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第二章
ルディアスとのルーティーン
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学校はあのストーカーの件以外は順風満帆。
クラウスたちのお陰で俺に話しかけやすくなったようで、クラスメートも声をかけてくれるようになった。
「おはよう、ミルリース」
「今日の課題で分からないところがあるんだけど……少し聞いてもいい?」
「あ、ああ。俺で良ければ。人に教えたことがないので分かりにくかったら言ってくれ」
おまけになにかとルディアスから庇ってくれるようになった。
そう。あんなにはっきりと言ってやったのに、ルディアスは毎朝ここに顔を出すのである。
普通はあそこまで言われたら恥ずかしくて顔など出せないだろう。
なかなかの根性をしている。
それで来て何をするかというと……一言二言どうでもいいことを言うのである。
「お、おはよう。変わりはないかミルリース」
「公爵家はどうだ?困っていることはないか」
「何かしてほしいことがあれば私にに言ってくれ」
最初はこの後どう絡まれるのかと身構えたが、肩透かしなことにこの一言二言で彼は去っていくのだ。
ちなみに、これに対する俺の返事は全て同じ。
「ありません。お気になさらず」
ルディアスに頼むくらいなら自分でなんとかするし、困っていることはルディアスに関することくらいだ。
今まで10年もひとりでやってきたのだから、いまさら彼の力など必要ないのである。
この俺の「ない」を聞いて「そうか……」と去っていくまでが毎日のルーティーン。
何を思って続けるのか、意味が分からない。
まだ婚約者のままだから「体裁上仕方なく」「挨拶をしたという形を取りたい」ということなのかもしれない。
本当に俺のことなど気にしなくてよいのだが。
というよりも、気にしないでもらいたい。
そんな俺の気持ちは顔に出ていたのだろう。
クラスメートが俺を隠したり逃がしたりしてくれるようになったのである。
「ミルリース、そっちに今殿下がいたぞ。あっちから回っていくといい」
「殿下がくるぞ。ちょっとここにしゃがめ」
こんな感じだ。
せっかくの厚意なので、俺もクラスメートの足元でしゃがんだり、慌てて道を変えてルディアスを避けるようにしている。
なんだか鬼ごっこやかくれんぼのようだが、みんなが俺のために気を遣ってくれているのがうれしい。
ルディアスには悪いが、こんなことが毎日続くうちに当初の緊張感も薄れ、最近ではちょっとしたゲームのようでなんだか面白くすら思えてきた。
ランジェとクラウスなどは「今日で3日目よ!」「あと一日逃げ切れば俺の勝ちな!」なんて賭けまでしている。
一応あれでも王族なのだが、それを賭けの対象にしてしまうあたり、なかなか腹の座った仲間である。
なんというか……ルディアスについてこんなに心穏やかに、笑いながら語ることができる日がくるなんて思ってもみなかった。
こうして逃げ回っていたら、あちこちに協力者ができた。
クラスの違う生徒まで、俺がルディアスを避けていることに気付いたのか「殿下はあそこにいらしたわよ」と教えてくれるようになったのである。
言葉だけ聞くと俺がルディアスを探し回り居所を教えてもらっているようだが、実際は違う。ルディアスのいる場所を避けて回っているだけのこと。
おかげで、同じ学校、しかも隣のクラスだというのに、ほとんどルディアスと会うことはなくなった。
こうして避けていればルディアスも「本当に交流の必要はない」のだと理解してくれるだろう。
一方であの貢ぎ物も毎朝机に出僕し続けていた。
これも当初は警戒していたのだが、特に何かあったわけでもないので、いつの間にかそのまま受け入れてしまっている。
朝届いていたなにがしかを昼食時にみなで食べるのがこれまた毎日のルーティーンだ。
そのラインナップは基本的にはあのカフェのもの。
途中でなぜかランジェおすすめの店のもの、ミルフェおすすめの店のものが加わった。
どの店のものも封がされているので安心して食べられるのが嬉しい。
俺の行動をつけているのだろうか?
