もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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俺、またしてもお披露目会?!

俺、ばたんきゅう2

ゲイルが出て行くとすぐにバタバタバタッと足音。
そしてバーンとドアが開くと同時に、お兄様がとびこんできた。

「サフィ!サフィ!サフィ!」

ぎゅうっと俺を抱きしめた後、

「大丈夫?どこか痛いところはない?苦しいところは?
めまいや頭痛は?」

例によって俺を360度からチェック。

「いたいところない。のどかわいたけど、ゲイルがおみずくれた。もうなんともないよ?」

俺がそういってようやくほっと肩の力を抜いたのだった。


王太子としてふさわしくあれ、なお兄様が廊下を走っているのなんて初めて。
完璧なお兄様の完璧じゃないところが、ちょっとおかしくてクスっと笑ってしまった。

「もう!笑わないの!……本当に心配したんだよ?
急に倒れて、顔が真っ青だったから…」

そういうお兄様のお顔のほうが真っ青じゃん。
その時のことを思いだしたのか、俺の頬を優しくなでるその手もかすかに震えてる。

俺はそっと両手でお兄様のほほを包みこんだ。
冷たい。
もう、どれだけ弱っちゃったの?お兄様。

おでことおでこをくっつけるようにして、まだ少し強張ったお顔をのぞき込む。

「ぼくはだいじょうぶ。いまは、おにいさまのおかおのほうが ダメ。
ごはんたべた?ちゃんとねてますか?
いたいところとか、ない?だいじょうぶ?」

お兄様はいつも無理をするんだ。
王子だからって「なんでもないですよー」ってお顔で限界までがんばっちゃうの。
それなのに、俺のために時間をたっくさんとって遊んでくれる。
俺ちゃんと知ってるんだからね。
今回、きっと俺のためにとっても無理をしたはず。
キラキラの金髪だって光を失ってるし、いつもつやつやのお肌だってカサカサしてる。
手のひらには、強く握りしめていたのか痛々しい爪の跡が。
ごめんね。心配させちゃったよね。

分かってるよ。
「無理しないでね」っていうよりも、「ありがとう」「うれしい」っていうほうがお兄様は嬉しいんでしょ?
でもさすがに今回は見逃せませんので!
俺はお兄様にお説教します!

「あのね、おにいさまがんばりすぎ。むりはダメ。
ぼくがたおれたからだけど。しんぱいさせちゃってごめんなさいだけど。
でも、おにいさまがたおれたらかなしい。ぼく、ないちゃう。
だから、ちゃんとたべて。ちゃんとねむって」

ちゃんと「伝われー!」って気持ちをこめて、言い聞かせるようにゆっくりと伝えた。
そしたら、お兄様のかおがくしゃりと歪んだ。
目からボトボトボトと涙が溢れ出す。
大涙警報発令!
ゲイルに続いてお兄様まで泣いちゃった!

でも、俺前世お兄さんだからこういうときの対処もばっちり!

「なかないのよー。だいじょうぶだよー」

って言いながら、お兄様のお顔を俺の胸に抱っこしてよしよししてあげた。
大抵の子供はこれで泣き止むものなのです。

「しんぱいさせてごめんね。もうなかないでね」
「みんながきちゃうよー。なみだくん、とまれ!」



幸いにも、お兄様が泣いている間は誰も来なかった。
ゲイルはどこにいっちゃったんだろうね?
でも、良かったあ!

お兄様のお鼻は泣いたからか真っ赤。
俺はクスクス笑って、お鼻をツンツン。

「あははは!おにいさま、かっこわるううい!」

ちょっとだけ、って思ってミニミニになるよう意識して

「ひーる」

元通り素敵なお顔になったけど、お兄様には怒られた。



お兄様はようやく落ち着いたみたいで、俺の手をにぎにぎしながら言った。

「サフィ。あのね、今回のことで私は思い知ったんだ。
いざというときにサフィを守る権利は、ゲイルにあるんだって。
私がどんなにサフィを大切に思っていても、私にはその権利がない。
私は……サフィを1番に守る権利が欲しいと思っている。
そのために頑張ろうと思う。
そのことを…覚えておいてね?」

ん?なにいってるの?

「ぼくをまもる?
あのね、けんりとかないでしょお?
ぼくは、けんりとかかんけいなく、ゲイルやこうしゃくたち、おにいさまをまもるよ?
いちばんとか、にばんとか、ないの。
だいすきだから、まもるの。それだけでしょお?」

当たり前のことを言ったのに、お兄様はまるで凄いことを聞いたかのように目を見開く。
そして、顔を手で覆って俯いてしまった。

「…ああ…。そうだね、そうだね、サフィ…」

って言いながら。
お兄様ってば意外と心配性だから。色々考えすぎちゃったのかもね。
俺が倒れて急に不安になっちゃったのかな?
でも大丈夫だよ。お兄様には俺がついてるんだから!

「ぼく、ゲイルもだいすきだけど、おにいさまもだいすきだよ!
ちゃんとおにいさまのこと、まもってあげますので!まかせてよきですよ!」

俺はお兄様を安心させてあげようと、胸をドンと叩いたのだった。
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