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第2部 サフィ10歳。伯爵家の息子です!
俺の初めての魔法授業
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「野菜を食べろ」と煩い大人がいないから好き放題できると思っていたバイキング。
ゲイルやお兄様以上にミルくんがうるさかった。
みんなにも怒られた。
反省はした。
そんなわけで、楽しいランチタイムを過ごしたはずの俺たちは、すっかり疲れ切って午後を迎えた。
「って、アンタのせいでしょっ!」
とミルくんにデコピンされた。
反省はした。
魔法の授業は俺が一番楽しみにしてた、いや、ランチの次に楽しみにしてたやつだ。
ハッキリ言って、学校に入った目的の80%はこのためと言ってもいい。
俺の魔法に関しては、魔塔主のバイツー先生直々に教わったり、魔法研究の最前線魔塔に出入り自由だったりと、かなり特殊な環境だったという自覚がある。
しかも俺の周りも魔力多め、かなり特殊なゲイル。氷魔法で有名なグランディール。同じく魔力ツヨツヨお兄様。つまり魔法エリートばかりなのだ。
これが何を意味するか。
答え。俺は普通が分からない!
一般的な魔法がどんな感じなのか全く分からないのである!
俺の魔法は規格外。じゃあ、規格内っていかほど?
どんな感じの魔法が一般的なの?
その辺をここなら教えてくれると思った。
あと、学校なら色々な魔法が見れるし、色々な魔法教えてくれるはず!
勿論、バイツー先生に基本はしっかり習ってる。大抵の魔法はイメージでできる。だけどそこからがおかしかった。
スパルタ!
「なんか、こんな感じのやつ、サフィちゃんならできると思うんだあ!やってみて!」
とイメージを伝えられて無茶振り!
せっかくだからとド派手なドガーンバリーン!
もしくはヘンテコなうにょりんぼこりん。
出来ちゃってたけど。俺も悪ノリして楽しんでたけど。
…普通ってなんなんだろうね。
なのでここで俺は「普通の魔法」を学ぶのです!
魔法の授業は俺のいるSクラスと、その下のAクラスの合同になる。
外になる闘技場みたなところでやるんだけど、ちょっと遠いのだけが難点。
一応魔法壁でぐるりと囲われてるんだけど、万が一を考えて少し学舎とは離してあるんだって。
普段なら平気なんだけど、ランチを食べすぎてお腹ぽんぽこりんの俺には……ちょっときつい距離…。
ゲイルがいたらお腹減らしのヒール(俺の身体には魔法は効かないんだけど、これはゲイルが俺用にあみだした『食べ物を細かくしてぎゅぎゅっとするやつ』。俺じゃなくて食べたものの方に魔法する裏技)してくれるのに…。
うう……。
よぼよぼとえっちらおっちら歩いてたら、クラスのみんながどんどん追い抜いていく。
「サフィ、お先ー!」
「がんばってねー!」
「おんぶしてあげようか?」
なぬ!おんぶ!
いつもなら「子供じゃないですし!」とお断りするワードがいまはとてもキラキラしく聞こえる…。
「おんぶ…」
「しません!」
勝手にお断りしちゃったミルくんを恨めしく見つめたら、はあー、と深くため息をつかれた。
「あのね、考えてみなよ。
おんぶしたら余計にお腹がぎゅってするんだよ?
大丈夫なの?」
あかーん!それはいけませぬ!
ぎりぎり俺のお腹に収まっているケーキやらチキンやらが大変なことになってしまう!
「でしょ?
だからアンタは歩くしかないの!
頑張って歩いて少しでも消化しなさい!」
そっと俺の背中を押してくれる手に優しさを感じる。
「ミルママ……いつもありがとねええ…!」
よぼよぼしながら心からのお礼を伝えたら
「誰がママなの!」
とどつかれてしまった。ひーん。
「リースパパー!ママがオコです!」
ミンミン兄妹がちゃかすと、リースもため息。
そして…
「ほら。ふざけてると遅刻しちゃうだろう?
しょうがないなあ」
ぐわりと俺をお姫様抱っこ!
ひゃああん!!
「そ、それはダメ!恥ずかしいよおおおう!」
「あはははは!自業自得だね、サフィ!
これで懲りたら次から気を付けるでしょ!」
「おおお!リース、スゲエ!かっちょえー!!」
「サフィ、良かったじゃないの。これなら問題ないわよねえ?」
「ほら!暴れないで。危ないよ?
大人しく抱っこされてて」
初めての魔法の授業。
遅刻寸前の俺は、勢ぞろいして待つみんなのところにリースのお姫様抱っこで到着したのでした。
えーん。もうオムコにいけないっ!
