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第五章 ゲイルは聖女
保護者同伴だった件
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王城へは俺とフィオで向かうつもりだった。が、がっつりと兄貴がついてきた。
「おいおい。いい歳して保護者同伴なんて勘弁してくれよ」
渋る俺に、兄貴はこうのたまった。
「聖女だの聖獣だのの件は、サフィール家に関することだろう。当主の私が同席しなくてどうする?」
「俺の監視じゃなくてか?」
「一石二鳥なのは確かだ」
「ほらみろ!いいかげん弟離れしろよな、兄貴」
「お前こそ、もう少し兄を敬え」
ポンポンと飛び交う悪態にフィオが目を丸くした。
「……兄弟とはこのように仲がよいものなのですね」
「……お前、俺たちの会話の中身、ちゃんと聞いてたか?」
「もちろんです。ゲイルは兄上にとても愛されているのですね」
「はあ?こっぱずかしいこと言うなよ」
「兄上もゲイルにとても愛されていますし。……とても羨ましいです」
どうやら俺たちを茶化してるわけじゃなく本気で言っているようだ。
「あのな。フィオだって愛してるぞ?だからこうして行くんだろ?」
「ふふふ、そうですね。私も愛していますよ?」
兄貴がため息をつく。
「……別の馬車にすればよかった。仲が良いのは結構だが、私の前では控えるように。もちろん陛下の前でもだ」
「いいじゃねえかよこれくらい。ちゅーしてるわけじゃねえんだから」
「こら!控えろと言っただろう!開き直るんじゃない!」
「俺はこれくらいでちょうどいいんだって。こいつ、ちょっと目を離すとすぐ自己肯定感無くすからさ」
「……全くお前はタチが悪い。誰に似たんだか」
わざとらしくこぼす兄貴に、教えてやる。
「兄貴に似たんだよ」
すると兄貴は矛先を変えやがった。
「フィオはこうなるんじゃないぞ?一人くらいは可愛い弟が欲しい」
「俺だってかわいいじゃねえか!」
「昔はな。すっかりやさぐれてしまって……」
「私が……弟……ですか?」
「ゲイルと添い遂げるのだろう?ならば弟だろう。妻もそのつもりでいるぞ。うちのものはみなそのつもりだが」
「……迷惑ではありませんか?」
「君は私が思っていたグランディールとは違ったからな。君ならば歓迎だ。嫌でなければ私のことは兄と思ってほしい。どうだ?」
「嫌ではありません!嬉しいです!……とても、嬉しいです」
「そうか。ただし、それ以上ゲイルに似るなよ?こいつはタチの悪い男だからな。素直なフィオのままでいてくれ」
「俺だって素直じゃねえか。なあ。フィオ?」
「そうですね。ゲイルはとても素直で伸びやかな方だと思います」
「ほおらな?兄貴、実の弟をなんだとおもってやがるんだ」
「かわいい弟だ」
思わぬまじめな答えに言葉を失う。
すると兄貴は真面目な顔でもう一度言った。
「かわいい弟だと思っているぞ。いくつになってもな。だから……陛下の前では無礼な物言いを改めろ。たとえ親しくとも、だ。かわいい弟たちの未来がかかっているのだ。妥協するつもりはないぞ。慎重に慎重を期すように」
こういうところだ。兄貴には敵わないと思うのは。いくつになっても、俺がどれだけ力をつけても兄貴には敵わない。
「わかってるよ。…………いつもありがとう。兄貴」
フィオも横で黙って頭を下げている。
うん。俺の兄貴、すげえだろ?これからはお前の兄貴でもあるんだぜ?
向かいの席から兄貴が手を伸ばしてきた。俺とフィオの頭を犬にでもするかのように無造作に撫でる。
あーあ。「ゲイル」も「冷血宰相」も兄貴の前じゃ形無しだ!
王城についた俺たちは控えの間に。ここで先ぶれの返事を待つのだ。
それほど待たぬうちに、遣いが俺たちを呼びに来た。
「宰相閣下。サフィール侯爵さま。グリフィス伯爵さま。陛下がお待ちです。どうぞこちらに」
さあ。始めようか!
