もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

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俺はA級になる!

ブリードの計画

「で?どうなのだ?
我としてはどちらでもかまわぬぞ?」

ニヤニヤと歯を剥くブリード。

じいいいい
じいいいい

ちょっと圧がすごすぎない⁈
四方から

「ドラゴンが眷属だよ?もちろんオッケーだよね⁈」
「早く頷け!ドラゴンの気が変わらないうちに!」

みたいな視線が飛んでくる。
こやつら、ひとごとだと思ってえ!

「いや、だからね、勝手なことしたらまたゲイルに怒られちゃうでしょおが!
ゲイルってば、普段は優しいけど怒るとすんごおおく怖いんだからね!
みんなも怒られてみなよ、俺の気持ちがわかるはずだから!」

「ああ。ゲイルは確実に怒るな。損得じゃないからな、ゲイルは」

キースも俺に味方してくれた。
さすがは家族!わかってるう!

「で、でも、ドラゴンが眷属になるなんて、どんな人でも泣いて喜ぶヤツだろ⁈
断るだなんて聞いたことがねえぞ!」

「そうだそうだ!全ての宝をさしだして願うレベルだぞ?」

BOO!BOO!

すごいブーイングの嵐!
そんなとこで一眼とならないでっ?



人数的にアウェイな中、俺は最後の抵抗を試みた。

「だけど、ブリードを眷属にして俺になんの得が?
俺、ブリードいなくても十分ツエエですし?
もうフェンリルがいるから、俺のペット枠はいっぱいいっぱいなの!」

過ぎたるは及ばざるが如し、って宣伝、どこでみたっけ?

「フェンリルをペット扱いか!やはり面白い!なんとしても我も加えて貰う!」

グヲー!

勝手に盛り上がったブリードが吠えた。
ブリザードドラゴンの咆哮(興奮しただけ)にブーブー言ってたやつらが「ヒィッ」と首をすくめる。いい気味である。




それでも渋っていたら、ブリードがとんでもないことを言い出した。

「眷属にしてくれたら、あのドラゴンのうち一頭を我が貰ってやるぞ?」

「………はぁ?!」


どういうことかと詳しく聞いてみると、これがなかなかにナイスなものでござった。
そもそもなぜブリードが住処を出てうろちょろしていたのかといえば、伴侶を求めてのことだったのだという。

「そろそろ番っても良いかと思ってな。このあたりにアイスドラゴンがいると聞いてやってきたのだ」

「いや、確かにいたけど……アレですよ?
みいんな、雄ドラゴンでしょ?」

するとブリードの口から驚くべきドラゴンの秘密が明かされた。

「知らぬのか?ドラゴンは雌雄同体だぞ?」

「「「「はああああ?!」」」」

俺とレオン、ミカミカ、キースの声が完全にかぶる。
ちなみに騎士たちは何言ってるか分からずきょとんとしていた。

いやいやいや、だってあれみいんな数百歳のおっさんドラゴンだったよ?
マジで?
あれオジさんじゃなくってオバさんだったの?!

がびーん、とショックを受けた俺たちにブリード曰く。
ドラゴンの個体は基本的には群れは作らない。その代わり、繁殖したくなったときに別の個体を探して番うのだそうだ。
でもってドラゴンが番う場合、体格の小さな個体のほうが雌に変化するのだという。

それサラリと人間に教えちゃっていいやつ?

今は最強のブリードも若いときには別のアイスドラゴンと番わされ…げふんげふん、番って赤ちゃんドラゴンを生んだんだって。
生まれたドラゴンは幼年期だけ一緒にすごし、すぐに巣立っていくものらしい。
そうやってドラゴンは繁殖していくのだ。

ほえええええ!!
なんたる摩訶不思議!ドラゴンの神秘!




「俺にしたらサフィとゲイルだって似たようなものだぞ?」

「サフィこれでも聖女だもんな。だからレオンと婚約できたんだし」

キースとミカミカの言葉にレオンがにっこりとほほ笑んだ。

「ラッキーだったよね?
まあ、サフィが聖女であろうとなかろうと、私がなんとかするつもりだったけどね?」

こっわ!腹黒レオン、こっわ!
ちょっと背中がぞわぞわして後ろにあとじさってしまった。
ブリードですら「おぬしの番は恐ろしいのう……」って呟いていた。
俺もそう思う!





話し合いの末、あのドラゴンのうちもともとここにいたフィリューゲル以外の二ドラから、好きな方を進呈することにした。
どっちになるかわかんないけど幸せになるんだよ、ジークかゴーン!
ゴーンのほうはまだ大人しいから、どっちかっていうとジークを連れて行ってほしい。
まあブリードにも好みというのもがあるでしょうが、そこはあくまでもこちらの希望としましてね?


俺とブリードの話し合いを、キースとレオンとミカミカが恐ろしいものを見るような目で見つめている。

「……勝手にオスの番にされてんの、怖すぎるな……」

キース、キースのキースを無意識にそっと守っている。タマヒュンしちゃったようだ。

「しかもサフィの話だと、あのドラゴンたち、サフィに『肉を狩って来い』って使いに出されてるんだろ?
こき使われて戻ってみたら他の雄の嫁にされんのか……」

ブルリと身を震わせるミカミカ…

「他ドラゴンごとながら哀れに思えてきた。元からいるドラゴンは除外してくれるみたいで良かったぜ……」

「まあまあ。それで平穏が訪れるのなら問題ないだろう?
伝説のブリザードドラゴンの番になれるんだ。彼らだって、きっと喜んでくれるさ」



三人の会話をききつけて、辺境の筋肉たちが固まってブルブルと震えだした。

「おいおい……。とんでもない恐ろしいこと計画してるぞ?」

「ああ。可哀そうに。メスにされちまうんだろ……?」

「迷惑したが……こうなってみると哀れだな……」

「やつらも隣国の犠牲者なのにな……」

妙にしんみりと迷惑ドラゴンに同情してしまっている。
わが身に置き換えたのか、その顔色は真っ青だ。


大丈夫だって!ブリードならきっと幸せにしてくれるよ!たぶん!
だって、気のいい愉快なドラゴンなんだもの!






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