「ブフォオ!
くっ……くくっ…っ!
遅刻かと思ったぞwよかったじゃねえかww」
先生、ひどいっ!
って!それ!!それってえええ!!
「さあ、これでみんな揃ったな!
俺はウルフモンド・ギーツだ。
見ての通り、狼の獣人だ。
獣人差別する奴なんていねえとは思うが…まあ居たらそれなりの覚悟をして貰うぞ?」
ニヤリと口元から牙を出して笑った。
か……かっちょえええええ!!!
魔法の先生っていうから、てっきりバイツー先生みたいに細めの文系っぽい先生を想像してた!
でもウルフ先生は、なんていうか…海賊って感じ!
瞳の色は濃紺。灰色の長い髪を無造作に伸ばしている。
全体的にいい感じに筋肉がついた細マッチョ。
浅黒い肌といい、全体的にエキゾチック。
頭の上には猫さんよりも大きめな灰色のお耳がピーンと……。
俺はもう目が離せなかった。
じいいいいいいい、と見つめて居たら。
先生が皮肉気な笑みを浮かべた。
「なんだ、サフィラス。
お前、獣人嫌いってやつか?」
「………触っていいですか?!」
「はあ?」
ぽかーんとする先生。
俺は言うなら今しかないと思い、前のめりで再度繰り返した。
「その最高にカッコよきかわゆすなお耳!!触っていいですか?
あと、そのもっふもふの尻尾もちょっとだけですので、ちょっとだけですので触らしてください!!
ぎゅうっとはしませんので!!そおっと!そおっと触りますから!!」
断わられる前にと、ふんふんと荒い息を吐きながら大急ぎで詰め寄る。
「お、おい!お前、なんか怖えぞ…!!」
「ふふふ。怖くないですよおおおお?俺、とっても優しいですのでねええええ?
ほおら、大丈夫。痛くないよおおお?
その最高のお耳とおしっぽ、ちょこっとだけ俺にもふらせてくださいませねえええええ?」
ぴょーんと先生に飛びつき、お耳をふにっ!
はわあああああああ!!!
先生が固まっているのをいいことに、俺はお耳をふにふにし、次は尻尾に…
「こらああああ!!!先生にセクハラしないのっ!」
ビシイイイイ!!
怒声と同時にビシっと頭に手刀が!
「いったああああい!!」
頭を抱えて蹲ったすきに、先生に逃げられてしまった。
「ああああ!俺のウルフっ!!」
「俺のじゃないでしょ!ウルフモンド先生でしょ!」
すかさず叱られて、俺はしぶしぶ言い直す。
「……ウルフせんせー……」
ミルくんは先生を背に庇い、俺を正座させた。
「あのね。獣人さんの尻尾は大事なものなの。お耳もだよ。
触ったらダメだって習ったでしょ!」
「……だって、カイルもネイトももふらせてくれるもん……」
「はあ?誰なの?それ」
「俺のいきつけのカフェの店長さんと店員さん。とらさんとねこさんの獣人さんなの。仲良し」
「はあ…。あのね。許可を得てやるのはいいけど、会った早々いきなる迫るのはダメでしょ?!
ちゃんと段階を踏みなさい!」
「ちゃんと聞いたもん!触らせてくださいって言ったもん!」
「先生は良いって言った?」
「………言ってないけど………」
ほおら、とドヤるミルくん。
「先生にごめんなさいしなさい」
俺はしょんぼりと先生にごめんなさいした。
「ウルフせんせー、ごめんなさい……」
ああ……俺の極上のもふもふ……。
上目づかいで恨めしく見つめると、先生がハッとしたように動きだした。
「あ、ああ。いきなりで驚いただけだ。
獣人だと差別されることはあるが。
まさか飛びつかれるとはなあ!」
俺はしょんもり謝罪した。
「あのね、困らせるつもりじゃなかったの。
最高にカッコよすぎたから我を忘れましたのです。
申し訳ない……」
「カッコいいか?」
「うん。ピーンとした大きなお耳、最高!
尻尾も大きくってふさふさ。もっちりと立派なおしっぽ!
うちのルーダの次にいいお尻尾」
「ルーダ?」
「俺の守護獣。大きな狼みたいな感じ。5メートルくらい?」
「はあ?!それ、狼か?」
「うーんと……正確にはフェン…」
「ああ、言わなくていい!言わなくて!!」
先生は困ったみたいに眉間に指をあてて首をふっていたが、やがて笑い出した。
「く…っくくくっ……あっはっはっは!
いやあ、教師生活も長いが、会った早々俺にセクハラ働いてきたやつは初めてだぜえ!
