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高等部
176、ミノくんとボク
お兄様の言葉にアイク様が笑った。
「ジルに礼を言われてもなあ。まあいいさ。私はジルとクリスの親友で満足しておくよ」
「親友?誰と誰が?ゆうとミノは親友だったようだが、お前とクリスは違うだろう。
無論私も元婚約者ではあるが親友ではないと思うのだがな?」
あまりな物言いに思わず「お兄様?!」と袖を引っ張ってしまいました。
するとお兄様はニヤリと笑ってこう続けたのです。
「私たちのような関係は悪友と言うのだ。親友と言うにはお前との婚約に振り回されすぎたからな。
アレがなければもっと早くクリスと婚約していたものを」
おお!お兄様がアイク様に当て擦りを!
でも、五歳で「清楚で可憐」だと勘違いされて婚約させられたあげく、「勘違いだった」んだものね。お兄様の気持ちはとても良くわかります。
これにはさすがのアイク様も決まり悪そうに視線を逸らしました。
「いや、クリスもあの頃のジルを見たら分かると思うよ?こんなにふてぶてしくは無かったし!」
じとー……。
ちゃんとお話してからにすれば良かったと思うのですが?
チラ見した外見だけで思い込むからこういうことになるのです。
ゲームの中でもころっとジェシーの外見に騙されちゃってますし。
あ、でも実際のジェシー(ルド)は天然系っぽかったから、騙されたわけじゃないのかも?
「次は気を付けてくださいね?もう『やっぱりやめます』はできませんからね?
ちゃんとよく知り合ってからにしてくださいね?
ボク、ジェシーみたいなのが王妃様になるとか、許せませんからね?
……そうなったら……」
ひえ!想像しただけで背筋がゾクゾクっとしちゃいました。
アイク様とお兄様も想像したみたいで、鼻にしわを寄せて嫌そうな表情に。
「いや、それは無い。見る目がないにも限度がある」
言った後で、ゲームのことを想いだしたみたいで言い直すアイク様。
「……今は大丈夫。だって俺だし!なんていってもクリスっていう天然モノをすぐ側で見てきたんだぞ?
今さら養殖モノなんかに騙されるわけねえだろ?」
ボクのことはおいておいて、確かにアイク様はアレだけれど、ミノくんなら信用できます。
「頑張ってね、ミノくん!」
リョウが来るまではまだ1時間あるので、お兄様とアイク様と今後の打ち合わせ。
お話するのは、少し小さめの客間。
使用人さんにはお茶の用意だけしたら下がって貰って、ボクとアイク様だけでリョウに相対することになる。
お兄様が心配するので、ブリードさんに同席(?)してもらうことに。
アイク様には見えていないけれど、アクアとグエンもブリードさんと一緒に同席する。
ということで、ブリードさんのおうち(陶製のボウルに水を少し入れて、苔のついた大きな石をいくつかいれたもの)を客間に運んでもらいました。
ゲーブルに置くとリョウが何をするか分からないから、念のため棚の上に。
リョウからはブリードさんが見えないけれど、ブリードさんからは見ようと思えば見える。そんな位置。
アクアとグエンは棚の天板に腰をかけ、足をぶらぶらさせながら待機しております。
目が合ったら小さく手を振ってくれました。
うん。ありがとう。よろしくね。
お兄様は隣室で待機。
大きなベルを持ってきて「何かあれば鳴らしなさい。すぐに駆け付けるゆえ」だそう。
こんな大きなベル、よくありましたね?
目立ちすぎでちょっとどうかと思うのですが……せっかくのお気持ちなので、置きました。テーブルの上に。
アイク様は「いやこれ、警戒してますって主張しすぎじゃないか?」と困惑しているけれど、「お兄様のお気持ちを無にできます?無理でしょう?」って言ったら「推しのお気持ち!そりゃ無理だ!」と納得してくれました。
ミノくんも僕と同じジル様推しだったものね。
じゃあ、ここからは、僕の話。
リョウが来るより1時間も前に来て貰ったのには、理由がある。
ずっと聞きたかったこと。
ソファに向かい合って座る。
こうしてこっちの世界で二人で話すのは初めてだね、ミノくん。
ミノくんも同じことを思ったみたいで、ちょっと照れたみたいにクスリと笑った。
「はは。なんか……変な感じだな」
「えへへ。だね。クリスになってからミノくんと二人で話すのは初めてだものね」
「クリスにはいつもジルがベッタリだもんな」
「ミノくん。ジェシーが来るまでまだ少し時間があるから、聞いていい?
