もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

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第2部   サフィ10歳。伯爵家の息子です!

俺のうちでもお祝い

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「ただいまー!!」

沢山のプレゼントと共に帰宅した俺です。

「ふ、ふぉおおおお!!」

うちはうちで、エリアスとお兄様、ティガマリが張り切って飾り付けてた!
そらそうだよね。ガチ勢の総本山だもん!

門のところで「サフィ様を守り隊」の皆様が片手で花束を持ち文字通りの「花道」を作って待機!

「おかえりなさいませ!」
「おめでとうございます!」
「おめでとうございます!」

の輪唱。

「入学したよー!冒険者にもなりましたのでー!
いつも守ってくれてありがとうねー!!
冒険行けそうなら一緒に行こうねー!!」

片手を上げてハイタッチ待ちしてる守り隊のゲートを、俺は両手でハイタッチしながら通り抜けたのでした。


屋敷の方もすごかった!
あらゆる場所に花が飾られ、リボンやらキラキラした飾り物やらがつけられている!
風船があちこちに飛んでるし!
「身内だけでお祝い」レベルじゃない豪華な仕上がり!
ガチ勢の本気を見た!

「な、なんかすごいね!」
「サフィのイメージで飾り付けしたんだ。気に入ってくれた?」

とても良い笑顔のお兄様!
お兄様自らご監修されもうしたか!

「今日は身内だけでお祝いしようね。父上と母上も後から来るからね」

身内の定義!まさか王族、俺の身内だった!

「あ!サフィ、シュバイツ先生も来るよー!
オルガ団長にも声をかけてもらってるからね!」

エリアスはお祭りでバイツー先生と仲良くなってたようだ。さすがコミュ強!

公爵もライリオと一緒に後から来るって。
お祝いとしてドエライ花束が届けられていた。
素敵なんだけど、俺的には花より団子派!
この少しずれた好意がいかにも公爵らしすぎて、ちょっとほっこりした。


王様高貴な方々が来るとはいえ、それすら俺にとってはいつものメンバー。
気心知れた人たちにお祝いしてもらえるのは嬉しい。

いい機会だ。
新たな家族、キースのこともみんなに紹介しようっと!




さて。お客さんたちが続々とゲートから現れ、パーティーのスタートです!


「「「改めて。サフィ!入学おめでとう!!!」」」

「「「冒険者デビューもおめでとう!!」」」

あらためて言われたらちょっと照れちゃうね。
えへへ。

「えっとー。今日は俺のお祝いに集まってくれてありがとうございます!
入学と冒険者デビューでいろいろ新しいことばっかりだけど、すごく楽しみ!
学校ではとても良き友達ができました」

よかったねえ、とうんうんするみんな。
王様と王妃様がなぜかバッとお兄様を見て、お兄様が笑顔で「問題ありません」と頷いている。
え?お兄様、俺の友だち審査員だったの?
全くもう、王様たちも過保護だなあ!


せっかくなので、ここで俺の大切なひとたちに新たな家族、キースの紹介もしておこう!
さっきからキース初見の人たちが「誰?」「だれなのだ?」ってちらちら気にしてるもんね。

「ギルドではもうパーティーを組みました。
ここで俺の大好きな人たちに紹介しておくね!」

ここで俺はおいでおいでとキースを呼ぶ。
豪華メンバーの前でも臆せず堂々と俺の横に立つキース。
さすがの丹力だよね!よきよき。

「えっと。この爽やかなお兄さんは、俺とパーティーを組んでくれたキースです!
A級冒険者で、ギルドの顔って言われてるくらい強いのです!
キースは俺の護衛としてここの家族に加わってくれました。
強くて優しいステキな冒険者さんなのです!
みんなもどうかよろしくお願いしまする」

キースはあの人好きのする爽やかスマイルと浮かべ、みんなにはじめましてのご挨拶。

「みなさん、初めまして。冒険者をしております、キースです。
冒険者の階級はA級になります。
これからは護衛兼パーティーの相棒としてしっかりとサフィを守りますので、ご安心ください」