はっはっはっはっは!」
「セクハラじゃないです!ちょっともふらせてもらおうと…」
「それがセクハラなんだってさっき教えたでしょ!」
「ごめんなさい!セクハラしました!
「それで…あのう……」
「ん?なんだ?」
「もふらせて頂いてよろしいでしょうか?」
しーん。
え?俺なんかおかしなこと言った?
「もふらせて頂いてよろしいでしょうか?」
「聞こえてるよ?!なんで2回も言ったの?
さっきダメだって言ったでしょ!!」
ミルくんが鬼の形相!ひいいい!!
「だ、だってだって!許可を得ればいいって…」
「そういう意味じゃないよね?空気読もう?」
一触即発と言っていい殺伐とした空気。
「ギャッハハハハハハ!!なんだコイツ!おもしれええええ!!!」
それを打ち破ったのは、まさかのウルフ先生だった。
「ほら」
しゃがんで頭を差し出してくれる。
「え?い、いいの?!」
「おう。今回だけな。
お前の熱意に免じて許してやる」
ふわああああああ!!!
俺は先生が逃げないようにぎゅうっと抱き着いて、お耳にお顔をうずめた。
「ひう!
ちょ、ちょっとそれはヤメロ!触るだけだ、触るだけ!!」
くすぐったかったみたい。
よおっし。では見るがいい!何人もの獣人さんをメロンメロンにしたこの俺の黄金ハンドを!
ふにふにふにふに。
ふにふにふにふに。
ふにふにふにふに。
「ぐ……」
「ぐ………ぐる………ぐるぐる………ぐるぐる……ぐるぐる」
ほおーら、いい感じでしょー?
ついでにノドもこしょこしょーーーーーー。
「はい、アウトーーーー!!!!」
ミンミン兄妹に両手を掴まれホールドアップされた。
「な、なんでーーー!!!いいところだったのにいいいいい!!!」
「みなさい!先生を!やりすぎよっ!!」
見ると先生が真っ赤になってはぁはぁしながら口を押えていた。
「お、おま…おま……!なんだよそのテク……!!」
「むふふふふ。せんせーも俺のゴッドハンドのとりこですな!」
「だからやめなさいって!」
スパーン!
ミルくんのゴッドハンドも炸裂した。
ちゃんと許可とったのにいいいいいいい!!!
とにもかくにも。
俺をハートブレイクして10分遅れで授業は無事スタートした。
ゲイルやお兄様以上にミルくんがうるさかった。
みんなにも怒られた。
反省はした。
そんなわけで、楽しいランチタイムを過ごしたはずの俺たちは、すっかり疲れ切って午後を迎えた。
「って、アンタのせいでしょっ!」
とミルくんにデコピンされた。
反省はした。
魔法の授業は俺が一番楽しみにしてた、いや、ランチの次に楽しみにしてたやつだ。
ハッキリ言って、学校に入った目的の80%はこのためと言ってもいい。
俺の魔法に関しては、魔塔主のバイツー先生直々に教わったり、魔法研究の最前線魔塔に出入り自由だったりと、かなり特殊な環境だったという自覚がある。
しかも俺の周りも魔力多め、かなり特殊なゲイル。氷魔法で有名なグランディール。同じく魔力ツヨツヨお兄様。つまり魔法エリートばかりなのだ。
これが何を意味するか。
答え。俺は普通が分からない!
一般的な魔法がどんな感じなのか全く分からないのである!
俺の魔法は規格外。じゃあ、規格内っていかほど?
どんな感じの魔法が一般的なの?
その辺をここなら教えてくれると思った。
あと、学校なら色々な魔法が見れるし、色々な魔法教えてくれるはず!
勿論、バイツー先生に基本はしっかり習ってる。大抵の魔法はイメージでできる。だけどそこからがおかしかった。
スパルタ!
「なんか、こんな感じのやつ、サフィちゃんならできると思うんだあ!やってみて!」
とイメージを伝えられて無茶振り!
せっかくだからとド派手なドガーンバリーン!
もしくはヘンテコなうにょりんぼこりん。
出来ちゃってたけど。俺も悪ノリして楽しんでたけど。
…普通ってなんなんだろうね。
なのでここで俺は「普通の魔法」を学ぶのです!
