キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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高等部

166、ルド2

あまりにもサクッと切り捨てたルドに、思わず笑ってしまいました。
ルドの言う通りだなと思って。

だって、貴族でなくともルドなら大丈夫。きっと自分の力で夢を叶えるでしょう。
家族との仲も良さそうですし、このクラスでも好かれています。

真実でも知らない方がいいこともあるのです。
ボクは口をつぐむことにしました。

ゲームの主人公の友人は、友人というよりも「親派」「信者」のようにルドを囲いこみ守っておりましたが、今のルドの周りにいる友人はそういうタイプではないみたい。とてもまとも。
今も後ろで「おい、ルド!言葉遣い!もう少し気を使えよ」だの「気楽にするにも限度があるだろ!」とルドを諫めております。
良いお友達ですね。

「大丈夫ですよ。だって今は公の場ではありません。クラスのお友達としてお話しているんですから!
でも、他の場所では皆さんに対してもう少し言葉を気を付けたほうがいいかも。
だって将来弁護士になりたいのでしょう?
相手がだれであれ、お客様にはきちんと接しないと。
学園に居る間はその練習だと思って、丁寧な話し方を心掛けて見てはどうでしょうか?」

ボクの言葉にルドがハッと目を見開きました。

「そういや、クリスは誰に対しても丁寧な話肩をしてるよな?俺みたいな平民にも。
クリスは公爵家の息子なんだろ?もっと……なんつーか違う話し方をすんのが普通じゃねえのか?」

「え?ボクですか?これは……えっと……クセ?仕様?
ボクはこれが話しやすいので、ボクにとってはこれが自然なのです」

その言葉にお兄様とアイク様が苦笑しております。

「クリスは昔からこうなのだ」

「ちなみに、ジルのこの口調は家格が下のものを見下しているわけじゃないからね。私に対しても、イクシスやウエインに対してもこうだから。溺愛しているクリスにだってこうだしね」

アイク様、ナイスフォロー!

「……私の口調はそこまで横柄なものなのだろうか?……クリス、どうだ?」

「えっと……お兄様の口調は先代公爵がお父様やお兄様にそのように厳しく教えられたのでしたよね?そのせいか少し古めかしいというか堅苦しいというか……あの……その……お兄様らしくていいと思います!」

ワイワイと話をしていると、他のクラスメートも集まってきました。

「ジル様のその口調は公爵家での教育によるものだったのですね!どうりで!」

声を上げたのは高等部から入学組の方です。

「ほら、言っただろう?横柄な方ではないって」

中等部で一緒だったみなさんが、お兄様の誤解を解こうとしてくださっていたもよう。
これまでのボクのお兄様の素晴らしさの布教が功をそうしていたのですね。ちょっと嬉しい。

「すみません、ジルベスター様のことを、その……厳しいお方なのだと誤解しておりました。しかし、クリストファーくんやジェラルドと話していらっしゃるのを見て、考えを検めました。今まで少し距離のある接し方をしていたかもしれません。改めて謝罪させてください」

頭を下げてくれたのは、伯爵家のご子息です。
正直な物言いにとても好感が持てます。

お兄様はちょっと驚いたようにパチと瞬きをし、ふ、と口元を緩めました。

「謝罪の必要は無い。全ては私の不徳の致すところなのだから。できれば、気楽に接して欲しい。私のことはジルで良い」

「あ!ボクのこともクリスと呼んでください!」

「じゃあ俺もルドで!」

ここからみんなで「〇〇と呼んで」合戦が始まりいっきに場は和やかムードになりました。
ルドのこういうところはさすが主人公!

ここでご令嬢がおずおずと口を開きました。

「あの、ジルベスター様はクリストファー様と御兄弟なのですわよね?とても仲がよくて素敵ですわ!」

「ええ、ジルベスター様がとてもお優しい表情をしていらして……眼福……こほん、心洗われる想いですわ」

胸の前で手を組み、目をキラキラさせていらっしゃいます。
ボクは一瞬聞こえた「眼福」と言う言葉を聞き逃しませんでした。

「分かります!お兄様の笑顔、とっても素敵ですよね?そう、正に眼福なのです!その笑顔を見るだけで一日頑張れる気がいたします!」

「分かりますわ!なんというか……こう、胸がキューンといたしますの!」

「ですよねですよね!あ、でもキョウキュウカタだと頭がパーンとなる危険物でもあるのです。笑顔を見たいのに、沢山摂取するのは危険。悩ましいところです……」

うむうむと分かり合っていると、ガシっと手を掴まれました。

「クリス、とお呼びしてもよろしいのですわよね?わたくしレティシア・ハーネスと申します。レティと呼んでくださいませ。クリス!わたくしたち、お友達になりませんこと?」

「!!いいのですか?なりますっ!お友達にしてくださいませっレティ!えと、ボク……」

と、グイっと手を掴まれ、レティと引き剥がされてしまいました。

「クリス、ご令嬢に対して距離が近すぎるのではないか?」

「!す、すみません。思わず。とっても嬉しくって……。ごめんなさいレティ」

「いえ、わたくしも嬉しくておもわず……。失礼いたしました」

しょんぼりと首を竦めるボクたちに、アイク様が一言。

「ジルが狭量なだけだから気にしなくていい。単なる嫉妬だ」

「アイク!」

かああ、とお兄様のお耳が赤くなっております。

「お、お兄様、かわいい……っ!も、もしかして、本当にやきもちなのですか?
えと、ボクはお兄様至上主義ですので!ご安心くださいっ」

「……頼むから、よせ……」

「あの、お顔を見せて頂けませんか?その手をどけてくださいませっ!
絶対に最高に可愛いお顔をしていらっしゃると思うのです。レアです、レア!」

両手で顔を隠すお兄様にぐいぐいと迫れば、ついに机に上半身を伏せてしまわれました。

「クリス……頼むから……」

ええー?レアお兄様なのにい……。



「あー……」

はッと気付けば、クラスメートの皆さんの温かい視線。

「ジル様ってこういう感じだったんですねえ。……うん。不敬かもしれませんが、確かにお可愛らしい」

「いや、僕らが噂で聞いた『氷の令息』だとかいうのはなんだったんですかね?」

「ふふふ。クリスがこうなのですもの、その氷も溶けてしまったのではなくて?」



なぜかアイク様が謝罪した。

「この二人はこれが通常仕様なのだが、悪気はないのだ。
見ていられぬ気持ちは分かるがどうか慣れてやって欲しい」



失礼な!
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