【本編完結】悪役令息の役どころからはサクッと離脱することにする。

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第9章 ベジカフェオープン

2大商会長、来店!2

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握手を交わした二人の手は対称的だった。
意外なことに、頭脳派のように見えるゴーンフェルト会長の手は傷だらけでゴツゴツしている。
そして獅子のようにしなやかな肉体美を誇るレオンハルト会長の手は、よく手入れされており美しかった。

一瞬ハッとしたのに気づかれたようだ。レオンハルト会長が鷹揚に笑い声を上げた。

「ははは!気づいたか?
意外だろ?ゴーンはこんなナリして職人気質なんだ。工芸品を扱うからには自分も、とか言って工房に籠ってたりするんだよ。な?」

レオンハルト会長が茶化すようにゴーンフェルト会長の肩を叩いた。
ゴーンフェルト会長も嫌がるでもなく笑っている。
思った以上に親しいようだ。
同じ大商会を束ねるもの同士、通じ合うものがあるのだろう。

「なんと!ご自分でも造られるのですか?」

それは凄い!会長の手は自らノミや鉈を振るう手だったのか!
自身も職人気質でからこそ、気難しいと言われる職人の信頼を得ることができるのかもしれない。

「いいですね。実は私たちは屋敷を構えたはいいがどうもしっくりくる家具が見つからなくて……。ご自分で造れるなんて羨ましい限りです」

シルが言う。これは存外単なる世辞ではないのである。
そう、実は……しっくりくるベッドが見つからないのだ。
それぞれのベッドは一人ならばちょうどいい。でも婚約して二人で…となると少し小さいのだ。かと言って、ダブルベッドというのも躊躇いがあり……。

シルの言葉を聞いた会長の目がキラリと光る。

「ふむ。何か理想とされるものがあるのでは?どのようなものをお探しなのですか?参考までにお聞かせ願えますか?」
「おいおい、ゴーン。ここでまで商売か?」
「職人として聞いているのだ。市場調査だよ。こういう声が一番参考になるのだ」
「ほう!ではお話します。お恥ずかしいのですが、実はベッドを探しているのです」

シル!と止めようとしたが、逆にそのほうが勘繰られそうで口をつぐんだ。

「シングルサイズより大きく、ダブルサイズより小さく。それくらいの大きさのベッドでゆったりと寛げたらと……」

会長が「ふむ!確かに!」と腕を組んだ。

「シングルでこと足りるが、ゆったりとするにはもう少し大きめがいい。かといってダブルにすると大業になりすぎる。分かる気が致します」

体格のいいレオン会長もしみじみとした口調で同意した。

「分かるぞ!俺もシングルだと狭くてな。ダブルを使っているんだが、あれは場所を取るからなあ」
「1か2ではなく、1.5という選択肢を作るのもいいかもしれない」

よし!とゴーンフェルト会長が手を叩く。

「1.5サイズでサンプルを作りましょう!貴重な意見を頂いたお礼にサンプルができましたら贈らせて下さい。できれは使用した感想を聞かせて欲しい。色やデザインのご希望はありますかな?」
「え?よろしいのですか?でしたら、シンプルなデザインで色ダークブラウンで……」
「分かりました!ではそのように」

あれよという間に話がまとまってしまった。スピードについていけず目を白黒させるシルと俺に、レオンハルト会長が笑う。

「早速洗礼を受けたな。ゴーンはこういうヤツなんだよ。売れると思えば即断即決!自分でサンプルを造っちまうんだ。それから職人に話をおろす。とにかく無駄がねえし無理は言わねえ。何ができて何ができないか熟知してギリギリ攻めてきやがるから、頭の堅い職人連中から信頼されてるんだ」

流石としかいいようがない。俺もシルも感心しきりだ。俺とシルには真似できないが、その姿勢は見習いたい。

「てかゴーン、なにしに来たんだよ。試食会だろ?ほら、中に入ろうぜ?」

レオンハルト会長がゴーンフェルト会長を促してくれた。
いけない!つい話し込んでしまった。

「失礼いたしました!野菜を使ったヘルシーで身体に良い食事をご用意致しました。ビュッフェ形式となっておりますので、ご自由にお楽しみください。
ご案内いたします」









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