魔法の授業は俺のいるSクラスと、その下のAクラスの合同になる。
外になる闘技場みたなところでやるんだけど、ちょっと遠いのだけが難点。
一応魔法壁でぐるりと囲われてるんだけど、万が一を考えて少し学舎とは離してあるんだって。
普段なら平気なんだけど、ランチを食べすぎてお腹ぽんぽこりんの俺には……ちょっときつい距離…。
ゲイルがいたらお腹減らしのヒール(俺の身体には魔法は効かないんだけど、これはゲイルが俺用にあみだした『食べ物を細かくしてぎゅぎゅっとするやつ』。俺じゃなくて食べたものの方に魔法する裏技)してくれるのに…。
うう……。
よぼよぼとえっちらおっちら歩いてたら、クラスのみんながどんどん追い抜いていく。
「サフィ、お先ー!」
「がんばってねー!」
「おんぶしてあげようか?」
なぬ!おんぶ!
いつもなら「子供じゃないですし!」とお断りするワードがいまはとてもキラキラしく聞こえる…。
「おんぶ…」
「しません!」
勝手にお断りしちゃったミルくんを恨めしく見つめたら、はあー、と深くため息をつかれた。
「あのね、考えてみなよ。
おんぶしたら余計にお腹がぎゅってするんだよ?
大丈夫なの?」
あかーん!それはいけませぬ!
ぎりぎり俺のお腹に収まっているケーキやらチキンやらが大変なことになってしまう!
「でしょ?
だからアンタは歩くしかないの!
頑張って歩いて少しでも消化しなさい!」
そっと俺の背中を押してくれる手に優しさを感じる。
「ミルママ……いつもありがとねええ…!」
よぼよぼしながら心からのお礼を伝えたら
「誰がママなの!」
とどつかれてしまった。ひーん。
「リースパパー!ママがオコです!」
ミンミン兄妹がちゃかすと、リースもため息。
そして…
「ほら。ふざけてると遅刻しちゃうだろう?
しょうがないなあ」
ぐわりと俺をお姫様抱っこ!
ひゃああん!!
「そ、それはダメ!恥ずかしいよおおおう!」
「あはははは!自業自得だね、サフィ!
これで懲りたら次から気を付けるでしょ!」
「おおお!リース、スゲエ!かっちょえー!!」
「サフィ、良かったじゃないの。これなら問題ないわよねえ?」
「ほら!暴れないで。危ないよ?
大人しく抱っこされてて」
初めての魔法の授業。
遅刻寸前の俺は、勢ぞろいして待つみんなのところにリースのお姫様抱っこで到着したのでした。
えーん。もうオムコにいけないっ!
「ブフォオ!
くっ……くくっ…っ!
遅刻かと思ったぞwよかったじゃねえかww」
先生、ひどいっ!
って!それ!!それってえええ!!
「さあ、これでみんな揃ったな!
俺はウルフモンド・ギーツだ。
見ての通り、狼の獣人だ。
獣人差別する奴なんていねえとは思うが…まあ居たらそれなりの覚悟をして貰うぞ?」
ニヤリと口元から牙を出して笑った。
か……かっちょえええええ!!!
魔法の先生っていうから、てっきりバイツー先生みたいに細めの文系っぽい先生を想像してた!
でもウルフ先生は、なんていうか…海賊って感じ!
瞳の色は濃紺。灰色の長い髪を無造作に伸ばしている。
全体的にいい感じに筋肉がついた細マッチョ。
浅黒い肌といい、全体的にエキゾチック。
頭の上には猫さんよりも大きめな灰色のお耳がピーンと……。
俺はもう目が離せなかった。
じいいいいいいい、と見つめて居たら。
先生が皮肉気な笑みを浮かべた。
「なんだ、サフィラス。
お前、獣人嫌いってやつか?」
「………触っていいですか?!」
「はあ?」
ぽかーんとする先生。
俺は言うなら今しかないと思い、前のめりで再度繰り返した。
「その最高にカッコよきかわゆすなお耳!!触っていいですか?
あと、そのもっふもふの尻尾もちょっとだけですので、ちょっとだけですので触らしてください!!
ぎゅうっとはしませんので!!そおっと!そおっと触りますから!!」
断わられる前にと、ふんふんと荒い息を吐きながら大急ぎで詰め寄る。
「お、おい!お前、なんか怖えぞ…!!」
「ふふふ。怖くないですよおおおお?俺、とっても優しいですのでねええええ?
ほおら、大丈夫。痛くないよおおお?
その最高のお耳とおしっぽ、ちょこっとだけ俺にもふらせてくださいませねえええええ?」
ぴょーんと先生に飛びつき、お耳をふにっ!
はわあああああああ!!!
先生が固まっているのをいいことに、俺はお耳をふにふにし、次は尻尾に…
「こらああああ!!!先生にセクハラしないのっ!」
ビシイイイイ!!
怒声と同時にビシっと頭に手刀が!
