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高等部
163、平穏……?
とにもかくにも、お隣の席のオルフェとも仲良くなって一安心です。
午前中は朝の出来事などなかったかのように平穏のうちに終わりそう。
休憩のたびにクラスメートの皆さんが挨拶に来てくれて、口々に「回復してよかったね」だとか「何かあれば言って」と仰ってくれたのが嬉しくて、ずっとにこにこしてしまいました。
三つも年齢が違うのに受け入れて頂けるかと少しだけ心配だったのだけれど、そんなものはどこかに吹っ飛んでいきました。
お兄様が仰るにはこのクラスは成績上位者のクラスだからだそう。必然的に幼い頃から家庭教師をつけてしっかりと教育を受けている高位貴族や、素行の良い生徒が集まっているのだといいます。
確かにそんな感じです。
ジェラルドという平民で特待生のクラスメートもいらして、ピンクの髪をしていたので「もしやこちらが平民系あざと主人公?」と一瞬ドキッとしましたが、話をしてみると兄貴気質のサッパリした方でほっとしました。
実力で上位の成績を取るだけのことはあり、とても優秀そう。
でも、意外とドジなところもあり、あちこちで机にぶつかったり本を落としたりしていました。
もしかしたら、リョウがいなければこちらが主人公だったのかもしれません。ジェラルドのジェシーならみんなに好かれるというのが理解できるからです。
その場合は、ジルベスター様を貶めようとしたというよりも、不幸な誤解が重なった結果お兄様の断罪につながったのではないでしょうか。
もしかしたら、リョウはボクと同じようにこの世界のイレギュラーなのかもしれません。ボクとリョウが介入したことで何かが変わったのでしょう。
ジェラルドの仇名もジェシーだそうですが「他の奴と勘違いされそうだから、ルドと呼んでくれ」とのこと。
嫌そうに顔をしかめたところを見ると、リョウジェシーのことで何か嫌な目に遭ったのかもしれません。
お兄様が同情に満ちた表情で仰います。
「それが賢明だろう。アレと間違われてはたまらぬからな」
「だよなあ!そういえば、今朝絡まれていたらしいな。大変だったな」
「ありがとう。しかし問題はない。私のクリスが勇ましく戦ってくれたからな」
「お兄様とアイク様たちもボクのために戦ってくださったんです! あ、ルドも何かあれば言ってくださいね」
「うむ。アレはなかなかに厄介だからな。君では対処が難しいこともあるやもしれぬ。何かあれば私たちを頼るといい」
お兄様の言葉に、ルドが満面の笑みを漏らしました。
「てか、敬語で話せだとか不敬だとか言わないんだ? ジルベスターって意外といい奴なんだな。なんていうか……話しかけても無表情だからさ、俺のことを平民だって馬鹿にしているのかと思ってた。すまん。俺の誤解だった。許してくれ」
男らしく頭を下げるルドに、ボクは心の中で盛大に叫んでしまいました。
危ないっ!!こっちが本来の主人公パターンでした!あざとじゃなく正統派主人公!
体格や顔はゲームとは違い可愛らしいというよりカッコいい系ですが、よく見ると確かに可愛い系だった面影があります。どこかでルート変更があったのでしょう。
でも、絶対にこっちの方が主人公に相応しい!リョウは別枠だった!
ミノくんも同じことに気付いたようで「うわ、マジか……っ!」と呟いております。
ほんと「マジか!」だよね!危なかった!
もしも見逃していたら、誤解が誤解を生んで……いや、アイク様はミノくんだし、イクシス様やウエイン様も味方だし、問題ないのかも?