焦ることも、変に下手に出ることもなく、事実だけをしっかりと伝えて胸に手を当てて礼をとった。



みんなはといえば…。
事前に知ってたお兄様、エリアス、ゲイルはいいとして。

公爵とライリオは目を真ん丸にしながらも、どこか納得の表情。

「サフィだもんね。キースさんくらいじゃないと無理だよねえ…」
「ああ。キースさんが一緒なら安心だと思う」
「そうなのか?うむ。キース、サフィラスをよろしく頼む」

キースを「保護者」として認定したようだ。


オルガ団長とバイツー先生は普通に納得。

「キースくんだっけ?彼は強いよお。
彼ならサフィちゃんと行動できるとおもうー」
「ああ。そうだな。
かなり鍛えているし、実戦経験もありそうだ。
あれがA級というものか。俺も一度手合わせ願いたいな」

2人とも見ただけでキースがかなりの実力者だって分かったみたい。
なんか、さすがです、先生方!


めんどうくさかったのは、王様と王妃様だった。
文字通り「がーん!」という見せちゃいけないお顔でしばらく固まってしまって、はっと意識を取り戻した途端に

「キースというのはどこの所属だ?
失礼だが、生まれはどこなのだろうか?
私と会ったことはないかね?どうも見覚えがある気がするのだが…」

え?も、もしかして!
王族だから、キースの国とかに行ったことあるのかな?
それとも、キースの国の王様と顔が似てるのに気づいたとか?

ハラハラする俺をしり目に、キースはうっそりと笑んだ。

「いや、たかが一介の冒険者の俺が陛下にお会いする機会などあろうはずもございません。
生まれは他国になりますが、ここのギルドを拠点にしてかなりの年月となります。
ここはとても良い国ですね。
ご迷惑でなければ、ぜひこちらに定住したいと思っております」

A級冒険者なんて、どの国も喉から手がでるほど欲しがる人材だ。
こう言われて否があるはずもない。
王様も「おかしいなあ」と首を振りながらも、慌ててキースに笑顔を向けた。

「い、いやいや。ワシの勘違いだったか!
それに身上については冒険者には禁句だったな。すまなんだ。
サフィはワシにとって孫のような存在なのだ。老婆心が過ぎてのことと許して欲しい」

ここまで下手に出るとは!
キースもさすがに驚いたようで、ちょっと慌てた。

「い、いえいえ!どうか頭をお上げください。
サフィをご心配なさる気持ちは俺にもよくわかります。
…サフィはいろいろなところから目をつけられそうですしね…」

王様は我が意を得たりと頷く。

「分かってくれるか?
そうなのだ!こやつときたら、あちこちでチャームをふりまきよるからのう!」

聞いていたみんなもうんうんしてる。
ちょっとお!俺のお祝いなのにディスらないで?!
ぷう、と頬を膨らませると、キースにほっぺをぷすりとされた。
もう!
ちょっとムカついたので、足を踏んでやったが平然としてる。さすがA級!

王様はすっかりキースに気を許したようす。
にこにこと握手を交わしている。

「A級冒険者は国の宝だ。ぜひこの国に定住してくれ。
サフィのこともよろしく頼むぞ!
何かあればワシの名を出すが良い。許可しよう」

おおお!さりげなくキースの後ろ盾宣言した!
囲い込む気ですな?うむうむ。さすが王様!素早い判断!

これにはさすがのキースも苦笑。

「いえ。こちらこそ、宜しくお願い致します。
ご期待に沿うように致します」






さてさて。この間、王様の片割れである王妃様はといえば…。
部屋のすみっこにお兄様を引きずって行き、尋問中。

「ちょっと!誰なのよあれは!
サフィちゃん、かなり懐いてるみたいよ?どうするの?
しかも護衛ですって?パーティーまで組んじゃって!
サフィちゃんと学校以外はずっと一緒ってことでしょ?大丈夫なの?」

そうとう心配なさっている模様。
あまりの勢いにお兄様も押され気味。

「い、いえ。
そこは…お互いに話はしておりますので…。
何よりサフィの安全を優先した結果…」

などと言いながら徐々に壁際に追い詰められておる。
おおお!ついに壁ドン!伝説の壁ドンだあああ!!