「いったああああい!!」
頭を抱えて蹲ったすきに、先生に逃げられてしまった。
「ああああ!俺のウルフっ!!」
「俺のじゃないでしょ!ウルフモンド先生でしょ!」
すかさず叱られて、俺はしぶしぶ言い直す。
「……ウルフせんせー……」
ミルくんは先生を背に庇い、俺を正座させた。
「あのね。獣人さんの尻尾は大事なものなの。お耳もだよ。
触ったらダメだって習ったでしょ!」
「……だって、カイルもネイトももふらせてくれるもん……」
「はあ?誰なの?それ」
「俺のいきつけのカフェの店長さんと店員さん。とらさんとねこさんの獣人さんなの。仲良し」
「はあ…。あのね。許可を得てやるのはいいけど、会った早々いきなる迫るのはダメでしょ?!
ちゃんと段階を踏みなさい!」
「ちゃんと聞いたもん!触らせてくださいって言ったもん!」
「先生は良いって言った?」
「………言ってないけど………」
ほおら、とドヤるミルくん。
「先生にごめんなさいしなさい」
俺はしょんぼりと先生にごめんなさいした。
「ウルフせんせー、ごめんなさい……」
ああ……俺の極上のもふもふ……。
上目づかいで恨めしく見つめると、先生がハッとしたように動きだした。
「あ、ああ。いきなりで驚いただけだ。
獣人だと差別されることはあるが。
まさか飛びつかれるとはなあ!」
俺はしょんもり謝罪した。
「あのね、困らせるつもりじゃなかったの。
最高にカッコよすぎたから我を忘れましたのです。
申し訳ない……」
「カッコいいか?」
「うん。ピーンとした大きなお耳、最高!
尻尾も大きくってふさふさ。もっちりと立派なおしっぽ!
うちのルーダの次にいいお尻尾」
「ルーダ?」
「俺の守護獣。大きな狼みたいな感じ。5メートルくらい?」
「はあ?!それ、狼か?」
「うーんと……正確にはフェン…」
「ああ、言わなくていい!言わなくて!!」
先生は困ったみたいに眉間に指をあてて首をふっていたが、やがて笑い出した。
「く…っくくくっ……あっはっはっは!
いやあ、教師生活も長いが、会った早々俺にセクハラ働いてきたやつは初めてだぜえ!
はっはっはっはっは!」
「セクハラじゃないです!ちょっともふらせてもらおうと…」
「それがセクハラなんだってさっき教えたでしょ!」
「ごめんなさい!セクハラしました!
「それで…あのう……」
「ん?なんだ?」
「もふらせて頂いてよろしいでしょうか?」
しーん。
え?俺なんかおかしなこと言った?
「もふらせて頂いてよろしいでしょうか?」
「聞こえてるよ?!なんで2回も言ったの?
さっきダメだって言ったでしょ!!」
ミルくんが鬼の形相!ひいいい!!
「だ、だってだって!許可を得ればいいって…」
「そういう意味じゃないよね?空気読もう?」
一触即発と言っていい殺伐とした空気。
「ギャッハハハハハハ!!なんだコイツ!おもしれええええ!!!」
それを打ち破ったのは、まさかのウルフ先生だった。
「ほら」
しゃがんで頭を差し出してくれる。
「え?い、いいの?!」
「おう。今回だけな。
お前の熱意に免じて許してやる」
ふわああああああ!!!
俺は先生が逃げないようにぎゅうっと抱き着いて、お耳にお顔をうずめた。
「ひう!
ちょ、ちょっとそれはヤメロ!触るだけだ、触るだけ!!」
くすぐったかったみたい。
よおっし。では見るがいい!何人もの獣人さんをメロンメロンにしたこの俺の黄金ハンドを!
ふにふにふにふに。
ふにふにふにふに。
ふにふにふにふに。
「ぐ……」
「ぐ………ぐる………ぐるぐる………ぐるぐる……ぐるぐる」
ほおーら、いい感じでしょー?
ついでにノドもこしょこしょーーーーーー。
「はい、アウトーーーー!!!!」
ミンミン兄妹に両手を掴まれホールドアップされた。
「な、なんでーーー!!!いいところだったのにいいいいい!!!」
「みなさい!先生を!やりすぎよっ!!」
見ると先生が真っ赤になってはぁはぁしながら口を押えていた。
「お、おま…おま……!なんだよそのテク……!!」
「むふふふふ。せんせーも俺のゴッドハンドのとりこですな!」
「だからやめなさいって!」
スパーン!
ミルくんのゴッドハンドも炸裂した。
ちゃんと許可とったのにいいいいいいい!!!
とにもかくにも。
俺をハートブレイクして10分遅れで授業は無事スタートした。
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