でも危険な芽は無事に摘まれました。
「お兄様の表情筋はとある事情で死滅していたのです。なんとか蘇りはしたのですが、ベースは無表情なのです。ごめんなさい」
ペコリと頭を下げれば、隣で話を聞いていたオルフェが「表情筋が死滅……なるほど。それじゃあルドが誤解しても仕方ないね?正直私もクリスが来る前と来た後ではジルの印象がガラリと変わったしね」とクスクス笑っております。
ルドは「だよな?!良かった、俺だけじゃなかった」と心底ほっとした様子。
そんな二人にお兄様が苦笑しながらボクの頭を優しく撫でます。
「不快な思いをさせたのならばすまない。自分では分からぬのだが……」
そして改めてルドに向き直ると、その美しい手をルドに差し出しました。
「君に悪感情などはない。むしろ自らの力でこのクラスに入ったその努力は尊敬に値すると思っている」
「!そ、そうか。いや……そう言って貰えて嬉しい。改めて宜しくな、ジルベスター」
「ジルで良い。よろしく頼む」
がっしりと握手を交わす二人を見て、ボクとミノくんは目を見交わしました。
うん。感動だよね。
ゲームでいうなら最高のハッピーエンドだもの。
アイク様もルドに手を差し出しました。
「ジェラルド、私だけ仲間外れにしたりはしないでくれよ?私もルドと呼んでいいだろうか」
さすがに一瞬躊躇したルドは、それでも笑顔で手を握り返しました。
「はい。ルドとお呼びくださいアイク様」
あ。敬語使えるんですね。
ということは、さっきのお兄様へのフランクは感じはわざと?お兄様の出方を見たかったのかもしれません。
さすがは特待生。優秀すぎます。
「えへへ!ボクたちもうお友達ですね!嬉しいです、ルド。よろしくお願いいたしますね」
お兄様が「ジル」呼びを許可し、アイク様も自らルドを「仲間である」と表明しました。きっとこのことはクラスメートの口から学園中に広まっていくことでしょう。
これでルドを平民だと馬鹿にしたり無理難題を押し付けるような輩は二の足を踏むはずです。
だって第一王子と筆頭公爵家嫡男が後ろ盾になると示したのですから。敵に回すようなことはしたくないでしょう。
オルフェとルドも
「……お兄様、大好きです」
「どうした?」
「えへへ。なんでもありません」
さり気なく相手に気取られることなく気遣いできる、そんなお兄様がボクは大好きなのです。
それにしても、ルドと会って余計に分からなくなりました。
リョウはいったいなんなのでしょう?
その外見と「ジェシー」という愛称からあざと主人公だと思い込んでしまいましたが、そもそもどうしてリョウはこの世界にいるのでしょうか?
ゲームの内容も知っているようでしたが、そもそもリョウも「ラブ☆レボ」をやっているなんて知りませんでした。リョウの好みはシューティングだとかホラー系のゲームだったはずなのに。
謎です。
ボクはきっとジル様のためにこの世界に来たのです。絶対にそうです。間違いありません。
ミノくんも同じような理由でしょう。
そういえば、ボクは事故で死んでしまって転生したのでしょうけれど、ミノくんはどうしたのでしょうか?
アイク様がミノくんだったという衝撃やリョウのことで失念しておりましたが、ミノくんも向こうの世界で死んでしまったのでしょうか?
ひとつがクリアになればまた別の謎が浮かびます。
ああ、課題は山積みです!
「アイク様、頑張りましょうね!」
「え?私?!」
そう。ミノくんもある意味一蓮托生なのですから。一緒にお兄様の幸せな未来に向け、頑張りましょう!
午前中は朝の出来事などなかったかのように平穏のうちに終わりそう。
休憩のたびにクラスメートの皆さんが挨拶に来てくれて、口々に「回復してよかったね」だとか「何かあれば言って」と仰ってくれたのが嬉しくて、ずっとにこにこしてしまいました。
三つも年齢が違うのに受け入れて頂けるかと少しだけ心配だったのだけれど、そんなものはどこかに吹っ飛んでいきました。
お兄様が仰るにはこのクラスは成績上位者のクラスだからだそう。必然的に幼い頃から家庭教師をつけてしっかりと教育を受けている高位貴族や、素行の良い生徒が集まっているのだといいます。
確かにそんな感じです。
ジェラルドという平民で特待生のクラスメートもいらして、ピンクの髪をしていたので「もしやこちらが平民系あざと主人公?」と一瞬ドキッとしましたが、話をしてみると兄貴気質のサッパリした方でほっとしました。
実力で上位の成績を取るだけのことはあり、とても優秀そう。
でも、意外とドジなところもあり、あちこちで机にぶつかったり本を落としたりしていました。
もしかしたら、リョウがいなければこちらが主人公だったのかもしれません。ジェラルドのジェシーならみんなに好かれるというのが理解できるからです。
その場合は、ジルベスター様を貶めようとしたというよりも、不幸な誤解が重なった結果お兄様の断罪につながったのではないでしょうか。
もしかしたら、リョウはボクと同じようにこの世界のイレギュラーなのかもしれません。ボクとリョウが介入したことで何かが変わったのでしょう。
ジェラルドの仇名もジェシーだそうですが「他の奴と勘違いされそうだから、ルドと呼んでくれ」とのこと。
嫌そうに顔をしかめたところを見ると、リョウジェシーのことで何か嫌な目に遭ったのかもしれません。
お兄様が同情に満ちた表情で仰います。
「それが賢明だろう。アレと間違われてはたまらぬからな」
「だよなあ!そういえば、今朝絡まれていたらしいな。大変だったな」
「ありがとう。しかし問題はない。私のクリスが勇ましく戦ってくれたからな」
「お兄様とアイク様たちもボクのために戦ってくださったんです! あ、ルドも何かあれば言ってくださいね」
「うむ。アレはなかなかに厄介だからな。君では対処が難しいこともあるやもしれぬ。何かあれば私たちを頼るといい」
お兄様の言葉に、ルドが満面の笑みを漏らしました。
「てか、敬語で話せだとか不敬だとか言わないんだ? ジルベスターって意外といい奴なんだな。なんていうか……話しかけても無表情だからさ、俺のことを平民だって馬鹿にしているのかと思ってた。すまん。俺の誤解だった。許してくれ」
男らしく頭を下げるルドに、ボクは心の中で盛大に叫んでしまいました。
危ないっ!!こっちが本来の主人公パターンでした!あざとじゃなく正統派主人公!