大丈夫ですよー。キースってば実は身元だってがっちり保証されたお人なのですし。
なんていっても王族なんだもん。内緒だから言えないけど。

ちょっとオドついてるお兄様がオモシロ…げふんげふん、心配なのでこそーりと耳をすませておりましたらば。

「このまんまじゃ、泥棒猫にかすめ取られちゃうわよ!なんとかしなさい!
レオン、負けちゃダメよっ!」

!!猫!!
猫がいるの?!

「猫!どこですか、猫!!」

何を隠そう、前世の俺は超猫好き!
こっちで可愛がってたルー君ももう大きくなっちゃったし。
小さき生き物を所望す!

俺は両手を前に出しながら王妃様に向かって突進!
にこにこしながら「下さいな」した。

王妃様「え?」
お兄様「は?」
俺「え?くれないとか?」

そ、そんなああああ!!喜ばせるだけ喜ばせておいて、ひどいっ!!
ちょっとショックでじんわりと涙が…。
猫……もうずっと抱っこしてない……。
あのもふもふ…くんにゃりとした柔らかな肉球…お腹に顔をうずめておもいっきり猫吸いした幸福は何物にも代えがたく…。

「猫……くれるって言ったのに…」
「え?そんなこと言ったかしら?」
「い、いや、言ってないよね?!サフィ?」
「言った!泥棒な猫を何とかしろって言ってた!
俺がもらえば解決でしょお!
ねこちゃん下さいませ!大事にしますので!」

王妃様は「ああ!」とようやく思い出し、急に眼をウロウロさせだした。

「あ、あれはね…あの…その…ええと……
そう!私の話じゃないのよー!
そういう話があるわよーっていうお話なの!!」

ほんとかなー?人にあげるのが惜しくなったんじゃないの?
じとーーーーー。

「さ、サフィ!本当なんだよ?
王城には猫は居ない。知ってるだろう?
ルー様たちがいるんだからね」

うーん。言われてみれば……

「猫……いないの?」

期待しちゃっただけに…ちょっとがっかり。
しょんぼりしていたら、頼もしい声が。

「うむ!ワシがやろう!」

え?!王様?!

「王城の使用人で、家で猫が子を産んだという者がいた。
多く子が生まれて貰い先を探しているということだったぞ?
良ければ話を通しておこう」
「ほ、ほんとに?!」

希望に目を輝かせる俺に、王様が笑顔で言った。

「うむ!ワシは王だぞ?二言はない!」

お、王様!かっちょいーーーー!!
王様あああああ!!!

俺は王様に向かってダッシュ!
逞しいお腹に(膨らんでいるのではなく。筋肉的な)ぎゅうっと抱き着き、全身で感謝を伝える。

「ありがとーーーー!!!すっごく嬉しい!!
王様、カッコいい!
王様、最高の王様!大好き!!」

王様は俺をひょいっと抱き上げ、ほっぺをすりすり。

「ワハハハハ!ワシはカッコよいか?」
「うん!すっごくカッコいい!」
「大好きか?」
「大好きーー!!!」

後ろから王妃様とお兄様の悲鳴が。

「あなた!ズルイわよ!!」
「父上!!サフィを離してください!!」


ふーんだ。
けちんぼさんなんて、しーらない!



みんなからも沢山のお祝いやプレゼントをもらったんだけど、王様の猫ちゃんが一番うれしいかもしれない。
うふふふふー。
俺はまだ見ぬ猫ちゃんに思いを馳せ、ご機嫌でにこにこするのでした。





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