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第二話
夜襲の準備<Ⅱ>
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「え……今のは一体なんだったんだ?」
「ごめん、ぼ、僕には全く分からない……昨日と全く同じのはずなんだけど……」
全員が驚いている中で、使った本人が最も驚愕していた。
「呪文が違うとかそういうのじゃないのか?」
「妾達は紋様のおかげで杖を必要とせず、低位の魔術は無詠唱で発動可能じゃから手順のミスなどはあまり考えられんの」
族長もうーんと腕を組んで考えているが原因は分からない様子だった。
「デルはあまり魔法を使わないから、複数形のイメージがイマイチなのかもしれぬな」
「そうなのでしょうか? うっ……」
デルが頭に手を置いて辛そうにし始める。
「デル、辛いところ悪いんだがステータスを見せてくれ」
「え?」
「俺に見せるのが嫌なら、族長とカトリナでもいいから」
セレーネはステータス上では何も問題はないが、もしかしたらデルには何かあるかもしれない。
もしそうだとしたら、考え直さないといけない。
「ほら……」
少しだけ躊躇ったが、ステータス画面を表示して見せてくれた。
MPの項目をみると俺が与えた500分は丸々なくなっていたが自身のMPは残っていたのでMP欠乏ではないはず……じゃあどうしてデルは辛そうにしているんだ?
もしかしたらステータスに表示されない何かがあるかもしれないので、族長やセレーネに魔術や奇跡調べて貰うが、見たとおりの貧血みたいな症状としか分からなかった。
「うーむ……おそらくではあるが瞬時に大きすぎるMPを身体に通したことでその力に身体が付いていけない状態なのやもしれぬな」
「ですが、セレーネも族長もなんともないみたいですが」
「セレーネ殿も妾も、ヴェンデルほど一度に大きなMPは使っておらぬし」
ああ、そうか。デルだけが500を瞬時に使い切っているのか。
「何か副作用的なものとかは大丈夫でしょうか」
「そうじゃの……おそらく問題はないじゃろう。何度も使っていけばいずれは慣れてくるじゃろ」
「むしろ、キスの方が中毒性が高そうだもんね」
ニコニコしているカトリナが恐ろしいことを言い出した。
「さっきからなんであんたは煽ってくるのよ! うう……」
「それじゃあ、続きをしよう」
「まじで?」
「ああ、MPが戻れば状態が回復するかもしれないし」
「うう……、もう好きにしなさいよ」
「きゃーっ、好きにしていいんですって! 勇者さんもういっちゃいましょうよ」
「ばっ、バカなことを言うんじゃない!」
その後、実験を繰り返した結果、物理系の攻撃魔法は何故か大量に発生させるか、巨大な一つのどちらかがランダムで発生することが分かった。
なんとか選択が可能だといいのだが、残念だが今すぐにはどうにもならない。
物理系攻撃ではない魔法は可能な限りMPを全部つぎ込み効果を増大させることが分かった。
ドームの明かりと同じサンライトを発生させたらまるで小さな太陽みたいになって驚かされた。
重ねがけや倍率がけの意味がない魔法だけは普通に発動することも分かった。
「むちゅっ……ちゅっ、ちゅう……」
肩を軽く叩いて合図をするがデルは止めようとしない。おいおい……。
仕方がないのでしばらく待ってやっと口を離した。
「ふはぁ……はぁはぁ……、もう……いいのね?」
「ああ、ありがとう。おかげで作戦通りに行きそうだ」
「そう……それなら辛い思いをしたかいがあったわ」
さすがに十数回に及ぶ実験でぐったりした様子で手で唾液を拭っていた。
「とりあえず……アンタとキスをすれば頭の痛みがなくなるってのが悔しいわね」
仕組みは謎であるが魔法を使った後の貧血のような症状は再度キスをしてMPを与えれば直ぐに治ることが分かった。