体格や顔はゲームとは違い可愛らしいというよりカッコいい系ですが、よく見ると確かに可愛い系だった面影があります。どこかでルート変更があったのでしょう。
でも、絶対にこっちの方が主人公に相応しい!リョウは別枠だった!
ミノくんも同じことに気付いたようで「うわ、マジか……っ!」と呟いております。
ほんと「マジか!」だよね!危なかった!
もしも見逃していたら、誤解が誤解を生んで……いや、アイク様はミノくんだし、イクシス様やウエイン様も味方だし、問題ないのかも?
でも危険な芽は無事に摘まれました。
「お兄様の表情筋はとある事情で死滅していたのです。なんとか蘇りはしたのですが、ベースは無表情なのです。ごめんなさい」
ペコリと頭を下げれば、隣で話を聞いていたオルフェが「表情筋が死滅……なるほど。それじゃあルドが誤解しても仕方ないね?正直私もクリスが来る前と来た後ではジルの印象がガラリと変わったしね」とクスクス笑っております。
ルドは「だよな?!良かった、俺だけじゃなかった」と心底ほっとした様子。
そんな二人にお兄様が苦笑しながらボクの頭を優しく撫でます。
「不快な思いをさせたのならばすまない。自分では分からぬのだが……」
そして改めてルドに向き直ると、その美しい手をルドに差し出しました。
「君に悪感情などはない。むしろ自らの力でこのクラスに入ったその努力は尊敬に値すると思っている」
「!そ、そうか。いや……そう言って貰えて嬉しい。改めて宜しくな、ジルベスター」
「ジルで良い。よろしく頼む」
がっしりと握手を交わす二人を見て、ボクとミノくんは目を見交わしました。
うん。感動だよね。
ゲームでいうなら最高のハッピーエンドだもの。
アイク様もルドに手を差し出しました。
「ジェラルド、私だけ仲間外れにしたりはしないでくれよ?私もルドと呼んでいいだろうか」
さすがに一瞬躊躇したルドは、それでも笑顔で手を握り返しました。
「はい。ルドとお呼びくださいアイク様」
あ。敬語使えるんですね。
ということは、さっきのお兄様へのフランクは感じはわざと?お兄様の出方を見たかったのかもしれません。
さすがは特待生。優秀すぎます。
「えへへ!ボクたちもうお友達ですね!嬉しいです、ルド。よろしくお願いいたしますね」
お兄様が「ジル」呼びを許可し、アイク様も自らルドを「仲間である」と表明しました。きっとこのことはクラスメートの口から学園中に広まっていくことでしょう。
これでルドを平民だと馬鹿にしたり無理難題を押し付けるような輩は二の足を踏むはずです。
だって第一王子と筆頭公爵家嫡男が後ろ盾になると示したのですから。敵に回すようなことはしたくないでしょう。
オルフェとルドも
「……お兄様、大好きです」
「どうした?」
「えへへ。なんでもありません」
さり気なく相手に気取られることなく気遣いできる、そんなお兄様がボクは大好きなのです。
それにしても、ルドと会って余計に分からなくなりました。
リョウはいったいなんなのでしょう?
その外見と「ジェシー」という愛称からあざと主人公だと思い込んでしまいましたが、そもそもどうしてリョウはこの世界にいるのでしょうか?
ゲームの内容も知っているようでしたが、そもそもリョウも「ラブ☆レボ」をやっているなんて知りませんでした。リョウの好みはシューティングだとかホラー系のゲームだったはずなのに。
謎です。
ボクはきっとジル様のためにこの世界に来たのです。絶対にそうです。間違いありません。
ミノくんも同じような理由でしょう。
そういえば、ボクは事故で死んでしまって転生したのでしょうけれど、ミノくんはどうしたのでしょうか?
アイク様がミノくんだったという衝撃やリョウのことで失念しておりましたが、ミノくんも向こうの世界で死んでしまったのでしょうか?
ひとつがクリアになればまた別の謎が浮かびます。
ああ、課題は山積みです!
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