【本編完結】悪役令息の役どころからはサクッと離脱することにする。

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終章 2年後……

これからの俺たち 完結

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なんだかんだと、今後も会えるよう段取りをつける。
「また会いたい」で終わらせたくない仲間だから。
いつか、なんて曖昧な言葉ではなく「また会えるようにする」のだ。

クラスメートたちも貴族の一員。パーティーや式典で顔を合わせるだろう。
だが中には家督を継がず平民になるものもいる。
全員に商会の名刺を渡し、いつでも訪ねて来て欲しいと伝えた。
家を出るものは落ち着き先が決まったら連絡先を伝えてくれるようにと頼む。

年に何度か皆で集まれたらいいな。
定期的に「同窓会」をしよう。
集まりやすいよう、王家のバーティーの時期に合わせ、皆が王都に揃っているときにでも。

ひとりひとりと握手を交わし、別れを惜しむ。
「仲間」という言葉を教えてくれたクラスメートたち。本当に楽しい3年だった。ありがとう。
これからも友としてよろしく頼む。





帰りにみなでカフェに寄った。
はじめて「寄り道」してからあっという間の3年だった。
ここにまたこうして揃って顔を出せる日がくるのだろうか?
その時にはお互いのパートナーも一緒かもしれないな。

「……ショーケースの説明は必要か?」
「ふふふ!それ、懐かしいわね!じゃあ、せっかくだからお願いしようかしら?」
「俺のおススメは、イチゴのショートケーキだ。これはな……」




いつもの席のいつもの場所に。
なんとなく初めての時に頼んだケーキにしてしまった。

「…………ここに来るたびに懐かしく思うわ。きっと」

しんみりとミルフェが呟く。
そうだな。俺もだよ。だけど……

「今度は家族を連れてくるといい。そして俺たちの思い出を話してやってくれ。俺たちもそうするから」
「顔を合わせたらお互いに『ああ、あの…!』ってやるヤツだな!」
「知ってる!いつも話を聞いてたから初めて会った気がしません、っていうのよね!」
「うふふふふ。良いわね、それ」
「ミルフェの場合はあまり僕たちのことは話しすぎないようにね?一応僕たちも男だし」
「だよなあ!ほら、俺らっていい男だから!」
「あら。ミルはともかくクラウスは私のタイプじゃないから大丈夫よ?」
「ええー?俺けっこうモテ…「なあに?クラウス?」ランジェにモテモテなんだけどなあああっ!!」

遠慮ないやりとりにクスクスと笑ってしまう。
この空気が好きだ。
公爵家を出て商会をやると決めた時、学校はどうしようかと思った。
正直にいえば、行く必要を感じなかった。
でも、ランジェとミルフェに会ったから……行ってみようと思えた。
クラウスに、ジークに出会ったから。楽しそうだと思えた。
毎日学校へ行くのが楽しみになったのだ。

「……また、みなでここに来よう」

俺の言葉にミルフェが優しく目を細めた。

「ええ。来ましょうね」
「クラウス、絶対に来るわよ!休みをもぎ取りなさいよ!」
「お、おう!善処する!」
「ふふふ。僕はいつでも大丈夫だからね?」



さよならは言わない。

「それでは、また会おう!」

俺たちの門出だ。笑顔で再開を約束しよう。

「じゃあ、またね!」
「またな!」

ランジェとクラウスが笑う。

「うふふ。またね、ですわ」
「うん。また会おう!」


有難う、友よ。また会おう。






邸に戻ると玄関ホールのソファでシルが待っていた。

「……お帰り。ミル。卒業おめでとう」
「ただいま。シル。ありがとう」

両手を広げるシルの腕の中に飛び込んだ。

「……っえ、笑顔で……再開を約束した……っ」
「ああ。お前たちならまたすぐに会えるさ。辺境へは会いに行けばいい」
「……シル……っシル……っ…………………寂しい」
「うん。そうだな。……良かったな」
「?」
「別れが寂しくなるほど、いい出会いをしたってことだろう?だから、良かったな、ミル」
「……うん。素晴らしい仲間に出会えた。最高の3年間だった」

色々なことが走馬灯のように次々と頭に浮かぶ。
中等部を卒業した時の俺には、シルと公爵家嫡男という形ばかりの地位以外には何もなかった。
そして今。俺にはシルという最愛の夫、家族がいる。ブランという可愛い家族もできた。
学校で得たかけがえのない友。信頼できるクラスメートという仲間。
アル、マージェス家という家族、マックス、クマーノ、ルディ、ルド、商会長……多くの仲間がいる。
諦めないで良かった。
戦うことを選んでよかった。
全てを手放す勇気があったからこそ、俺は今欲しかった全てを手にしているのだ。


幸せで最高の3年間を過ごし、今日俺たちはまた新たな世界に旅立ったのだ。
感慨に浸っていれば、シルが俺をぎゅうぎゅうと抱きしめながら嬉しそうに笑った。


「なあ、こう言ったら怒るか?これでミルは全部俺のもんだ!そう思うと最高に嬉しい!」
「は?」
「これまで学校に行っていた時間も俺といるだろ?いらん気苦労をしなくて良くなる」
「気苦労などあったか?」
「そりゃああるだろう!だって俺のミルは最高に可愛いんだぞ?ミルに懸想するやつらがどれほどいたことか……!これからはミルと俺との時間が増える!最高だ!卒業おめでとう!心から嬉しい!」
「ふ…ふふっ…あはははは!なんだそれは!おめでとう、ってそういう意味だったのか?」
「そりゃそうだろ!俺が何年待ったと思っている?」

自慢げに胸を張るシル。
いや、威張るようなことか?そもそも俺に懸想など欲目もいいところだ!
全くシルは……!別れの感傷など吹き飛んでしまったぞ?

