もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

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俺とレオンの婚約式

対決!ロンド3

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待っている間、俺はビビとお話してみることにした。
レオンにそう言ってみたら渋いお顔をされたけど、ビビだって敵地王国でことはおこしたくないはず。王国に敵わないのはもうわかってるもんね。

なんていうか、ロンドって王国と戦争したこともそうだけど「お金が無くなってきた。お隣は幸せそうだ。よし、奪おう!」みたいな感じじゃない?
今回のは「王国に支払っている賠償金で苦しい。よし、リンドールからもらおう!」ってことでしょ。
なんていうか、根本的なところがまったく変わっていない。このお国柄をなんとかせねば、おんなじことの繰り返しなんじゃないのかな?

実をいうと、帝国だって「お国柄」という点では過去は似たようなものだったでしょ
「他国を取り込んで大きくなる」「戦って勝ち取る」っていう脳筋王国。
でも帝国は「周辺に貧しい国があるぞ!よし、ウチの領土にしてしまおう!」だったから、その国の人も攻められた後の方が豊かになってた感がある。
聖獣は基本的に善なるいきもの。それが見放さず帝国を守護してたのだって、結局帝国のしてきたことは「悪」じゃなくて「善」だと判断してたってことでしょ。やってたことは大雑把だけど、結局めでたしめでたしだった。
そしてそれによって新たな文化を生み出し常に発展してきたんだよね。
攻めるのをやめて停滞しちゃって、宰相さんが暴走しちゃったからアレだけど。それでも「他から奪う」ことはなかった。今は「観光」と「技術の輸出」という新たな道を切り開いた。

ロンドは「奪う」だけだからダメなんだよ。何も生み出さない。
一応隣国だから、ロンドがしでかせばどうしたって王国に迷惑な余波がくる。
ここでちょっとテコ入れしたほうが良いのでは?

そういうことをこしょこしょと内緒話で端的に伝えたらば、レオンはちょっと驚いた顔をした。

「サフィは昔からこどもとは思えないことを言うね?
でも、この国のことをいつも考えてくれる。ありがとうサフィ。でも、無理はしないで欲しい。まだサフィはこどもなんだからね?忘れないで?」

まあ、前世と足したら27歳ですしね?細切れにある卓也の分の記憶が大いに役にたってくれている。Wikipediaならぬ卓ペディア!「こうしたほうが良くない?」「あれ?これって」みたいに閃くのだ。

でもそんなことは言えないので俺は黙ってにっこりしておいた。




レオンと一緒ならいいというので、おっちゃんたちの「構って」光線に気付かぬふりでビビに話しかける。

「あのね、お着換えが終わるまで、ちょっとお話しませんか?お祝いの席なので、ぶれーこーでお願いしたいのですが……」

よいですか、と無邪気なふりでこてりんこ。

「色々聞きたいことがあるのです。ロンドの人とは初めてお会いしましたのでね?
どんな国なのかなあって」

俺を取り込んでおくいい機会だと思ったのか、宰相さんが満面の笑みを浮かべた。

「おお!我が国にご興味がおありですか!ビビアン様、よろしいではございませぬか。このようにお可愛らしいオネダリをされては、聞かぬわけには参りませぬぞ?」

「そうねえ……。いいですわ。主役にそのように言われては断れませんものね」

ちょっともったいぶって見せたあと、ビビも頷いた。



近づいてみて分かったのだが、意外にもビビさんのお顔立ちは悪くない。
なんというか、こういってはなんだが化粧が!化粧が致命的なの!いっそやらないほうが100万倍良きですよ?!
どうしてそんなことになった?!
趣味の悪いドレスといい、ロンドではこういうのが流行りなのだろうか。

「あのですね、まだまだ他国に関するお勉強はこれからなので、よく知らなくて申し訳ないのですが。王国は魔法王国と言われておりまして。貴族の大半が魔法を使えるのです。もちろんレオンも俺も使えます。
ロンドはどうなのですか?」

これに宰相さんは渋いお顔。

「過去の戦いでご存じだとは思われますが……ロンドの貴族も魔法は使えるのですが、生活魔法のみなのです」

うちの魔法攻撃に大敗したんだものね。ふむふむ。

「その代わり民もみな生活魔法が使えます。ですから、少ない魔力で使える便利な魔法具の製造が盛んでしてね。
それには自信を持っておるのです」

「魔道具!!凄い!!」

なにそれなにそれ!!王国だと、平民は魔法は使えない。だから魔力で使うという「魔道具」はほとんど普及していないのだ。
基本的に転移ゲートとか結界みたいに道具なしの魔法を使うか、もしくはナイフに治癒の効果を付与する、みたいにもとからある道具に魔力を込める感じになる。
なので「魔道具」というのが新鮮!すんごくワクワクする響きだよね。
ロンド、意外といい隠し玉もってた!
ふんすふんす!

「あのですね、魔道具っていうのは、からくりとか電気とかじゃなくて魔力で動くということなのですか?
どういうものがあるのですか?普通のおうちで使っているのですか?」

俺があんまりにも食いついたからか、宰相さんがちょっと自慢気なお顔になった。

「サフィラス様は魔道具は見たことがございませぬか?
そうですなあ……こちらも魔道具です」

懐から小さな時計のようなものと取り出して見せてくれた。

「?なんですか?」

「こちらは、魔力を流すと冷たくなるというものです。実はお恥ずかしい話、私は少々暑がりでしてな。のぼせてしまうときがありますゆえ」

なんと!簡易冷温器みたいなものなのか!

「ほへーー。す、すごいですねえ!ということは、この逆であったかくなるものもあったりとか……」
「おお!さすがですな!もちろんございます!冬の時期には重宝いたしておりますよ」
「すごい!それってめっちゃくちゃいいではありませぬか!ほかには??」
「後は魔力を使う家庭用コンロや、温風器などもございますなあ」
「おおーーーーっ!!」

むっちゃいい!それがあれば電力の節約になるし、資源の無駄遣いが無くなる!
そんないいものを作っててなんで貧乏になったの?!
って、そうか、戦争のせいだね!
きっと王国の魔法も自分の国の人が使うような魔法だと思ってたんだろうなあ。
それでもって、コテンパンにされちゃったってことか!
魔法に対する認識の違いだったんだね、きっと。

魔道具のお話に関心しきりの俺にビビもご機嫌モードに。

「うふふふふ!凄いでしょう?ロンドでは多くの魔道具職人がいて、色々な魔道具を日々研究しておりますの!
魔道具開発には資金がかかるものですから魔道具も高級品なのですよ。王級にはたくさんございますけれどもね。
よろしければご覧に入れますわ」

「ほんとですか?ぜひ!ぜひ見てみたいです!!」

言質とったぞー!とばかりにはしゃぐ俺に、レオンは危険な気配を感じたようだ。
慌てて俺を止めにかかる。

「サ、サフィ?無理を言ってはいけないよ?」

でももう遅いの。言っちゃったもん!
俺だったらハニトラしようがないし、ご心配ならばレオンもご一緒に。問題なっしんぐ!

「あら、問題ございませんわ。後日改めてご招待させて頂きますね」

「ありがとうございます!絶対ですよ?あとから『やっぱりやめた』とか無しですからねっ!お約束っ!」

えへへー!これで堂々とロンドに乗り込めますよ!
リンドールにザマアされた後でも、もう断れないんだからね!





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