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終章 三年後……
195、学生生活が終わりました
「ジル!とっても素敵な答辞でした!ボク、感動して泣いちゃいました」
「ふふ。クリスがそう言ってくれるのならば、やった甲斐があった」
ボクに向かって伸ばされたジルの腕の中に遠慮なく飛び込む。
「最高でした!さすがジルです!映像に残せないのが本当に悔しいくらいです。
ああ、魔法があったらいいのに!」
ぎゅうっと抱き着けば、ジルもぎゅっとその腕でボクを包み込んでくれた。
ああ、なんて幸せなんだろう。
ドキドキを上回る多幸感にうっとりと目を閉じて浸るボク。
すると、その幸せに邪魔が入った。
「おい、ジル、クリス」
アイク様、空気読んでください。今ボク、いいところなのです。
「おい。……まだ式の最中だぞ?周りを見てみろ」
!!そうだった!式の最中!
恐る恐る目を開ければ……
周りの生徒たちから温かい視線がボクたちに向けられている。
「問題ねえぞ?もうクリスとジルのイチャイチャはこの学園の風物詩みたいなもんだからな」
「ええ。むしろそれを見ないと行事という気がいたしませんわ」
「うっとりするクリスとそんなクリスに相好を崩すジル様ってのが定番ですからね。卒業式でもそれがないと落ち着きません」
皆さんが温かな言葉をくれればくれるほど恥ずかしさでいたたまれない。
ボクたちってそんな風でした?一応気を付けていたつもりなのですが。
言い訳させて欲しい。
ボクにとってジルの答辞は三年前に見ることができなかった夢だったのだ。
それに、今日はゲームのエックスデー。ジル様断罪の日。
断罪の可能性を8年かけて排除して迎えた今日は、前世の分も含めると10年間の努力の集大成。
幸せそうなジル様を見るために頑張ってきたのだもの。
そこにきてあの感動の答辞。
ボクの目にジル様しか映らなくなってしまうのは仕方のないことだと思う。
「でも『イチャイチャ』ってどういうことでしょう?兄弟仲がいいとかではなく?」
「あー、言っておくが、イチャイチャしていたぞ?」
「……ですね。間違いなく」
アイク様とシス様が申し訳なさそうに断言した。
「ええ?なんてこと!」
兄弟仲がいいのは自慢なのだけれど、人前でイチャイチャカップルは前世からボクの地雷なのだ。
だって、だって、そんなのってばハレンチだもの!
まさかみんなからそんな風にみられていただなんて!は、恥ずかしいっ!
慌てて腕の中から出ようとするボクを止めたのは、なんとジェシーだった。
「いいんじゃない?今さらすぎ!
あのさあ、クリスたちがそれくらいじゃないと諦めらんない生徒もいるの。
そういう意味でも、まあアンタたちはそれでいいから。
……そうやって幸せそうにしてなよ。みんな認めてるんだからさ」
そうか!ジルにはファンが多いから、下手な希望を与えてしまうよりはいいのかも。
そっと腕の中に戻るボクに、小さな声が聞こえた。
「ちょろっ」
聞こえてるからね、リョウ!
そういうところだから!
ボクは気づいていなかったのだけれど、ボクとジルは高等部からはずっと「カップル」扱いされていたみたい。
ジルとほんとうに婚約する前から、ジルの態度とボクの態度で、お互いに好きっていうのがバレバレだったんだって!
ボクに関しては「え?そんなつもりなかった?嘘でしょ?」「むしろ隠しているつもりがあったのが驚き」「好き全開だった」のだそうで……ひゃああ!なんてこと!
それでもみんなが何も言わずに見守ってくれていたのは、ジルがボクといるととても幸せそうだったから。
ジルの無表情時代を知る人ほど「その笑顔を守りたい」と思ってくれていたんだって。
なんだか、ボクと同じようにジルを心配してジルの笑顔を大切に思ってくれている人がいたんだなって胸が熱くなった。
イチャイチャと言われてしまうのは恥ずかしいのだけれど、ありのままのボクたちでいいよ、ってそう言ってくれるのなら。
「……ジル。ボクとっても幸せです」
「奇遇だな。私もだ」
「クライスくん?続きを始めてもいいかね?」
学園長の声で我に返る。
「は、はいいっ!すみませんっ続きをおねがいしますっ」
「失礼いたしました。どうぞ始めてください」
クスクスと笑い声が起こる。
でも、ゲームのように嘲笑ではなく、温かな笑い声だ。
ボクは小声でもう一度呟いた。
「……ボク、とっても幸せ」
こうして卒業式はボクに多少のショックと多大な幸せを与えて終わった。
あとは、最後の舞台。
ダンスパーティーだ。
※※※※
いつもご拝読いただきましてありがとうございます!
昨年は大変お世話になりました。
温かなコメント、励まし、エール、イイネに支えられてなんとかここまで来ることが出来ました。
オリジナル長編を書き始めて一年半。
サフィちゃんが書籍化と言う奇跡に恵まれ、続くミルくん、クリスくんにも温かなご声援を頂き感謝しかございません。
本当に本当にありがとうございます!
描いている間、「これでいいのかな?」「面白くないのでは?」とドキドキと心配でいっぱいなので、
反応を頂けるととっても励みになって「よおっし、がんばるぞおおっ!」となるのです。
どれくらい力を頂いているか魅せられないのが残念なほどです。
作品で少しでもお返しできていればよいのですが……。
今年もどうぞよろしくお付き合いいただければ幸いです。
皆様にとって幸せな年になりますように!