!もしかして……そのために?
胸に暖かなものが広がっていく。
うん。そうだな、シル。まだ少し寂しいが……シルとの時間が増えるのは最高だ!

「ふふふふ!確かにそうだな!お待たせ、シル!これからの俺の時間は全てシルのものだぞ?」
「やったぜ!さあ、家族で祝おうぜ?上に支度してあるからな?」

ひょいっと俺を抱き上げるとスタスタと二階へ歩を進めた。

「シ、シル!自分で歩けるから!」
「俺がやりたいの!ブラン、おいで!」
「にゃあん!」





終わり。





※※※※※※※※

ご拝読頂きますみなさま、ここまでお付き合いいただきありがとうございまするー!
シルミル、ついに完結です!
最後は蛇足としてこれからのみんなを書いてみましたが、ミルの高等部入学から卒業までのお話なのでござりました。
大半は入学からの1年ですべてが変わっております。
流されて生き人生を諦めていた主人公が、家族を捨て、自分の力で全てを掴み取る。
新しい家族を得るお話です。

基本的にシルミルのラブラブに始まりラブラブに終わっておりますがw
皆様の温かい励ましのお陰でなんとか完結致しました。ご拝読頂きました読者様、またコメントを下さった方々には感謝しかありません。ありがとうございますうううう!!

商会の話を続けようかとも思いましたが、一旦ここで〆させていただきます。
後日思い出したように番外を追加するかと思いますので、その時にはぜひよろしくお願いいたしまする♡



サフィちゃんの「もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!」はまだまだ続いておりますので、未読の方はぜひぜひ♡
作者の名前をクリック、をち。のページの作品から飛んでいただけます。はい、宣伝ですw



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感想 359

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みんなの感想(359件)

佐々木猫八
2025.07.19 佐々木猫八

こんにちは、お久しぶりでございます!
猫八です。
最後のシルミル、とてもキュンキュンさせて頂きました!

全部俺のミル!

白飯10杯は余裕でおかわり出来そうです!

三年間の学生生活で得た宝物たちを胸に、ミルには幸せな生活を送ってほしいです。
きっとシルが不幸なんぞにしないとは思いますが!!

更新お疲れ様でした。

2025.07.19 をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

こんにちわです!お久しぶりでござりまする〰ฅ( ̳• ·̫ • ̳ฅ)
わーい!キュンいただきましたあ!
✧*。٩(ˊᗜˋ*)و✧*。

この2人は最初から最後までイチャイチャらぶらぶでしたw安定カップルですwww

最後までお付き合いいただきありがとうございます。
猫八先生の草むしりも楽しみにしておりますね♡

解除
猫と犬とハムスター

こんにちは!いま、読み進めているところなのですが、続きが気になって次々と読んでしまいます。最終話まで読み切るのが楽しみです!ところで、第二章の、執事アルバートとの対決で、もう一度聞こう。わきまえるのはどちらだ?って言ってアルバートが土下座して、ミ、ミルリース様でございます!って、これは、ミルリースがわきまえないといけないと言ってることになりませんか?

2025.07.11 をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

こんにちわです!
ご拝読いただきありがとうございます〰♡
は!前の文章につられてしまっておりますね💧仰るとおりです💦💦ひえ💦💦
修正いたしましたあっ💦ありがとうございます〰!!

解除
こにゃっく
2025.06.16 こにゃっく

お返事ありがとうございます。そして修正のお仕事の早さに驚嘆です!

しかしながら何度もご指摘させて頂くのは大変心苦しいのですが、ジークとミルフェも「招かれざる客3」で婚約者がいなかったのが、「学校へ」では婚約者が元々いる描写になっておりまして…。それもちゃんと最初の感想で書き込めば良かったのに本当に申し訳ありません💦

今回は承認していただかなくても、かまいませんので💦
サフィちゃんが出る作品、ギャグ大好き人間なので早速拝読させて頂きます!ありがとうございました。

2025.06.16 をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

うわあー💦かなりやらかしておりました💦

補足させて頂きました!
こちらこそお気遣いいただきありがとうございます〰😭うう、、、お優しい、、、😭

ほぼどの作品もギャグ風味がでてしまうのですが、サフィちゃんがギャグ風味強めクセ強め幸せいっぱい夢いっぱい、ゲイルがアダルトカラー(笑)、新作が溺愛ですw
こちらこそ、一気読みいただきありがとうございます♡光栄です♡

解除

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