もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

文字の大きさ
96 / 536
俺、自由だー!

俺、もう自由だー!!

2度目のお披露目会により「オレ聖女」と「オレ強え」が高位貴族に周知されたことで、俺の日常はがらりと変わった。
高位貴族に周知されたということは、貴族全体に周知されたことと同意なのである。
正確にいえば田舎の方とかの貴族の一部にはまだ伝わっていないかもしれない。
でも、それも時間の問題だろう。
とにかく、これによって俺は「アンタッチャブルな存在」となったのだ。
「こいつになんかするとヤベエ(権力)」
「こいつになんかするとヤベエ(物理・サンダーボルト)」
「聖獣がついてるからへたしたら神の怒りを…」
「俺を好きにさせてるだけで世界は平和になる=逆に俺が不幸ならヤバいんじゃない?」
みたいな感じで、悪い人たちは俺に手を出せない状況となったのであーる!!はっはっは!
悩んだけど公表した甲斐があったね!俺にとってはいいことずくし。

ってことで、まず一番変わったのが「サフィラス厳重保護」が解除となったこと!
よーするに公爵家封鎖レベルの警戒体制が解かれ、自由に行動できるようになったのである!
だけど王城、公爵家、エリアスんち、ゲイルんちのゲートはそのまま。
何故かっていうと、俺ガチ勢が王城に押し掛けてくるようになったからである。
俺はしょっちゅう王城に呼び出される。これは正直ちょっとウザ…ごほん、面倒。
護衛ズとか、ティガーとかマリーとかゲイルとか、誰かしらの保護者は俺に着いては来るんだけど。
これは今までとは意味合いが違い、単に「過保護」ゆえ。
「うちのかわいいサフィを1人にさせられるか!」ってやつです。
んもう!ゲイルってば俺が大好きなんだからあ!うちの親がもーしわけない!(てれてれ)

これまでも4年は引きこもりだったし、その後だって、公爵家も王城も広いしそれなりに好き勝手にしてた。
それで別段不自由は感じていなかった。
至れり尽くせりところか至られすぎ尽されしすぎ。便利生活を満喫しちゃてった俺なのです。
それでも、はっきりと「自由」って言われるとそれなりに嬉しいもの。
よく考えたら公爵家と王城以外は、お披露目会に行く馬車とかくらいしか外に出てないんだよね。
それだって「通り過ぎた」だけ、窓から見ただけだから、出たといっていいものかどうか怪しい。
てことで。

自由の身となった俺は「城下探検」をよーきゅーする!





ということを、俺は全身全力で保護者筆頭であるゲイルに訴えた。
ここさえゲイルを落としてしまえば、あとはなんとかなる。なんといってもゲイルが一番俺に対して過保護だし、一方では一番俺に甘いからね。

俺は寝る前のごろごろタイム、ゲイル抱っこでくつろぎながらゲイルほっぺにすりすりしておねだり。

「ゲイル!オレ、おでかけしたい!
お手伝いしますので、おこづかいくださいませ!
それで、おでかけして下町とかでおこづかいでおかいものとかしたいっ!」

ゲイルは困ったみたいな顔でしぶった。
いきなり解禁になってまだ過保護な気持ちと大丈夫っていう気持ちがうまく折り合えないんだと思う。

「うーん…。といっても警備が…」
「ゲイル。もうオレ、ツエエですので!わるいひとはドガーンできるし、ぽいってしちゃうから!」
「いや、急に襲われたら…」
「ルーダがしゅごのなんかをオレにつけてるっていってた!」
「疲れて体調不良に…」
「まりょく多いと身体もじょうぶなんでしょ!」

ね?ね?いいでしょお?
必殺の上目遣い「にこっ」かーらーのー!両手でゲイルのお顔を挟んで、目を見つめながらゲイルのお鼻のてっぺんにチュ!

目が垂れて明らかにデレっとなったゲイル。
今だ!