ずっと聞きたかったことなの。
あのね、先に言っておくね。辛い話になるかも。ごめんね。
異世界転生のお約束。こっちにいるってことは……ミノくんも、なんだよね。
僕の最後の記憶は、ミノくんと待ち合わせをしたこと。
キキーってブレーキの音がして、悲鳴が聞こえて。
たぶん、そこでゆうは死んで、ボクになったんだと思う。
ゆうの記憶が戻ったのは、五歳のとき。ジル兄様に会った衝撃で思い出したの。
ミノくんは?ねえ、ミノくんにあの日何があったの?」
「ジルに礼を言われてもなあ。まあいいさ。私はジルとクリスの親友で満足しておくよ」
「親友?誰と誰が?ゆうとミノは親友だったようだが、お前とクリスは違うだろう。
無論私も元婚約者ではあるが親友ではないと思うのだがな?」
あまりな物言いに思わず「お兄様?!」と袖を引っ張ってしまいました。
するとお兄様はニヤリと笑ってこう続けたのです。
「私たちのような関係は悪友と言うのだ。親友と言うにはお前との婚約に振り回されすぎたからな。
アレがなければもっと早くクリスと婚約していたものを」
おお!お兄様がアイク様に当て擦りを!
でも、五歳で「清楚で可憐」だと勘違いされて婚約させられたあげく、「勘違いだった」んだものね。お兄様の気持ちはとても良くわかります。
これにはさすがのアイク様も決まり悪そうに視線を逸らしました。
「いや、クリスもあの頃のジルを見たら分かると思うよ?こんなにふてぶてしくは無かったし!」
じとー……。
ちゃんとお話してからにすれば良かったと思うのですが?
チラ見した外見だけで思い込むからこういうことになるのです。
ゲームの中でもころっとジェシーの外見に騙されちゃってますし。
あ、でも実際のジェシー(ルド)は天然系っぽかったから、騙されたわけじゃないのかも?
「次は気を付けてくださいね?もう『やっぱりやめます』はできませんからね?
ちゃんとよく知り合ってからにしてくださいね?
ボク、ジェシーみたいなのが王妃様になるとか、許せませんからね?
……そうなったら……」
ひえ!想像しただけで背筋がゾクゾクっとしちゃいました。
アイク様とお兄様も想像したみたいで、鼻にしわを寄せて嫌そうな表情に。
「いや、それは無い。見る目がないにも限度がある」
言った後で、ゲームのことを想いだしたみたいで言い直すアイク様。
「……今は大丈夫。だって俺だし!なんていってもクリスっていう天然モノをすぐ側で見てきたんだぞ?
今さら養殖モノなんかに騙されるわけねえだろ?」
ボクのことはおいておいて、確かにアイク様はアレだけれど、ミノくんなら信用できます。
「頑張ってね、ミノくん!」
リョウが来るまではまだ1時間あるので、お兄様とアイク様と今後の打ち合わせ。
お話するのは、少し小さめの客間。
使用人さんにはお茶の用意だけしたら下がって貰って、ボクとアイク様だけでリョウに相対することになる。
お兄様が心配するので、ブリードさんに同席(?)してもらうことに。
アイク様には見えていないけれど、アクアとグエンもブリードさんと一緒に同席する。
ということで、ブリードさんのおうち(陶製のボウルに水を少し入れて、苔のついた大きな石をいくつかいれたもの)を客間に運んでもらいました。
ゲーブルに置くとリョウが何をするか分からないから、念のため棚の上に。
リョウからはブリードさんが見えないけれど、ブリードさんからは見ようと思えば見える。そんな位置。
アクアとグエンは棚の天板に腰をかけ、足をぶらぶらさせながら待機しております。
目が合ったら小さく手を振ってくれました。
うん。ありがとう。よろしくね。
お兄様は隣室で待機。
大きなベルを持ってきて「何かあれば鳴らしなさい。すぐに駆け付けるゆえ」だそう。
こんな大きなベル、よくありましたね?
目立ちすぎでちょっとどうかと思うのですが……せっかくのお気持ちなので、置きました。テーブルの上に。
アイク様は「いやこれ、警戒してますって主張しすぎじゃないか?」と困惑しているけれど、「お兄様のお気持ちを無にできます?無理でしょう?」って言ったら「推しのお気持ち!そりゃ無理だ!」と納得してくれました。
ミノくんも僕と同じジル様推しだったものね。
じゃあ、ここからは、僕の話。
リョウが来るより1時間も前に来て貰ったのには、理由がある。
ずっと聞きたかったこと。
ソファに向かい合って座る。
こうしてこっちの世界で二人で話すのは初めてだね、ミノくん。
ミノくんも同じことを思ったみたいで、ちょっと照れたみたいにクスリと笑った。
「はは。なんか……変な感じだな」
「えへへ。だね。クリスになってからミノくんと二人で話すのは初めてだものね」
「クリスにはいつもジルがベッタリだもんな」
「ミノくん。ジェシーが来るまでまだ少し時間があるから、聞いていい?
ずっと聞きたかったことなの。
あのね、先に言っておくね。辛い話になるかも。ごめんね。
異世界転生のお約束。こっちにいるってことは……ミノくんも、なんだよね。
僕の最後の記憶は、ミノくんと待ち合わせをしたこと。
キキーってブレーキの音がして、悲鳴が聞こえて。
たぶん、そこでゆうは死んで、ボクになったんだと思う。
ゆうの記憶が戻ったのは、五歳のとき。ジル兄様に会った衝撃で思い出したの。
ミノくんは?ねえ、ミノくんにあの日何があったの?」
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