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俺とレオンの婚約式
リンロン問題の真相
レオンの「ウチに来たドラゴンのおかげですんごおく迷惑したんだよね~。てかアンタんとこのでしょ?」攻撃にガンダルさんが「やっぱり」と怒り顔。
ゼンが真っ青になってぷるぷるしながら俯いてしまった。
そんなゼンの背中をセオが「大丈夫よ。落ち着いて?」とそっと撫でさすっている。
どう見ても男女逆なんだけどそれはこの際置いておこう。
「あのね、まだるっこしいのはやめてハッキリ言っちゃいますね?
俺は冒険者としてドラゴン討伐の依頼を受けて辺境に行きました。
それでもって、どういう事情なのか大体の話を聞いたのでございまする。
その答え合わせをしてもよろしいでしょうか?」
ふるふるしているゼンの代わりに、ガンダルさんが神妙な表情で頷いた。
「……どのように伝わっておるのでしょうか?我々も興味がございます」
「じゃあ、言いますね?
あくまでも王国に入る噂では、ですのでね?リンドールの王子が婚約者がいるのにロンドの王女と浮気して、ロンドが責任取れって言ってきて婚約者とその親の宰相さんがオコ。リンドールとロンドの戦いになっちゃったっていう話なのですが。
でもってその睨み合いの場所がちょうどドラゴンさんたちの住処近くだったから、ドラゴンさんがウチに来ちゃってウチのドラゴンとなわばり争いになったの。
こういったらアレなんだけど……噂から想像したらばすんごいチャラい王子さまかなって思ったのですけれどもね。なんかゼンと会ったら違うんじゃないかって思いましたのです。だってチャラ男じゃなくて妖精さんですし。
実際のところ、どうなんでしょうか?」
レオンが「……うん。ハッキリ言ったねサフィ」とおでこを押さえている。
だって、もうぶっちゃけちゃった方が話が早くない?
噂は噂。本当のことはわからないんだもの。
ガンダルさんは(名前まであの人みたいで呼ぶたびに笑いを堪えるのに必死!)笑うととっても優しい感じになるし、すんごい常識人。
てことはこの人が激オコして「ロンド許すまじ!!」ってなるだけのことをロンドはしたのだろう。
最初は「喧嘩両成敗」くらいに思ってたんだけど、このメンツをみたらば考えが変わった。
こりゃ、悪いのはロンドでは?まだ会ってもないけど。絶対にロンド。
だってこの美少女が自分からこんなカッコよな婚約者裏切るはずないし、子ウサギみたいな性格でロンドの姫をアハンするわけないもん。
あの「私たちの婚約式なのに、迷惑な輩の仲裁とは!」ってオコだったレオンまで、ゼンたちに会ったら「なんだか勝手が違うぞ」って絆され顔になってたしね。
なので、申し訳ないが、事情をきっちりと聞いておきたいのです。幸いロンドの方が後からくるみたいだし。
あまりにもぶっちゃけすぎたのか、リンドールのみなさま、しーんとなってしもうた。
でもオブラートにくるみようもないくらい、身も蓋もない噂なんだもの。
しばらくして、何かを決意したかのようにゼンが口を開いた。
「……私の口から申し上げましょう」
まだ顔色が真っ青。口元を押さえた手も震えている。大丈夫だろうか?
「えと。大丈夫?言える範囲で良きですからね?無理しないで大丈夫ですのでね?」
「は、はい。ありがとうございます」
ゼンは震えながらもキッと顔を上げ断言した。
「私は浮気などしておりません。私が愛するのはセオドラです。
あんな恐ろしい王女など……」
言いかけて絶句してまたしてもブルブル。
ど、どんだけひどい目にあったの?何があった?!
「殿下。セオドラと向こうでお休みください。私が代わりに事情をお話いたしますので」
ゼンを気遣わし気に見やり、ガンダルさんが名乗りを上げた。
「…どうやら大変な目に合われたご様子。ぶしつけなことをお聞きしてしまい、申し訳ない。
どうかゼン殿下はあちらのソファで少しお休みください」
重ねてレオンに促され、セオがそっとゼンを促しソファに寝かせている。
俺とレオンの心はひとつだ。
悪いのは絶対ロンド!
