んでくれたのは、ミラ、エド、ライトの3人。

 へへ、皆と同じ13歳の仲間入りだ!

 それからは母様達とお話したり、エド達から大小様々なプレゼントを貰ったり。

 本来プレゼントはパーティが始まる前に渡すっていうのが通例なんだけど、友達の間とかは直接渡したいから、っていう理由で今貰ってる。

 貰ったものは使用人さん達がお部屋に運んでくれるよ。

 そして。

「ルカ、お誕生日おめでとう。お兄様もう感動しちゃったよ…。そうそう、プレゼントは既に部屋に送ってもらったけど、もう一つあって。」

 そう言われて渡されたのは、長方形の箱。

「開けるのは殿下と後で部屋の中で開けて欲しい。」

 ゼインと?

「それ、言われてた腕輪だよ。」

 あ!魔道具の腕輪!

 お兄様が話をしてくれた後、2人でゼインの元へ行って謝るところを見届けたんだ。

 それから作ってくれていたらしいんだけど。

「……内容は、腕輪を付けている相手の居場所が分かる魔法、相手に危機があればその腕輪が知らせてくれる魔法、あと、万が一危ない時に魔力が枯渇した場合、その腕輪に相手の魔力を溜めておくことも出来る。
 それから、互いの場所に転移できる魔法も加えておいたよ。」

 思った以上に凄まじい魔道具だった…。

 僕の家族やっぱり天才だなぁ…。お兄様達が作る物、全部国宝指定されてるもん。これもきっとそう、王様に見せたら絶対指定される。

 わかるよ僕。

 スン…と虚無顔になった僕に不安になったお兄様は、眉根を下げてオロオロし始めたので、慌てて宥める。

「お兄様凄すぎます!後でゼインと一緒に着けてみますね!へへ、じゃあこれで僕も許します。お兄様、いつもありがとう。」

 それを聞いたお兄様は、ホッとした表情で僕と別れ、母様達の元へ戻っていった。

 さて、あらかた挨拶も終わったことだし、僕はこのご馳走とケーキとマフィンとクッキー、マカロン、フィナンシェ、プディング、ああどれも美味しそう全部食べる。
















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