キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

文字の大きさ
176 / 226
高等部

175、アイク様到着

そうこうするうちに、アイク様が到着したと連絡があった。

迎えに出たボクたちの顔を見たとたん「あー……」と肩を落とし上を向くアイク様。

「わざわざ来てくださってありがとうございます!
今日はよろしくお願いしますね」

「私は同席するなというのでな。隣室で待機させてもらう。
アイク、クリスを頼む」

「いや、それはいいんだが。……私に何か言うことはないか?」

じとー、という視線を向けられてもなにがなにやら。
とりあえず、もう一回言っておくことにしました。

「……よろしくお願いします?」

首を傾げながら言ってみると、苦笑されてしまいました。
どうやら違ったみたいです。

「うん。それはもう聞いたね。
そうじゃなくってさあ!親友の俺に何か言うことはないって言ってんの!
絶対にジルと何かあっただろ。くそっ!」

くしゃくしゃっと髪をかき混ぜて(ボサボサ頭になっちゃったけどいいの?!王子様なのに!)今度はお兄様に向き直る。

「……ジル、元婚約者の私に言うことがあるだろう?私がクリスに婚約の打診をしたのを知っているはずだ。
却下したのは君だなどうせクリスには言っていなかったのだろう?」

そっち!なんで分かったの?!

「……えっとお。ミノくん、ボク、お兄様と結婚するお約束をしました。
あの、その……アイク様からの婚約のお話があったのを知らなくって……ごめんなさい?」

「うん。きっとクリスは知らないだろうと思っていたから、それはまあ仕方ないね。
こうなるだろうと思っていたし、ある意味諦めがついたといえばついたんだけど……まさかこんなときに……。
ジル、堪え性がなさすぎだろう。もう少し待てなかったのか?」

呆れたようにお兄様をジロリ。
睨まれたお兄様は平然とこう返しました。

「ジェシーとやらがクリスに執着しているようだったのでな。
付け入る隙を一部たりとも与えたくなかったのだ」

「それはそうだろうけどな……はぁ……」

「でもどうして分かったのですか?」

「いや、自分の顔を鏡でみてごらん?世界一幸せです、って書いてあるから」

「ええ?!お兄様、見てくださいっホントですか?」

「うむ。確かに今日のクリスはいつにもまして可愛らしい」

「そこでどうしてノロケに発展するの?!頼むから私の前では控えてくれ。これでもクリスに振られたのはそれなりに堪えているんだ」

あ!そうでした!

「……ごめんなさい、アイク様。
でも、あの、ミノくんは親友なので、結果的にアイク様がミノくんなら良かったっていうか……えっと、その……」

「……ミノもゆうのこと好きだったんだよ。親友としてもだけど、それ以上に」

ええ?!

がーん、とそのまま固まってしまったボクにミノくんが切なげな笑みを浮べた。

「はは。やっぱ気付いて無かったか!長期戦でいいくつもりでいたんだけどさ。……まあ、転生しちまったこうなっちまったからな……。
ちぇ。もっと早く記憶……ごほん、ゆめを見てゆうのことに気付いてたら違ったのかな?」

「……あのねゆうはミノくんのこと親友として大好きだったけど……おんなじだったと思います。
だってジル様がいるから。ボクにとってお兄様は特別なのです」

「うん、知ってる。俺だってジル様推しだったしな。……あーあ!相手がリョウだったなら勝てたのに!残念!」

「リョウとミノくんじゃあ、比べ物にもならないよ。だって僕、ミノくんとジル様のお陰でまた毎日が楽しくなったんだもん」

「そっかあ……。じゃあ、まあしょうがねえな!さすがにジル様には勝てねえわ」

「「最推しだしね!」」

最後はハモってしまいました。
ミノくん、いえ、今はアイク様の気持ちが嬉しくて、切なくて。
ごめんね、って言うのも違うと思ってボクはこう言ったのでした。

「ミノくんも、アイク様も僕とボクを大事に思ってくれてありがとうございます」

うん、と頷いたアイク様は、俯いてはあーっと大きなため息をひとつ。
顔を上げた時には、いつものアイク様に戻っていました。

「ジル、ミノはゆうのことが大好きだった。ジルがクリスを想うのと同じように、ゆうのことを想ってたのだ。
だからミノの分も、アイクである私の分も……ゆうの、クリスのことを大切にしてくれ」

