もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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俺の平凡な日常

俺、ライリオの意外な才能を知る

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なんだかんだとカオスを抜け、俺は今心の安らぎ孤児院におります。

え?お兄様?
広場で冒険者とキースと共に何らかを競い合っております……。
木材をキースが剣で次々と加工し棒状にすれば、お兄様は魔法を駆使して板状に。
競うようにしてお店の材料を作り出しておるのです。

冒険者たちはそのまわりでやんややんや。
お酒を飲み肉をはむりながら大喝采。

楽しそうで何より。うん。
お仕事とってもはかどってるネ!



俺は楽しそうなお兄様をキースに任せ、ライリオをつれて孤児院へ。
予定通りクッキーづくりに勢を出しておるのでござりまする。

子どもたちに紹介したとたん、リオの周りにはやんちゃそうな男の子たちが。
いわゆる5歳軍団。
俺には甘えんぼなくせに、リオにはなぜかお兄さんぶってる。

「リオ!オレが教えてやる!」
「こうやってやるんだぜー!」

なんてリオを弟扱いしてるのが面白い。
リオも

「ちょっとお!もっとゆっくり言ってくれなきゃわかんないよ!」
「もう1回やってみてよ」

とか言って、わちゃわちゃと楽しそう。

意外なことに、ライの周りには女の子たちが。
どうしていいのか分からないみたいな顔が可愛かったんだってさ!そうですか!

「あのね、こうやると上手に型が抜けます」

と丁寧に教えてくれるのを「ふむ。そうなのか」「興味深い」と真剣に聞いている。
意外や意外、とても理想的な生徒さん。
女の子たちの方も大きなお兄さんが真面目に聞いてくれるのが嬉しいようで、ほっぺをピンクにして一生懸命大人ぶってるの。かわいいよね。

え?俺?
お膝に1歳児2歳児、背中に3歳児をくっつけて、味見まち。
お兄ちゃんたち頑張ってるからねー?もう少しまっててねー?





「サフィ!サフィ!!これ見て!!!」

リオが満面の笑みで鉄板を持ってきた。
え?これ…

「…まじゅう?」

なんで魔獣?
首をかしげる俺に、リオが唇を尖らせた。
え?違うの?
リオの後ろでサムが指を2本出して必死で何かをアピールしている。
うーんとうーんと…に…に……

「にんじん?」
「違うだろ?!ウサギだよウサギ!!」

耐えかねたようにサムが叫び、俺は「ええええーーー?」
だって…だって……なんかハートのくずれたみたいなスライムみたいな形なんだもん!!
これでウサギは無理でしょー!

「あ、ちゃんとほら、耳があるよ!これ、ウサギの耳だよね!じょうずーー!!」

ナードの気遣いがむなしく響く。

「だって、だって、料理とか初めてだし!
こんなのやったことないし!」

リオはすっかり拗ねてしまった。
サムの目が冷たい。
ごめんって!だってあれじゃわかんないよおお!

とそこに。

「どうした?」とライがトレーを持ってきた。
ライのクッキーも焼けたようだ。
ライの方が意外と不器用だったりしてね。
どんな物体を作り出したのか、このサフィちゃんが見てやろうではないか。

ひょいっと覗き込みましたらば。

「おおおおおお!!!」

そこには、なんと!バラ!バラが美しく咲き誇っておった!
なんて美しく立体的な造形!
ひとつひとつに花弁はふんわりとほころび、う、うつくしいいいい!
食べるのがもったいないくらい!

「うわあああ!」
「きれーい!」
「ス、スゲエ!兄ちゃん、天才じゃね?」

惜しみなく注がれる賛辞。
テレテレと頬を赤らめ恥ずかしそうなライ。
こんなライの顔見たことない!
年相応の顔をしてて微笑ましい。


サムがリオの肩をぽん、と叩いて慰めている。

「これは勝てねえわ。リオの兄ちゃんスゲエな…」

リオもライの芸術作品を目にしたら、自分の作りだした魔獣などどうでもよくなったらしい。
「クッキーづくりにも才能があるんだね…」と呟き、魔獣をひとつパクリ。

「味はおいしい!これは売らないで食べればいいよ!」

って笑いだした。
みんな「いいの?!」と大喜びでリオのクッキーに突進。

「おいしいよ、リオ兄ちゃん!」
「私これスキー!」

にこにこの子どもたちに褒めらえてリオもにっこり。

「ほんと?自分でもそう思う!僕の、味はサイコーだよねー!」

なんてまんざらでもなさそう。
うんうん。よきよき。

ライもリオも、こういう「思ったまんまを口にする」子供たちとの触れ合いってしたことないと思う。
座ったとたんにお膝に入ってくるおチビちゃんに頬を緩めるライとか。
自分より年下の子に慰められちゃうリオとか。
普段見せたことのない顔をして、照れたり拗ねたり笑ったり。

子どもたちも、ちょっと綺麗なお兄ちゃんたちに優しくてもらって、すごく楽しそう。
お料理とか誰かのお世話とかしたことない2人に教えてあげるのも嬉しいみたい。
自分たちがして貰うばかりじゃなくって、誰かのためにしてあげられる。そういうのって嬉しいよね。

その後も何度かクッキーを焼いて、ライは芸術品を量産し(これは通常のより2倍の価格で、箱に入れて売ることになった)、リオは謎の物体を量産した(これは子供用に「これなあに?」と書いたカードを付けて売ることにした)

ライとリオにも、そして子供たちにとってもとっても楽しい1日になった。
俺もなんだかすっごく嬉しかった。
俺の仲間なんだよー、って子供たちに紹介できたし。ライとリオに「とってもいい子たちだね!」ってみんなを褒めて貰えたし。

楽しすぎて帰る時にチビちゃんがライの足にくっついて泣き出しちゃって、ライが困ったみたいな嬉しそうな顔で「また来るから。泣くな」って抱っこしてなでなでしてるのは最高だった。
サムとすっかり仲良くなったリオが涙ぐんじゃって「また来ればいいだろ」「俺より年上なんだから泣くなよリオ」ってサムに慰められてるの、笑った。
また来ようね。
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