もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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新生活スタート!

俺ってチョロイ?

あのあと、そのまんま中庭でちょっと休憩&お茶をして、ルー君を外に出して一緒に遊んだ。
ルー君は池の中のお魚に興味津々。
小さな手をちょいちょいって伸ばして取ろうとするんだけど、お水からはだいぶ距離があって全然届いてないのがすんごく可愛い!
かといってお水に近づいちゃうと落ちそうで危ないから、それはそれなんだけど。
とにかく、やることなすこと可愛いの!

例によって地面に寝そべってデレデレと観察しようとしたら、ライが

「サフィ?!地面で寝てはダメだよ?」

と困った顔をする。

「えー?なんで?」
「ここは地面だろう?汚れてしまうし、行儀が悪いだろう?」

でも、地面って言ったって、ここは公爵家の立派なお庭。
小石だって無いし、タイルだってぴっかぴか。食べ物落としても問題なく食べれるレベル。
なので、俺はライを完全に無視して、遠慮なく寝っ転がる。
ぴとん、とタイルにほっぺをくっつけると、おひさまの熱でほのかに温かくて気持ちいい。

「ふふふーん。よきよき」

ご機嫌で足をパタパタする俺に、困惑顔のライリオ。

「……サフィって……なんか、逞しいよね…見た目と違って」

リオが呆れたようにつぶやく。
褒められた!見た目と違って、は余分だけど!
見た目はこれから逞しくなりますのでね!

俺はお礼のつもりでリオにもこの心地よさを教えてやることにした。
ぐいっとリオを引っ張ってやる。

「うわっ!」

リオはあっけなく俺の方に倒れてきた。
それを頑張って受け止め…ようとして失敗!

「ぐえ!!」

リ、リオ、小さいのに意外と重い!!ひい!!

「サフィ、大丈夫?!」

慌ててライがリオを俺の上からどけようとしてくれる。
が、俺はニヤリとしてそんなライの腕を掴んだ。この際だ!ライもおいで!

「うわあ!!」

ライもそのままリオの上に。ってことは、間接的に俺の上に!

「ぐはあ!!」

なぜいけると思った俺!
ライは更に重かった!気付けよ、俺!
俺は「うんしょ!」と渾身の力で2人を俺の横に転がす。
そして起き上がろうとする2人を「そのまま!おきちゃだめ!」と制し、

「ねえ!やってみて。ここにほっぺをぺたりするの。すんごおくさいこうのきぶん。きもちいー!」

ぺたり、とやってみせる。

「ちょっとくらいよごれてももんだいなし!あらえばいい。クリーンもある!」

「ええ…」と渋る2人を早く早くと急かし「やらないときらいになる」と脅してみた。
言ってみただけなんだけど、その効果は抜群!

「それはダメ!」

2人は慌ててタイルにほっぺをぺたり。

「!!」
「こ、これは!!」

ライもリオも驚いたように目を見開き、一気にとろんとした顔になった。
無意識なのだろう、ほへー、と間抜けな音を発している。
ふっはっは!そうだろうそうだろう!おひさまの力を思い知ったか!

「ね?きもちーでしょ?おひさまのぽかぽか。それでもって、このまんまルーくんをみてみて。さいこーにかわいいから!!」

そう。こうやって見ると、ルー君の目線でルー君が見れるの!近いし、可愛さがマシマシ!

「……ここまできたらやってみよう」

なんと!お堅いライの方がのってきた!

「!なんと!確かにこれは良く見える!目線が変わるだけでこんなに違うのか…!」
「んふふーん。そうでしょそうでしょ!」

ドヤア!気分を良くした俺は、もっといいことを教えてやった。

「おはなもみてみて!なんかぼくたち こびとさんになったみたいなきがしない?」
「………うむ。不思議な気分だ…」

リオも慌ててマネをして

「ふわあ!ほんとだ!なにこれー!」

寝そべったまま目をキラキラさせて周りを見てる。
目線が変わるだけで全然変わるんだよね。
しかも、なんかこの3人で並んで地面に寝っ転がってるのって……

「なんかおもしろーい!」
「あはは!ほんと!サフィって変なのー!でも面白ーい!」
「ははは!本当だな!おかしいが、最高の気分だ!」

俺たちは地面に寝っ転がったまま、笑い転げた。
ルー君を指でちょいちょいしたりお腹の上にのせたりして遊んだ。

ちょっと前まで敵だって思ってたのにね。
「絶対近寄らないんぞ」って思ってた時もあったのに。
俺ってチョロイ?

自分でも不思議。
こうやって隣で転がって笑い合う日が来るなんて思わなかった。
でも、楽しいって気持ちは本物。
じゃあ、まあ、いっか!
俺はやりたいようにやる!それだけ!
俺と俺の大好きな人が幸せなら、後はそれでよき!


なので。
リオが柔らかな声で

「楽しいね。……ねえ、サフィ。またこうやって僕と遊んでくれる?」

といった時、俺はこう返事をしたのだった。

「うん。しょーがないからあそんであげるよ!」

それで

「ライもね!」

と言ったら、ライがちょっと泣きそうな顔をした。
おい!泣かないの!ライくんはこの中でいっちばんおおきなおにいさんでしょお!

「なくな!てい!」

デコピンしてやったらもんのすんごおく驚いた顔で固まったので、俺はそんなライを見て大笑いした。
そしたらルー君が俺がデコピンしてちょっと赤くなったところをぺろぺろ舐めてやって、ライが

「ルー君……!!」

って感動してるのが、またおかしかった。

最高の午後だった。
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