「ふふ。クリスがそう言ってくれるのならば、やった甲斐があった」
ボクに向かって伸ばされたジルの腕の中に遠慮なく飛び込む。
「最高でした!さすがジルです!映像に残せないのが本当に悔しいくらいです。
ああ、魔法があったらいいのに!」
ぎゅうっと抱き着けば、ジルもぎゅっとその腕でボクを包み込んでくれた。
ああ、なんて幸せなんだろう。
ドキドキを上回る多幸感にうっとりと目を閉じて浸るボク。
すると、その幸せに邪魔が入った。
「おい、ジル、クリス」
アイク様、空気読んでください。今ボク、いいところなのです。
「おい。……まだ式の最中だぞ?周りを見てみろ」
!!そうだった!式の最中!
恐る恐る目を開ければ……
周りの生徒たちから温かい視線がボクたちに向けられている。
「問題ねえぞ?もうクリスとジルのイチャイチャはこの学園の風物詩みたいなもんだからな」
「ええ。むしろそれを見ないと行事という気がいたしませんわ」
「うっとりするクリスとそんなクリスに相好を崩すジル様ってのが定番ですからね。卒業式でもそれがないと落ち着きません」
皆さんが温かな言葉をくれればくれるほど恥ずかしさでいたたまれない。
ボクたちってそんな風でした?一応気を付けていたつもりなのですが。
言い訳させて欲しい。
ボクにとってジルの答辞は三年前に見ることができなかった夢だったのだ。
それに、今日はゲームのエックスデー。ジル様断罪の日。
断罪の可能性を8年かけて排除して迎えた今日は、前世の分も含めると10年間の努力の集大成。
幸せそうなジル様を見るために頑張ってきたのだもの。
そこにきてあの感動の答辞。
ボクの目にジル様しか映らなくなってしまうのは仕方のないことだと思う。
「でも『イチャイチャ』ってどういうことでしょう?兄弟仲がいいとかではなく?」
「あー、言っておくが、イチャイチャしていたぞ?」
「……ですね。間違いなく」
アイク様とシス様が申し訳なさそうに断言した。
「ええ?なんてこと!」
兄弟仲がいいのは自慢なのだけれど、人前でイチャイチャカップルは前世からボクの地雷なのだ。
だって、だって、そんなのってばハレンチだもの!
まさかみんなからそんな風にみられていただなんて!は、恥ずかしいっ!
慌てて腕の中から出ようとするボクを止めたのは、なんとジェシーだった。
「いいんじゃない?今さらすぎ!
あのさあ、クリスたちがそれくらいじゃないと諦めらんない生徒もいるの。
そういう意味でも、まあアンタたちはそれでいいから。
……そうやって幸せそうにしてなよ。みんな認めてるんだからさ」
そうか!ジルにはファンが多いから、下手な希望を与えてしまうよりはいいのかも。
そっと腕の中に戻るボクに、小さな声が聞こえた。
「ちょろっ」
聞こえてるからね、リョウ!
そういうところだから!
ボクは気づいていなかったのだけれど、ボクとジルは高等部からはずっと「カップル」扱いされていたみたい。
ジルとほんとうに婚約する前から、ジルの態度とボクの態度で、お互いに好きっていうのがバレバレだったんだって!
ボクに関しては「え?そんなつもりなかった?嘘でしょ?」「むしろ隠しているつもりがあったのが驚き」「好き全開だった」のだそうで……ひゃああ!なんてこと!
それでもみんなが何も言わずに見守ってくれていたのは、ジルがボクといるととても幸せそうだったから。
ジルの無表情時代を知る人ほど「その笑顔を守りたい」と思ってくれていたんだって。
なんだか、ボクと同じようにジルを心配してジルの笑顔を大切に思ってくれている人がいたんだなって胸が熱くなった。
イチャイチャと言われてしまうのは恥ずかしいのだけれど、ありのままのボクたちでいいよ、ってそう言ってくれるのなら。
「……ジル。ボクとっても幸せです」
「奇遇だな。私もだ」
「クライスくん?続きを始めてもいいかね?」
学園長の声で我に返る。
「は、はいいっ!すみませんっ続きをおねがいしますっ」
「失礼いたしました。どうぞ始めてください」
クスクスと笑い声が起こる。
でも、ゲームのように嘲笑ではなく、温かな笑い声だ。
ボクは小声でもう一度呟いた。
「……ボク、とっても幸せ」
こうして卒業式はボクに多少のショックと多大な幸せを与えて終わった。
あとは、最後の舞台。
ダンスパーティーだ。
※※※※
いつもご拝読いただきましてありがとうございます!
昨年は大変お世話になりました。
温かなコメント、励まし、エール、イイネに支えられてなんとかここまで来ることが出来ました。
オリジナル長編を書き始めて一年半。
サフィちゃんが書籍化と言う奇跡に恵まれ、続くミルくん、クリスくんにも温かなご声援を頂き感謝しかございません。
本当に本当にありがとうございます!
描いている間、「これでいいのかな?」「面白くないのでは?」とドキドキと心配でいっぱいなので、
反応を頂けるととっても励みになって「よおっし、がんばるぞおおっ!」となるのです。
どれくらい力を頂いているか魅せられないのが残念なほどです。
作品で少しでもお返しできていればよいのですが……。
今年もどうぞよろしくお付き合いいただければ幸いです。
皆様にとって幸せな年になりますように!
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