「フィオネル、サフィール侯、ゲイル、よう来たな」
ようブリュクハルト!スマンが俺はこれから爆弾を落とすぜ?覚悟してくれ。
「陛下、先ぶれを出しは致しましたが、お約束がないにも関わらず御前に立つご無礼をお許しください」
「よい。それだけ重要なことなのだろう。許そう」
「感謝いたします。失礼を重ね申し訳ないのですが……少し込み入った話になりますので……」
「では、人払いをしよう」
ブリュクハルトはそう言ってこっそり俺にウインクし、人払いをしてくれた。
「ありがとう!ああ、これで楽に話せる」
「ははは!今日は一体どうしたのだ?わざわざ先ぶれを寄越すから驚いたぞ。何があった?して、なぜ宰相と一緒におるのだ?」
「ああ。そのことで話があるんだ」
俺はフィオを呼んだ。
「フィオ、いいか?」
俺の「フィオ」呼びとそれに素直に頷くフィオを見てブリュクハルトが目を丸くする。
「おぬしらそのように仲が良かったか?ゲイルはグランディールを避けておったのではなかったか?」
「まあな。いろいろ事情があってな。その事情を話すために来たんだ」
ここで俺は、まず聖獣について触れた。
「サフィール家に聖獣の守護があるというのは知っているな?」
「ああ。そう言われておる。有名な話ではないか」
兄貴がその詳細を説明する。
「サフィール家の先祖が聖獣を助けたことがあるからだと伝えられておりました。しかし、それだけではなかったのです。ゲイル、頼めるか?」
「ああ。……陛下、あとは本人から直接話を聞いてほしい。驚くなよ?」
「ルー!来てもらえるか?うちの国の王を紹介したいんだ」
「おいおい。いい歳して保護者同伴なんて勘弁してくれよ」
渋る俺に、兄貴はこうのたまった。
「聖女だの聖獣だのの件は、サフィール家に関することだろう。当主の私が同席しなくてどうする?」
「俺の監視じゃなくてか?」
「一石二鳥なのは確かだ」
「ほらみろ!いいかげん弟離れしろよな、兄貴」
「お前こそ、もう少し兄を敬え」
ポンポンと飛び交う悪態にフィオが目を丸くした。
「……兄弟とはこのように仲がよいものなのですね」
「……お前、俺たちの会話の中身、ちゃんと聞いてたか?」
「もちろんです。ゲイルは兄上にとても愛されているのですね」
「はあ?こっぱずかしいこと言うなよ」
「兄上もゲイルにとても愛されていますし。……とても羨ましいです」
どうやら俺たちを茶化してるわけじゃなく本気で言っているようだ。
「あのな。フィオだって愛してるぞ?だからこうして行くんだろ?」
「ふふふ、そうですね。私も愛していますよ?」
兄貴がため息をつく。
「……別の馬車にすればよかった。仲が良いのは結構だが、私の前では控えるように。もちろん陛下の前でもだ」
「いいじゃねえかよこれくらい。ちゅーしてるわけじゃねえんだから」
「こら!控えろと言っただろう!開き直るんじゃない!」
「俺はこれくらいでちょうどいいんだって。こいつ、ちょっと目を離すとすぐ自己肯定感無くすからさ」
「……全くお前はタチが悪い。誰に似たんだか」
わざとらしくこぼす兄貴に、教えてやる。
「兄貴に似たんだよ」
すると兄貴は矛先を変えやがった。
「フィオはこうなるんじゃないぞ?一人くらいは可愛い弟が欲しい」
「俺だってかわいいじゃねえか!」
「昔はな。すっかりやさぐれてしまって……」
「私が……弟……ですか?」
「ゲイルと添い遂げるのだろう?ならば弟だろう。妻もそのつもりでいるぞ。うちのものはみなそのつもりだが」
「……迷惑ではありませんか?」
「君は私が思っていたグランディールとは違ったからな。君ならば歓迎だ。嫌でなければ私のことは兄と思ってほしい。どうだ?」
「嫌ではありません!嬉しいです!……とても、嬉しいです」
「そうか。ただし、それ以上ゲイルに似るなよ?こいつはタチの悪い男だからな。素直なフィオのままでいてくれ」
「俺だって素直じゃねえか。なあ。フィオ?」
「そうですね。ゲイルはとても素直で伸びやかな方だと思います」
「ほおらな?兄貴、実の弟をなんだとおもってやがるんだ」
「かわいい弟だ」
思わぬまじめな答えに言葉を失う。
すると兄貴は真面目な顔でもう一度言った。
「かわいい弟だと思っているぞ。いくつになってもな。だから……陛下の前では無礼な物言いを改めろ。たとえ親しくとも、だ。かわいい弟たちの未来がかかっているのだ。妥協するつもりはないぞ。慎重に慎重を期すように」
こういうところだ。兄貴には敵わないと思うのは。いくつになっても、俺がどれだけ力をつけても兄貴には敵わない。
「わかってるよ。…………いつもありがとう。兄貴」
フィオも横で黙って頭を下げている。
うん。俺の兄貴、すげえだろ?これからはお前の兄貴でもあるんだぜ?
向かいの席から兄貴が手を伸ばしてきた。俺とフィオの頭を犬にでもするかのように無造作に撫でる。
あーあ。「ゲイル」も「冷血宰相」も兄貴の前じゃ形無しだ!
王城についた俺たちは控えの間に。ここで先ぶれの返事を待つのだ。
それほど待たぬうちに、遣いが俺たちを呼びに来た。
「宰相閣下。サフィール侯爵さま。グリフィス伯爵さま。陛下がお待ちです。どうぞこちらに」
さあ。始めようか!
「フィオネル、サフィール侯、ゲイル、よう来たな」
ようブリュクハルト!スマンが俺はこれから爆弾を落とすぜ?覚悟してくれ。
「陛下、先ぶれを出しは致しましたが、お約束がないにも関わらず御前に立つご無礼をお許しください」
「よい。それだけ重要なことなのだろう。許そう」
「感謝いたします。失礼を重ね申し訳ないのですが……少し込み入った話になりますので……」
「では、人払いをしよう」
ブリュクハルトはそう言ってこっそり俺にウインクし、人払いをしてくれた。
「ありがとう!ああ、これで楽に話せる」
「ははは!今日は一体どうしたのだ?わざわざ先ぶれを寄越すから驚いたぞ。何があった?して、なぜ宰相と一緒におるのだ?」
「ああ。そのことで話があるんだ」
俺はフィオを呼んだ。
「フィオ、いいか?」
俺の「フィオ」呼びとそれに素直に頷くフィオを見てブリュクハルトが目を丸くする。
「おぬしらそのように仲が良かったか?ゲイルはグランディールを避けておったのではなかったか?」
「まあな。いろいろ事情があってな。その事情を話すために来たんだ」
ここで俺は、まず聖獣について触れた。
「サフィール家に聖獣の守護があるというのは知っているな?」
「ああ。そう言われておる。有名な話ではないか」
兄貴がその詳細を説明する。
「サフィール家の先祖が聖獣を助けたことがあるからだと伝えられておりました。しかし、それだけではなかったのです。ゲイル、頼めるか?」
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