キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!

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少年期

103、武闘会の褒美

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さて。実は、試合に出る生徒やその友人はもちろん、全く関係のない生徒まで盛り上がっているのには訳がありました。

まず。武闘会の優勝者、上位入賞者には豪華な特典が!
生徒が希望すればだけれど、騎士団入りが約束されるし、将来は役付きになる可能性が高い。
ウエイン様が狙っているのはこの枠なのですって。
ウエイン様のおうちは代々騎士団長を輩出されているのだけれど、実はこれ、世襲制ではなかったのです!
単にその家系が「武の家系」だっただけだったのでした。
まさかのそんな!設定集にはそこまで書いてなかったので「代々騎士団長を務め」を世襲なのかと勘違いしておりました。勿論実力があるのも確かなのでしょうが。
実際は「とにかく将来の騎士団長を目指すべく、幼い頃から鍛えに鍛えられた結果この大会で優勝し、その後も実力で連勝し続け、なるべくしてなった騎士団長」、つまり代々実力でその座を勝ち取っていたのでした。す、すごい!

ゲームのエンディング後の未来として、ウエイン様が騎士団長になっているスチルもありました。けれど、あれはきっとお兄様が騎士団長の座を望まなかったからでしょう。
きっと高等部に入ってからわざと負けられたか、辞退されていたに違いありません。お兄様はジェシーがアレするまでは一応皇太子の婚約者、未来の王妃だったわけですし、兼任はできませんものね。
普通に試合に出ていたら、断罪されてもその実力で騎士団長になる未来もあったのかもしれません。
あ、どうしましょう。これ、想像しただけでアイク様にちょっとムカっとしてしまいました。
騎士団長のお兄様、さぞ素敵だったでしょうに!その挙句ピンク頭に走りお兄様を裏切るなんて……許すまじ!
はっ!いけないいけない。今のアイク様はゲームとは違うのですから。そこは別に考えなければ!

とにかく、ここで上位に入れば「約束された将来」が手に入るのです。
それもあって、出場者の家門が盛り上がりに盛り上がっているというわけ。
一族の繁栄に関わりますからね。

あと……これはそれとは別に。
優勝者は「姫」を選ぶことができるのです!
通常公の場では、婚約者がいれば婚約者をエスコートするのが決まり。
ですが、「想い合って」ではなく「愛しい人が別にいる」場合は、ここが抜け道となります。
そう!学園に居る間は婚約者ではなく自分が選んだ「姫」をエスコートすることが可能になるのです!
勿論、婚約者を姫に選ぶ人が大半なのですが、中には入賞で婚約者そっちのけに愛する人に告白をぶちかまし、愛する「姫」をゲット。そのまま婚約破棄に持ち込み「姫」と新たな婚約を結んだ、という猛者も。
簡単に言えば「公式に恋人ごっこ」ができる、望まぬ婚約をしている人は、これを口実に婚約解消の道を作り出すことができるというものなのです。

ボクこれを聞いたとき思わず「そんなのアリ?」って叫んじゃいました。
だって、お互いに政略だと思ってたらいいのだけれど、袖にされた側の婚約者さんが真剣な想いを抱いている場合もあるでしょう?
その場合、長年の婚約者をさておき一方的に「姫」を選んじゃうのって、なんか……それこそ浮気なのでは?
公式に認められていたらいいというものじゃあないと思うのですが……。

お兄様にそう聞いてみたら、お兄様は少し首を傾けながらふわりと目元を緩めた。

「うむ。クリスがそのように感じるのは、クリスの心がとても健全だからだろう。
お互いに望まずとも、家のためにどうしようもなく縛られている者にとっては、これが唯一の救われる機会なのだ。
確かに『浮気』という側面もあるのかもしれぬが、そのような輩と婚約を継続したとて、どのみちいつかは裏切られるのではないか?であれば、傷が浅いうちにさっさと切り捨てるほうがお互いの為にはよいと私は考える。
誰もが望む相手を得られるわけではない。であれば、希望だけでも、というのがこのイベントの主旨なのだ」

言われてみれば!
「政略結婚を覆す何か」なんて必殺技、なかなかありませんものね!
それこそゲームみたいに「相手の非をでっちあげて断罪」とか。それくらい。でもそれは完全にアウトですから!
たしかにお兄様の仰るような方にとっては、これが唯一の希望の可能性があります。
浮気だって、これでするような人は、このイベントがなくってもいつかはする。つまりはそういうことなのですね!

「私とて、クリスと出会うまでは諦めていたのだぞ?
アイクと私とでは……あー……だからな。上手くいかぬのは分かり切っていた。
だが、人と距離を置くことが当たり前のとなっていたのでな。アイクと共に抗うことになるなど思ってもみなかった。
希望を与えてくれたのはクリス、君だ。
私はもう諦めるつもりなどない。なんとしても大切ものを守り通してみせる。
そのためになら、なんでもするつもりだ。
だがそれが出来ぬものも多いのが現実、ということだ」

そっと手を握られる。
触れた手から伝わる温かさ。
出会ったばかりの頃は、この手はとても冷たかった。
どこか冷めた瞳をしていた。でも今は………

「お兄様は今は諦めてはおられぬ、ということですよね?良かったあ!
あ、あの、アイク様が悪いとかではなく!
ボクはお兄様に幸せになって欲しいのです!
今のお兄様は、表情筋も絶好調でお仕事をされておりますし、笑顔も素敵ですし、えっと、えっと、とにかく、お幸せそうなので!
諦めているような方にも、お兄様のように幸せな未来があるといいと思います!」

「そうだな。だが、私はこの大会での優勝を逃すつもりはないぞ?
優勝は私だ。決して手を抜かぬ。私にも得たいものがあるのでな?」

「はい!勿論です!お兄様が優勝です!だってとってもお強いですし!
お兄様の試合、楽しみにしております。全力で応援いたしますのでっ!
でも、怪我だけはしないでくださいね?元気が一番大切ですから!」

握り締めた手をぶんぶんと振れば、グイっと引っ張られお兄様の腕の中に。

「ひゃあ!……お、お兄様?」
「クリス、私は必ず優勝する。楽しみにしていてくれ」

うん。
お兄様はね、絶対に優勝する。
経歴に「中等部の武術大会で連戦連勝腐敗記録を持つ」ってあったもの。
でも、ボクが信じてるのは、ゲームの知識が理由じゃあない。

「ボクの大好きなお兄様はとっても努力家ですものね!絶対に勝つって信じてます」


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