キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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高等部

169、ボクとミノくんとジェシー2

ボクがずっと避けてきた話題。
それは、異世界転生あるある。
向こうの世界で死んでこっちの世界に来た、そういうお話。
ボクがうっすらと思い出した前世の最後の記憶。




あの日、僕はミノくんとの待ち合わせ場所に向かっていた。
ゲームショウに「ラブ☆レボ」のブースが出展し会場限定で書下ろしイラストのQRコードが配布されるというので、一緒に行くことになっていたのだ。
少し早く待ち合わせ場所に着いたボクは、時間までスマホでジル様情報を検索することにした。バッグを置いてスマホ片手にベンチに座ろうとした、その時……

「ゆうっ!」

ミノくんの声を聞いた気がした。

キキーッ!
急ブレーキの音。
悲鳴。ドーンという衝撃。
真っ赤に染まった視界。
叫び声。
暗転。

これが僕の最後の記憶。
音と色。それだけの記憶。
痛みや悲しみなどを覚えていないのは、神様のせめてもの情けなのかな?
それとも一瞬で命を奪われたから、もう感覚が無かったのかもしれない。

それでね。
アイク様がミノくんだと分かったとき、思ったんだ。あの声はミノくんだったんだろう。
きっとあの時、ミノくんも近くにいた。。
あの後ミノくんも死んじゃったの?
願わくば、ミノくんが僕が死んだところを見ていないといい。
最後の記憶が親友の死だなんて悲しすぎるもの。

ねえミノくん。
ミノくんも僕と同じようにジル様を思っていたから、この世界に来たの?
転生の過程で数年の年齢差がでてしまったけれど、記憶を思い出したタイミングも違ったけれど。
そんなのは誤差の範疇。
ボクは「僕が側に居たらジル様をお守りできたのに」と願ったからジル様の側クリスに。
ミノくんはきっと「俺がアイクならジル様にそんな仕打ちなんてしないのに」とでも願ったんじゃないかな。



でも、リョウは?

僕の知る限り「ラブ☆レボ」はリョウが好きなタイプのゲームじゃない。
彼が好きなのは、ホラゲーやシューティング系と呼ばれるもの。恋愛シュミレーションは対象外のはずだ。
なのにどうして「ラブ☆レボ」の世界に来ているの?
「ラブ☆レボ」の主人公と成り代わろうとしていたの?

僕の勘が言っている。恐らくそこが、リョウにとって一番大切なこと。
ボクとお兄様、アイク様の未来にも関わることなんだって。




こんなこと、お兄様の前では聞けません
ボクが前世のことを「夢の話」としてお話したのは、ゆうが死んだということをお兄様に言えなかったから。
いつかはお話するときがくるのかもしれません。でももう少し時間が欲しいのです。
気持ち悪いだとか、嫌われてしまうかもだとかそんなことを心配しているわけではありません。
ボクの知るお兄様ならそんなことはないって分かっているから。
それくらいの自信はあるのです。
でも、僕が一度死んでボクになっただなんて。そんなことを知ったら、お兄様は胸を痛めるでしょう?
僕が死んだことにその心を痛め、さらに、お兄様のためにこちらの世界に来たということに心を痛め。
ボクのことでお兄様が傷つくこと、悲しむこと。
それが一番怖いのです。



かといって、リョウをずっと避け続けることはできないでしょう。
だって向こうにそのつもりはないのですから。

今の状況はこちらに有利です。
だから今のうちがチャンスなのではないでしょうか?

怖くないとはいいません。
前世でされたことを思えば、背中がゾワゾワします。
悔しさや、悲しみ、怒り。
色々な気持ちが胸に蘇ります。

でも、そのすべてがお兄様に繋がったのだと思えば、そのすべてのお陰で今があるのだと思えば、戦えます。
それだけの力をボクはお兄様に頂いてきましたから。

リョウ、どうしてこの世界に居るの?
何をしに来たの?
何がしたいの?

それをボクは聞かなくては。
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