もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

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東の国

古龍さんに会いに行こう

ブリードの言葉を陛下に伝えれば、ハイライトの消えていた目に光が戻った。

「そ、それは……また天候が元に戻る希望があるということだろうか?」

「奴に力が戻れば可能だろうよ。だが……奴にその気があればの話だがな」

んん?その気があれば?
つまり、その気が無ければ、元気になっても力を貸してくれないかもってこと?

俺の思ったことが分かったみたいゲイルが口を開いた。

「そりゃそうだな。話を聞いた限り、古き約束を果たしていた古龍をないがしろにし、力の元となる祈りを忘れたあげくに古龍が宿ったご神体を燃やしちまって放置してたんだろう?
いうなれば、契約を一方的に反故にして恩を仇で返したんだもんなあ……。
強要はできないだろうよ」

東国の人の瞳からせっかく戻ったハイライトがみるみる消えていった。
これに関してはフォローのしようもない。

精霊の類は、約束や契約をすごく大事にするって聞いたことがあるしね。
現に祈りだとかいろいろなものを反故にされても、古龍は契約にしたがってきちんと東国を守り続けていたわけだし。
なんだかそう思うとすごく健気。
古龍の側を応援したくなってきた。

非難の意味を込めて「じとー……」と陛下を見ると、さすがに決まりが悪そう。

「……大変申し訳のないことをしてしまった……。まさかそのようなことがあったとは……」

「そもそも、なんでそんな大事なことをきちんと継承してなかったの?
どこの国にも何かしらの伝承はあって、お祭りをしたり、洗礼式をしたり、色々な形で行事として継承してるよ?
王国にだって教会があるし、きちんと祈りは捧げている。
古龍の祠って、東国にとっては王国の教会なんじゃないの?

俺の言葉に陛下は痛みに耐えるような表情になった。

「サフィラス殿の言う通りだ。
だが……継承者が途絶えてしまったのだ」

「んん?途絶えた?」



陛下の何代も前の話。
あるとき、一人の流れ者がこの地に行きついた。
彼は兄弟間の相続争うに敗れ、行き先がないという。
そこで東国の人は彼を受け入れ、落ち着くまで面倒をみてやることにした。
そこで異邦人を世話したのが、いわゆる宮司さん。
何日か家に泊めてやったのだそう。
ところが、彼は自身知らぬうちに感染症を患っていた。
彼は回復したのだが、一切の免疫のない宮司一家はあっという間に重症化し、他界。
同じく東国の人たちも次々と感染し、多くの人が亡くなってしまった。
特に免疫の弱い老人たちの大半がこの時いっぺんに無くなってしまったのだという。

結局その異邦人は居ずらくなってまたどこかに流れていった。
そして、東国からは老人が消えた。

「多くの犠牲が出て、宮司を含め多くの老人が亡くなったことは聞いていたのだが……。
恐らくそこで伝承も途切れてしまったのだろう」


うん。たぶんこんな感じなだったんだろう。
祠は残っていたのだけれど、その祠の意味も、祀り方もなにもかもが曖昧になり、その意義を失う。
祠のことを知っている人も、その祠が何を意味しているのかを忘れ、単なる古い史跡のようなものだと思うようになっていった。
こうして東国の人たちは、古龍の存在を忘れ、祠の存在を忘れてしまったのだ。



なんというか……事故じゃん!全部が全部、不幸な事故じゃん!

その感染症を持ち込んだ人だって、まさか自分が感染してたなんて知らなかったんだし、東国の人が鎖国みたいになっていたせいでほとんどその病に対する免疫を持っていないだなんて知らなかった。
親切で受け入れた東国の人たちだって、まさかこんなことになるなんて思ってもみなかった。
宮司さんも、急に一家全滅するだなんて想像もしていなかったんだろう。そりゃあそうだよね。
戦争中でもなんでもなかったんだもん。
平和な日常を過ごしていたんだもん。

伝承が途絶えたのも不幸な事故なら、祠とご神体が無くなってしまったのも火事という不幸な事故。
誰に悪気があったわけでもなく、ただ結果としてご神体な失われ、古龍は力を失った。
そして東国には氷の嵐が吹き荒れ、多くの人が犠牲となった。



なんて言ったらいいのか。
運が悪かったと言ってしまえばそれまでだけど……


「やるせねえなあ……」

キースの言葉が全てを表していた。
ほんと、やるせない。
みいんな同じ気持ちだったと思う。


「でもさ。前を向いて行かなきゃね。
まだ古龍は生きているんでしょ。伝承も復活したことだし。やり直そうよ。
まずは古龍を見つけて、元気にしよう。それで祠を作り直して、また新しいご神体を置こう。
俺たちは生きてるんだから。生きていかなきゃなんだからさ」





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