そう思えば少しだけ怖い。
だが、学校ではクラウスたちが一緒だし、それ以外ではいつもシルがいる。基本的に俺がひとりになることはない。
だからまあ問題はないだろう。
俺を付け回して立ち寄り先の菓子を貢ぎ続けるくらいなら、いっそさっさと顔を出してほしいと思っていたりもする。
こちらについては、おいおい対処を考えたほうがいいのかもしれない。
いずれにせよ学校では大きな事件も問題もなく、俺は拍子抜けするほど毎日を楽しく過ごしているのだった。
クラウスたちのお陰で俺に話しかけやすくなったようで、クラスメートも声をかけてくれるようになった。
「おはよう、ミルリース」
「今日の課題で分からないところがあるんだけど……少し聞いてもいい?」
「あ、ああ。俺で良ければ。人に教えたことがないので分かりにくかったら言ってくれ」
おまけになにかとルディアスから庇ってくれるようになった。
そう。あんなにはっきりと言ってやったのに、ルディアスは毎朝ここに顔を出すのである。
普通はあそこまで言われたら恥ずかしくて顔など出せないだろう。
なかなかの根性をしている。
それで来て何をするかというと……一言二言どうでもいいことを言うのである。
「お、おはよう。変わりはないかミルリース」
「公爵家はどうだ?困っていることはないか」
「何かしてほしいことがあれば私にに言ってくれ」
最初はこの後どう絡まれるのかと身構えたが、肩透かしなことにこの一言二言で彼は去っていくのだ。
ちなみに、これに対する俺の返事は全て同じ。
「ありません。お気になさらず」
ルディアスに頼むくらいなら自分でなんとかするし、困っていることはルディアスに関することくらいだ。
今まで10年もひとりでやってきたのだから、いまさら彼の力など必要ないのである。
この俺の「ない」を聞いて「そうか……」と去っていくまでが毎日のルーティーン。
何を思って続けるのか、意味が分からない。
まだ婚約者のままだから「体裁上仕方なく」「挨拶をしたという形を取りたい」ということなのかもしれない。
本当に俺のことなど気にしなくてよいのだが。
というよりも、気にしないでもらいたい。
そんな俺の気持ちは顔に出ていたのだろう。
クラスメートが俺を隠したり逃がしたりしてくれるようになったのである。
「ミルリース、そっちに今殿下がいたぞ。あっちから回っていくといい」
「殿下がくるぞ。ちょっとここにしゃがめ」
こんな感じだ。
せっかくの厚意なので、俺もクラスメートの足元でしゃがんだり、慌てて道を変えてルディアスを避けるようにしている。
なんだか鬼ごっこやかくれんぼのようだが、みんなが俺のために気を遣ってくれているのがうれしい。
ルディアスには悪いが、こんなことが毎日続くうちに当初の緊張感も薄れ、最近ではちょっとしたゲームのようでなんだか面白くすら思えてきた。
ランジェとクラウスなどは「今日で3日目よ!」「あと一日逃げ切れば俺の勝ちな!」なんて賭けまでしている。
一応あれでも王族なのだが、それを賭けの対象にしてしまうあたり、なかなか腹の座った仲間である。
なんというか……ルディアスについてこんなに心穏やかに、笑いながら語ることができる日がくるなんて思ってもみなかった。
こうして逃げ回っていたら、あちこちに協力者ができた。
クラスの違う生徒まで、俺がルディアスを避けていることに気付いたのか「殿下はあそこにいらしたわよ」と教えてくれるようになったのである。
言葉だけ聞くと俺がルディアスを探し回り居所を教えてもらっているようだが、実際は違う。ルディアスのいる場所を避けて回っているだけのこと。
おかげで、同じ学校、しかも隣のクラスだというのに、ほとんどルディアスと会うことはなくなった。
こうして避けていればルディアスも「本当に交流の必要はない」のだと理解してくれるだろう。
一方であの貢ぎ物も毎朝机に出僕し続けていた。
これも当初は警戒していたのだが、特に何かあったわけでもないので、いつの間にかそのまま受け入れてしまっている。
朝届いていたなにがしかを昼食時にみなで食べるのがこれまた毎日のルーティーンだ。
そのラインナップは基本的にはあのカフェのもの。
途中でなぜかランジェおすすめの店のもの、ミルフェおすすめの店のものが加わった。
どの店のものも封がされているので安心して食べられるのが嬉しい。
俺の行動をつけているのだろうか?
そう思えば少しだけ怖い。
だが、学校ではクラウスたちが一緒だし、それ以外ではいつもシルがいる。基本的に俺がひとりになることはない。
だからまあ問題はないだろう。
俺を付け回して立ち寄り先の菓子を貢ぎ続けるくらいなら、いっそさっさと顔を出してほしいと思っていたりもする。
こちらについては、おいおい対処を考えたほうがいいのかもしれない。
いずれにせよ学校では大きな事件も問題もなく、俺は拍子抜けするほど毎日を楽しく過ごしているのだった。
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