「あのね。おせわになったみんなに、ないしょのプレゼントしたいの。
あと、ゲイルとおててをつないでおかいもの、ってゆーのがしたいの。
おねがい、おねがい!!」

チュ!チュ!チュ!

俺の猛攻にゲイルがクシャっと表情を崩す。

「あああ!もう!サフィ!どこでそんなあざといの覚えた?
しかもそんな可愛いこと言われたら許すしかねーだろ!
全くもう!うちの息子は可愛いなあっーー!!!」

こいつめー、と言いながら俺のお腹をこしょこしょこしょー!

「ひゃははははは!く、くすぐったいよおおおお!!やめてえええええ!!!
あははははは!!そ、そこ!だめだってばああああ!!あははは!!」
「ははは!どうだ、まいったか!あざと可愛い息子には、こちょこちょの刑だ!はははははは!!」
「うひゃああ!!まいった、まいりましたあ!やああああん!」

ベットに転がってうひゃうひゃいってたら。



バーン!!



すんごい勢いで扉が開いた。

「サフィーー!!!」

飛び込んできたお兄様の目に入ったのは。
真っ赤になって涙目で髪がぼさぼさの俺。そしてそんな俺をまたいで上にいる手をワキワキさせたままのゲイル。

「な、な、な、ななんてことをーーーーー!!!!」

お兄様がドッカンこと爆発。
一瞬でゲイルを俺の上から引きはがし、俺をその腕の中に抱き込んだ。

「ゲイル!これは、これは許せません!こんな小さなサフィに何をしようとしていたんですか!!!」

怒髪天、ってこういうことかあ、っていう怒りっぷりでゲイルを睨みつけるお兄様。
どうやら、たまたま隙間時間に俺の顔を見にきたお兄様。
そこに俺の「やめてーー」が聞こえ、大慌てで助けに飛び込んできてくれたっぽい。
ゲイルが俺のことイジメてるって思ったのかな?

ゲイルも「あちゃー!」って顔で額に片手を当てて天を仰いでる。
お兄様の勘違いに気付いたんだろう。

俺はゲイルの名誉のためにお怒り中のお兄様の袖をツンツンして訴えた。

「あのね。ゲイルは悪くないの。悪いのは、あざとかわいいオレなの」

お兄様はそんな俺の顔を見て、なぜか泣きそうな顔をした。
そして、切ない表情で、俺の頬をそうっと両手で挟むようにして、俺の目をみて優しく言った。

「…サフィ。ゲイルを庇う必要はないんだよ?
サフィはとても良い子だよ。サフィは悪くない。悪いのは汚い大人なんだ」

汚い大人、と言いながらギリリとゲイルを睨みつけるお兄様。

「きたない大人…」

繰り返す俺に、ゲイルが情けない顔でガクリと肩を落とした。

「いや、サフィ、俺は汚くないからな?そんな目で見るな!
あのな、レオン。お前何か勘違いしてないか?俺はサフィと遊んでやってただけだぞ?」
「は?!遊んでやっていただけ?!なんて言い草だ!見下げ果てたよ、ゲイル!」

誤解を解こうと頑張れば頑張るほどお兄様はヒートアップしていく。
これはあかん!

俺は必死で説明した。

「あのね、オレね、おでかけしたいっておもってね。ゲイルにおねがいしたの!
それでとっておきのおねがいしたの!」
「とっておきのお願い?!」

お兄様の眉がグワっと上がって、目がギラギラと燃えた。
ぎゃあああ!!やばいやばいやばい!!

「ゲイルにチュって!たくさんしたの。そしたらゲイルがかわいいからいいよっていって、それでオレがあざとくてかわいいからこしょこしょのけーなの!」

ぐわあああ!!っとお兄様から猛烈な圧が放たれ、ゲイルがアワワとなりながら

「サフィはもうしゃべるな!そのお口を閉じろ!
だから、違うんだって!!サフィが可愛いこといいやがったから、くすぐって遊んでやっただけなんだって!!」
「そ、そうなの!遊んでただけなの!!!ゲイルのこしょこしょ、いやんだけどおもしろいからっ!!」

俺は必死でお兄様の腕にしがみついた。

「だいすきなおとうさまなのでー!!おにいさま、しずまりたまえーーー!」


は!!こ、これだ!荒ぶるお兄様を鎮めるにはこれしかない!