こんな繊細そうなかわゆい妖精さんをひどい目に合わせるなんて、ロンド許すまじ!
俺たちはテーブル席で小声で話を聞く。
ガンダルさんが教えてくれた実情は酷いものだった。
ロンドから「隣人として友好を深めたい。ぜひ我が国にいらしてください」としつこく誘われた。
リンドールはもとより閉鎖的な国。最初は断っていたが相手は国土の大半が接する隣国。あまりにしつこいので仕方なく外交に行ったゼン。
ところが、そのゼンのはかなげな容貌にロンドの第三王女が一目ぼれ。婚約者がいるからと言っても、べったりとくっついて離れない。
しまいには「たかが一貴族の娘でしょう。私は王女!お互いの国のためには私と婚約すべきでしょう?」と言い出し、従者含めて全員「歓待」という名の軟禁状態に。
外交として訪問していること、さらには決定的なことをされたわけではなく「歓待」とされていることから強くでることもできない。
「婚約者が待っております。帰らせてほしい」と頼むしかできずに困っていると、突然態度が豹変。殊勝な表情で「仕方ありません。では、最後にせめて」と無理やり茶会に参加させられた。
そこで茶を飲んだゼンは気を失い、気が付けばは王女と同じベッドで寝ていたのだそう。
「明らかに何か盛られちゃってるね?!」
分かりやすすぎるテンプレ展開に思わず叫んだ俺は悪くない。
国内ならまだしもいくらなんでも外交に来た他国の王子にそこまでしちゃう?!馬鹿なの?!
レオンがものすんごおくスンなお顔。
「事情は分かりました。して、ゼン殿下はどのようにして戻られたのですか?」
「あまりにも戻りが遅いため、何事か起こったのではないかと、私とセオドラ、近衛で迎えに行ったのです。
急な来賓ゆえ準備があるからと数日城下で待たされたのち、ようやく訪問の許可が出ました。
『こちらです』と案内されたほうに向かうと、殿下が下着姿でふらふらと部屋から出ていらしたのです。
その後ろから第三王女も……」
思わずガタンと立ち上がる。
「あからさまに計画されてるじゃん!!目撃者にされちゃってるじゃん!!」
「サフィ!ちょっと黙っていようか?」
しかしガンダルさんも拳握って立ち上がった。
「そうなのです!明らかに仕組まれておったのです!
私たちはすかさず殿下を抱え、宿泊していた宿に転移を致しました。
残る近衛を騒動員してすぐさま王城に向かわせ、騒ぎになる前にリンドールの従者等を救出。
そのまま国に戻り、ロンドに訴状を送り付けたのです」
怒りに震えるガンさんと俺。
するとソファの方からゼンがか細い声をあげた。
「私は何もしておりませんっ!ただ……茶を飲んだだけです!
急に眠くなり…目を覚ますとあの女が私の服を………っ!!」
ホタホタホタっと涙が落ちる。
「ああ!ゼン様!お可哀そうに!
だいじょうぶです!もうあんな痴女に手出しはさせません!私がついておりますからね!」
ゼンを抱きしめて涙を拭いてあげているセオ。
騎士。紛れもなく襲われた姫を慰める騎士!
こんな可愛い姫をだましてアハんしようとするなんて!なんてこと!なんてこと!!
ゼンの涙にガンダルフが思い出し怒りに肩を怒らせ、聞いていただけの俺たちまでもフンスフンスと怒りを募らせた。
「そんな手に引っかかる方も悪いっちゃ悪いけど……チャラ男相手ならともかく、こんな可愛い妖精さんによくそんな酷いことできまするね?!」
「サフィ、怒るところが違う気がするよ?……まあ私も同意見だが」
「ですよね?!こう言っては何ですが、ロンドの王女よりもウチの殿下の方がよほど可憐です!あんな下品な娘が手を出してよいお方ではありません!!」
「まさかそれで、ロンドの方が『姫を傷物にした責任取れ』とか言ってきたの?よくある手とはいえ、こんな妖精さんに向かってなんて図々しい!
で、リンドールはロンドを突っぱねて、喧嘩になっちゃってたのかあ……」
これは……仕方ない!
