もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

文字の大きさ
86 / 538
俺、またしてもお披露目会?!

俺、再びのお披露目会が少々不安になってきました。主に強火な保護者達のせいです。

さてさて。
あれからベッタリとお兄様と一緒に過ごし、お兄様を無事に闇落ちから救い、公爵家に戻ってまいりました。


最後の仕上げとばかりに、エリアスとバイツー先生が2人して「どうやってご披露するか」の台本を作り上げた。
俺の登場から退場まで。
どうやったら効果的に頭の固い貴族の人を俺の魅力と魔力で「ひれ伏せ!」しちゃうか。
ふ、ふおん!

「うちのサフィちゃんなら、ちょおっとご挨拶しただけで十分なんだけどねー。
だって、最高に可愛いし、天使でしょ?
だけど、可愛すぎて手に入れようとする輩が出るといけないからね。
そこはしっかりと躾ておかないと」
「うんうん。わかりますうー!可愛さだけでも十分通用するとは思うんですけどお。
せっかくすんごい魔法が使えるんだから、見せつけておきたいですよねえ。
不埒な輩が指一本動かせないように」
「ええ?シュバイツ先生、話が分かる人?」
「エリアス様も、こんなに砕けたお人だなんて思いませんでしたよお!」

気があってる!
この2人、もんのすんごく意気投合していらっしゃる!!
そういえば、普段はチャラっぽいのにやるときにはやるとことか。
俺に強火なところとか。
ゆるめの言動とか。
バイツー先生ってエリアス側の人だって、出会ったとき思ったんだったあああ!
ゆるキャラ風の腹黒さん。
隠しボスキャラ的な。

この2人だけでやらせたら、大変なことになる気がする!
まともな人を投入せねば!!

「ゲ、ゲイルーーー!!!ゲイルうううううう!!!」

慌てて呼んだらば。

「どうした、サフィ!!」

どこからかゲイル参上!
来てくれた!俺のヒーロー!救世主!!

「あのね、バイツーせんせーとエリアスだけだと ふあん。
ゲイルもいっしょに ごそうだんください」

ああ、と納得顔のゲイルが加わって、3人でお披露目会のご相談。
ふう。これでひとあんし…

「いやいや!うちのサフィだぞ?何したって最高に可愛いんだから、誰でも落とせるだろ?
でも、せっかくだし、魔法はぶっ放しておこうぜ。
サフィに手を出そうなんて考えもしなくらいに、完膚なきまでに叩き潰しておかねーとな!」

いやいやいや!ゲイル?!

そうだった。普段は常識人の素晴らしいお父様なのですが、俺に関することだけは誰よりも強火でした…。

お披露目会、どんなことさせられるんだろう……。
雷魔法ドッカーンだけでよくないですか?
はい、ダメですか。りょーかいです。

え?歌?
俺、お歌うたわされちゃうの?お披露目会で?
はあ?
「聖女ですよー。聖獣が俺の眷属になりましたよー。ちなみに魔力も属性も多いですので。よろしく!」
するだけじゃなかったの?
ご挨拶でメロメロして、ドッカーンでいいでしょ?
お歌まで必要?
いきなり貴族の前でご挨拶して歌いだすって、変じゃない?
絶対的におかしいよね?

「いや、おかしくねえぞ。せっかく俺の息子が最高に可愛いんだから、自慢したい」
「うん!僕、聞いたことないんだよねえ。サフィちゃんのお歌、聞いてみたあああい!」
「サフィちゃんの天使っぷり、みんなに見せつけたいっ!」

お披露目の最初の趣旨をすっかり忘れていらっしゃる……。
マジでどうなっちゃうんだろう…。
誰かまともに進行を考えてくれる人、いないかなあ…。

最高権力者である王様!
…ダメだ。あの人も強火。
王妃様…はめっちゃノリノリな未来しか見えない…。
お兄様は…一番ダメ!最前列で手を振ってくれそうだもん!全力で俺担だもん!

ほかに…ほかに…
だ、団長!!団長さんなら!!!
いやいや、あの人は巻き込んじゃダメ!絶対!
せっかく真面目そうでカッコいいのに、この団体に入れたら染められちゃう!
守りたい、その笑顔と筋肉!
は!ミカミカは…!
……ダメだ。これ以上苦労させられない。



考えても考えても、俺の周りには強火しかいないのでした。
ゲイルたちに巻き込まれる未来しか見えぬ…。

え?公爵を忘れてないかって?
論外!
あのひとに人の心の機微なんてわかるわけないでしょー!
今は俺が赤っていえば「うむ。赤か」って頷くし、俺が黒っていえば「うむ。黒だったな」って頷いちゃう。
罪悪感がいい仕事しすぎて「サフィが正義」みたいになっちゃってるんだもん。

ん?
あれ?
それならば、いけるんでないかい?
俺の横にすえておいて、俺が「それはいや」って言えば「サフィラスが嫌と言っている、やめよう」って言ってくれそうじゃん?
おお!
公爵、一周回って最強の味方なのでは?



「こうしゃくーー!!こうしゃくーーー!!」

俺は急いで公爵を呼びに行った。

果たして公爵は…大変いい仕事をしてくださった。
俺が「お歌はやめておきましょー!」というと、ゲイルやみんなの反対を

「サフィラスが嫌がっているではないか。サフィラスのお披露目なのだ。本人が嫌がることはすべきではない」

と、鉄仮面で押し通してくれたのである。

わああああ!!拍手!!いい仕事してくれた!!
ありがとう!ありがとう!!
俺の中で過去一番に公爵の株が上がった。
といってもマイナスだったからようやく普通になったくらいだけれども。

これからはもう少し優しくしてあげよう。


感想 892

あなたにおすすめの小説

結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です

柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。 そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。 真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。 けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。 「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」 彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。 アンリは実は、亡き国王の婚外子。 皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。

何もしなかっただけです

希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。 それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。 ――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。 AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。

あなたの愛したご令嬢は俺なんです

久野字
BL
「愛しい令息と結ばれたい。お前の家を金銭援助するからなんとかしろ」 没落寸前の家を救うため、強制的な契約を結ばれたアディル。一年限りで自分の体が令嬢に変わる秘薬を飲まされた彼は、無事に令息と思いを通じ合わせることに成功するが……

「お前がいると息が詰まる」と追放された令嬢——翌週から公爵家の予定が全て狂った

歩人
ファンタジー
クラリッサは公爵家の日程管理を一手に担う令嬢。前世の社畜経験を活かし、行事計画、来客対応、予算管理まで完璧にこなしていた。 だが婚約者ヴィクトルは言った。「お前がいると息が詰まる。もっと華やかな女がいい」 追放されたクラリッサが去った翌週、公爵家の予定が全て狂い始める。 舞踏会の招待状は届かず、外交晩餐会の料理は手配されず、決算書類は行方不明。 一方クラリッサは、若き領主の元で「定時退社」という夢を叶えていた。 「もう、残業はしません」

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。

下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。 ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。 小説家になろう様でも投稿しています。