俺はお兄様のほっぺをガシリと両手で挟み込み、チュウウウウウウウ!!っとお鼻にチュウ。

お兄様は目を真ん丸にした後、真っ赤なゆでだこになって、ぷしゅうと停止したのだった。







感想 884

あなたにおすすめの小説

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

愛さないと言われた妻、侍女と出て行く

菜花
ファンタジー
お前を愛することはないと夫に言われたコレットは、その日のうちに侍女のイネスと屋敷を出て行った。カクヨム様でも投稿しています。

【完結】虐げられて自己肯定感を失った令嬢は、周囲からの愛を受け取れない

春風由実
恋愛
事情があって伯爵家で長く虐げられてきたオリヴィアは、公爵家に嫁ぐも、同じく虐げられる日々が続くものだと信じていた。 願わくば、公爵家では邪魔にならず、ひっそりと生かして貰えたら。 そんなオリヴィアの小さな願いを、夫となった公爵レオンは容赦なく打ち砕く。 ※完結まで毎日1話更新します。最終話は2/15の投稿です。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。

妹が聖女に選ばれました。姉が闇魔法使いだと周囲に知られない方が良いと思って家を出たのに、何故か王子様が追いかけて来ます。

向原 行人
ファンタジー
私、アルマには二つ下の可愛い妹がいます。 幼い頃から要領の良い妹は聖女に選ばれ、王子様と婚約したので……私は遠く離れた地で、大好きな魔法の研究に専念したいと思います。 最近は異空間へ自由に物を出し入れしたり、部分的に時間を戻したり出来るようになったんです! 勿論、この魔法の効果は街の皆さんにも活用を……いえ、無限に収納出来るので、安い時に小麦を買っていただけで、先見の明とかはありませんし、怪我をされた箇所の時間を戻しただけなので、治癒魔法とは違います。 だから私は聖女ではなくて、妹が……って、どうして王子様がこの地に来ているんですかっ!? ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

『教育係など誰でもできる』と私を捨てた婚約者だけが、誰にも教わらなかった

歩人
ファンタジー
頭上に才能値が見える加護を持つ伯爵令嬢セシリアは、貴族子弟の家庭教師として十年を捧げた。 「教育係など誰でもできる」——婚約者の侯爵嫡男に捨てられた翌年、異変が起きる。 宰相の息子が「セシリア先生のおかげです」と宣言し、騎士団長の娘が「戦術は先生から」と語り、 第三王子が即位演説で頭を下げた。王国の未来を作った女性が名もなき家庭教師として捨てられていたと 知ったとき——教えを拒んだたった一人の男だけが、取り残された。

継子いじめで糾弾されたけれど、義娘本人は離婚したら私についてくると言っています〜出戻り夫人の商売繁盛記〜

野生のイエネコ
恋愛
後妻として男爵家に嫁いだヴィオラは、継子いじめで糾弾され離婚を申し立てられた。 しかし当の義娘であるシャーロットは、親としてどうしようもない父よりも必要な教育を与えたヴィオラの味方。 義娘を連れて実家の商会に出戻ったヴィオラは、貴族での生活を通じて身につけた知恵で新しい服の開発をし、美形の義娘と息子は服飾モデルとして王都に流行の大旋風を引き起こす。 度々襲来してくる元夫の、借金の申込みやヨリを戻そうなどの言葉を躱しながら、事業に成功していくヴィオラ。 そんな中、伯爵家嫡男が、継子いじめの疑惑でヴィオラに近づいてきて? ※小説家になろうで「離婚したので幸せになります!〜出戻り夫人の商売繁盛記〜」として掲載しています。