リンドールからしたら、第三王女って「深層の姫君をだまして呼び出したあげく監禁し、無理やり薬を盛って襲った悪漢」だもん。
状況からしたら「だまされたほうも悪くない?」なんだけど、ゼンを見ちゃったら「よくこんな姫を騙したね?!人の心はあるの?!」ってなっちゃう。
ゼンが真っ青になってぷるぷるしながら俯いてしまった。
そんなゼンの背中をセオが「大丈夫よ。落ち着いて?」とそっと撫でさすっている。
どう見ても男女逆なんだけどそれはこの際置いておこう。
「あのね、まだるっこしいのはやめてハッキリ言っちゃいますね?
俺は冒険者としてドラゴン討伐の依頼を受けて辺境に行きました。
それでもって、どういう事情なのか大体の話を聞いたのでございまする。
その答え合わせをしてもよろしいでしょうか?」
ふるふるしているゼンの代わりに、ガンダルさんが神妙な表情で頷いた。
「……どのように伝わっておるのでしょうか?我々も興味がございます」
「じゃあ、言いますね?
あくまでも王国に入る噂では、ですのでね?リンドールの王子が婚約者がいるのにロンドの王女と浮気して、ロンドが責任取れって言ってきて婚約者とその親の宰相さんがオコ。リンドールとロンドの戦いになっちゃったっていう話なのですが。
でもってその睨み合いの場所がちょうどドラゴンさんたちの住処近くだったから、ドラゴンさんがウチに来ちゃってウチのドラゴンとなわばり争いになったの。
こういったらアレなんだけど……噂から想像したらばすんごいチャラい王子さまかなって思ったのですけれどもね。なんかゼンと会ったら違うんじゃないかって思いましたのです。だってチャラ男じゃなくて妖精さんですし。
実際のところ、どうなんでしょうか?」
レオンが「……うん。ハッキリ言ったねサフィ」とおでこを押さえている。
だって、もうぶっちゃけちゃった方が話が早くない?
噂は噂。本当のことはわからないんだもの。
ガンダルさんは(名前まであの人みたいで呼ぶたびに笑いを堪えるのに必死!)笑うととっても優しい感じになるし、すんごい常識人。
てことはこの人が激オコして「ロンド許すまじ!!」ってなるだけのことをロンドはしたのだろう。
最初は「喧嘩両成敗」くらいに思ってたんだけど、このメンツをみたらば考えが変わった。
こりゃ、悪いのはロンドでは?まだ会ってもないけど。絶対にロンド。
だってこの美少女が自分からこんなカッコよな婚約者裏切るはずないし、子ウサギみたいな性格でロンドの姫をアハンするわけないもん。
あの「私たちの婚約式なのに、迷惑な輩の仲裁とは!」ってオコだったレオンまで、ゼンたちに会ったら「なんだか勝手が違うぞ」って絆され顔になってたしね。
なので、申し訳ないが、事情をきっちりと聞いておきたいのです。幸いロンドの方が後からくるみたいだし。
あまりにもぶっちゃけすぎたのか、リンドールのみなさま、しーんとなってしもうた。
でもオブラートにくるみようもないくらい、身も蓋もない噂なんだもの。
しばらくして、何かを決意したかのようにゼンが口を開いた。
「……私の口から申し上げましょう」
まだ顔色が真っ青。口元を押さえた手も震えている。大丈夫だろうか?
「えと。大丈夫?言える範囲で良きですからね?無理しないで大丈夫ですのでね?」
「は、はい。ありがとうございます」
ゼンは震えながらもキッと顔を上げ断言した。
「私は浮気などしておりません。私が愛するのはセオドラです。
あんな恐ろしい王女など……」
言いかけて絶句してまたしてもブルブル。
ど、どんだけひどい目にあったの?何があった?!
「殿下。セオドラと向こうでお休みください。私が代わりに事情をお話いたしますので」
ゼンを気遣わし気に見やり、ガンダルさんが名乗りを上げた。
「…どうやら大変な目に合われたご様子。ぶしつけなことをお聞きしてしまい、申し訳ない。
どうかゼン殿下はあちらのソファで少しお休みください」
重ねてレオンに促され、セオがそっとゼンを促しソファに寝かせている。
俺とレオンの心はひとつだ。
悪いのは絶対ロンド!
こんな繊細そうなかわゆい妖精さんをひどい目に合わせるなんて、ロンド許すまじ!