握った拳でトンと軽くお兄様の胸を突いた。

「ああ。無論そのつもりだ。……クリスを想ってくれたこと、礼を言う」


感想 262

あなたにおすすめの小説

本の虫な転生赤ちゃんは血塗りの宰相の義愛娘~本の世界に入れる『ひみちゅのちから』でピンチの帝国を救ったら、冷酷パパに溺愛されてます

青空あかな
ファンタジー
ブラック企業に勤める本の虫でアラサーOLの星花は、突然水に突き落とされた衝撃を感じる。 藻掻くうちに、自分はなぜか赤ちゃんになっていることを理解する。 溺死寸前の彼女を助けたのは、冷徹な手腕により周囲から「血塗りの宰相」と恐れられるアイザック・リヴィエール公爵だった。 その後、熱に浮かされながら見た夢で前世を思い出し、星花は異世界の赤ちゃんに転生したことを自覚する。 目覚めた彼女は周囲の会話から、赤ちゃんの自分を川に落としたのは実の両親だと知って、強いショックを受けた。 前世の両親もいわゆる毒親であり、今世では「親」に愛されたかったと……。 リヴィエール公爵家の屋敷に連れて行かれると、星花にはとても貴重な聖属性の魔力があるとわかった。 アイザックに星花は「ステラ」と名付けられ彼の屋敷で暮らすようになる。 当のアイザックとはほとんど会わない塩対応だが、屋敷の善良な人たちに温かく育てられる。 そんなある日、精霊と冒険する絵本を読んだステラはその世界に入り込み、実際に精霊と冒険した。 ステラには「本の世界に入り込み、その本の知識や内容を実際に体験したように習得できる特別な力」があったのだ。 彼女はその力を使って、隣国との条約締結に関する通訳不在問題や皇帝陛下の病気を治す薬草探索など、様々な問題を解決する。 やがて、アイザックは最初は煩わしかったはずのステラの活躍と愛らしさを目の当たりにし、彼女を「娘として」大切に思うようになる。 これは赤ちゃんに転生した本好きアラサーの社畜OLが、前世の知識と本好きの力を活かして活躍した結果、冷徹な義父から溺愛される話である。

​転生したら最強辺境伯に拾われました

マンスーン
BL
現代日本人・東堂裕太が目を覚ますと、そこは異世界。クズな婚約者に魔力を限界まで搾取され、ボロボロになって森に捨てられる悲惨な青年・ルカに転生していた。 ​死を覚悟した裕太だったが、そんな彼を拾い上げたのは、帝国最強の武力を誇り「氷の死神」と恐れられる辺境伯・ラーク。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

拾われたのはたぶん僕です 〜ポンコツ魔法使いと騎士団の平和な大事件〜

ニア。
BL
崖から落ちただけなのに、騎士団長に拾われました。 真面目に生きてきた魔法使いモーネ。 ただ薬草を採ろうとして滑落しただけなのに、なぜか王国最強の騎士団長イグラムに連れて行かれ、騎士団で暮らすことに。 しかしこの魔法使い、少しだけ普通ではありません。 回復魔法を使えば何かが増え、 補助魔法を使えば騎士団が浮き、 気づけば庭はプリンになります。 ——本人はちゃんとやっています。 巻き込まれる騎士団と、なぜか楽しそうな団長。 さらに弟子や王子、ドラゴンまで加わって、騎士団は今日も平和に大騒ぎ。 これは、ポンコツ魔法使いが真面目に頑張るたびに世界が少し壊れる、騒がしくて優しいファンタジーです。

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼不定期連載となりました。 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。