俺たちはテーブル席で小声で話を聞く。
ガンダルさんが教えてくれた実情は酷いものだった。
ロンドから「隣人として友好を深めたい。ぜひ我が国にいらしてください」としつこく誘われた。
リンドールはもとより閉鎖的な国。最初は断っていたが相手は国土の大半が接する隣国。あまりにしつこいので仕方なく外交に行ったゼン。
ところが、そのゼンのはかなげな容貌にロンドの第三王女が一目ぼれ。婚約者がいるからと言っても、べったりとくっついて離れない。
しまいには「たかが一貴族の娘でしょう。私は王女!お互いの国のためには私と婚約すべきでしょう?」と言い出し、従者含めて全員「歓待」という名の軟禁状態に。
外交として訪問していること、さらには決定的なことをされたわけではなく「歓待」とされていることから強くでることもできない。
「婚約者が待っております。帰らせてほしい」と頼むしかできずに困っていると、突然態度が豹変。殊勝な表情で「仕方ありません。では、最後にせめて」と無理やり茶会に参加させられた。
そこで茶を飲んだゼンは気を失い、気が付けばは王女と同じベッドで寝ていたのだそう。
「明らかに何か盛られちゃってるね?!」
分かりやすすぎるテンプレ展開に思わず叫んだ俺は悪くない。
国内ならまだしもいくらなんでも外交に来た他国の王子にそこまでしちゃう?!馬鹿なの?!
レオンがものすんごおくスンなお顔。
「事情は分かりました。して、ゼン殿下はどのようにして戻られたのですか?」
「あまりにも戻りが遅いため、何事か起こったのではないかと、私とセオドラ、近衛で迎えに行ったのです。
急な来賓ゆえ準備があるからと数日城下で待たされたのち、ようやく訪問の許可が出ました。
『こちらです』と案内されたほうに向かうと、殿下が下着姿でふらふらと部屋から出ていらしたのです。
その後ろから第三王女も……」
思わずガタンと立ち上がる。
「あからさまに計画されてるじゃん!!目撃者にされちゃってるじゃん!!」
「サフィ!ちょっと黙っていようか?」
しかしガンダルさんも拳握って立ち上がった。
「そうなのです!明らかに仕組まれておったのです!
私たちはすかさず殿下を抱え、宿泊していた宿に転移を致しました。
残る近衛を騒動員してすぐさま王城に向かわせ、騒ぎになる前にリンドールの従者等を救出。
そのまま国に戻り、ロンドに訴状を送り付けたのです」
怒りに震えるガンさんと俺。
するとソファの方からゼンがか細い声をあげた。
「私は何もしておりませんっ!ただ……茶を飲んだだけです!
急に眠くなり…目を覚ますとあの女が私の服を………っ!!」
ホタホタホタっと涙が落ちる。
「ああ!ゼン様!お可哀そうに!
だいじょうぶです!もうあんな痴女に手出しはさせません!私がついておりますからね!」
ゼンを抱きしめて涙を拭いてあげているセオ。
騎士。紛れもなく襲われた姫を慰める騎士!
こんな可愛い姫をだましてアハんしようとするなんて!なんてこと!なんてこと!!
ゼンの涙にガンダルフが思い出し怒りに肩を怒らせ、聞いていただけの俺たちまでもフンスフンスと怒りを募らせた。
「そんな手に引っかかる方も悪いっちゃ悪いけど……チャラ男相手ならともかく、こんな可愛い妖精さんによくそんな酷いことできまするね?!」
「サフィ、怒るところが違う気がするよ?……まあ私も同意見だが」
「ですよね?!こう言っては何ですが、ロンドの王女よりもウチの殿下の方がよほど可憐です!あんな下品な娘が手を出してよいお方ではありません!!」
「まさかそれで、ロンドの方が『姫を傷物にした責任取れ』とか言ってきたの?よくある手とはいえ、こんな妖精さんに向かってなんて図々しい!
で、リンドールはロンドを突っぱねて、喧嘩になっちゃってたのかあ……」
これは……仕方ない!
リンドールからしたら、第三王女って「深層の姫君をだまして呼び出したあげく監禁し、無理やり薬を盛って襲った悪漢」だもん。
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