「ここまでさせておいていうのもなんだけど大丈夫か?」
「ったく……これで大丈夫に見えるのなら、なかなかのサディストよね」
デル以外にもカトリナや族長にも実験を試みてもらったが、どんなにMPが余った状態で何度キスをしても受け取れる上限500を超えることはなかった。
そして受け取ったのを一度に全て使いきるのはデル以外は無理であり、ベテランの族長でも最大60くらい、カトリナに至っては30が限界だった。
実験の結果デルがどれだけ異能なのかがよく分かる結果となった。
「ふふ~ん♪」
カトリナは先ほどからなんだか上機嫌だった。やはりMPが多いのは嬉しいのだろう。
しかしそれで力に溺れるようなことになると危険だから、そこは気をつけないとな。
「ったく、ちょっとキスしたくらいで浮かれやがって、どんだけチョロいのよ」
浮かれているカトリナに毒づくデルだが、疲れていて声に力がない。
「ですがデルも最後の方はキスがお上手になってましたよね」
「だって何回したと思っているのよ……あれだけすれば慣れもするわ。なんか唇が腫れている感じがするし」
二人はすっかり打ち解けたのか、セレーネはデルを呼び捨てになっていて、デルは敬語を止めていた。
「い、いや、むしろ最後の方は長くなっていたようですけど」
「そ、そんなことあるわけない……じゃない?」
そこは何故疑問系なんだろうか。
「色々と分かったから少し予定を変更して、これから部隊長さんに会いに行きたいんだが」
「は? 何言ってんの?」
「ごめん、ぼ、僕には全く分からない……昨日と全く同じのはずなんだけど……」
全員が驚いている中で、使った本人が最も驚愕していた。
「呪文が違うとかそういうのじゃないのか?」
「妾達は紋様のおかげで杖を必要とせず、低位の魔術は無詠唱で発動可能じゃから手順のミスなどはあまり考えられんの」
族長もうーんと腕を組んで考えているが原因は分からない様子だった。
「デルはあまり魔法を使わないから、複数形のイメージがイマイチなのかもしれぬな」
「そうなのでしょうか? うっ……」
デルが頭に手を置いて辛そうにし始める。
「デル、辛いところ悪いんだがステータスを見せてくれ」
「え?」
「俺に見せるのが嫌なら、族長とカトリナでもいいから」
セレーネはステータス上では何も問題はないが、もしかしたらデルには何かあるかもしれない。
もしそうだとしたら、考え直さないといけない。
「ほら……」
少しだけ躊躇ったが、ステータス画面を表示して見せてくれた。
MPの項目をみると俺が与えた500分は丸々なくなっていたが自身のMPは残っていたのでMP欠乏ではないはず……じゃあどうしてデルは辛そうにしているんだ?
もしかしたらステータスに表示されない何かがあるかもしれないので、族長やセレーネに魔術や奇跡調べて貰うが、見たとおりの貧血みたいな症状としか分からなかった。
「うーむ……おそらくではあるが瞬時に大きすぎるMPを身体に通したことでその力に身体が付いていけない状態なのやもしれぬな」
「ですが、セレーネも族長もなんともないみたいですが」
「セレーネ殿も妾も、ヴェンデルほど一度に大きなMPは使っておらぬし」
ああ、そうか。デルだけが500を瞬時に使い切っているのか。
「何か副作用的なものとかは大丈夫でしょうか」
「そうじゃの……おそらく問題はないじゃろう。何度も使っていけばいずれは慣れてくるじゃろ」
「むしろ、キスの方が中毒性が高そうだもんね」
ニコニコしているカトリナが恐ろしいことを言い出した。
「さっきからなんであんたは煽ってくるのよ! うう……」
「それじゃあ、続きをしよう」
「まじで?」
「ああ、MPが戻れば状態が回復するかもしれないし」
「うう……、もう好きにしなさいよ」
「きゃーっ、好きにしていいんですって! 勇者さんもういっちゃいましょうよ」
「ばっ、バカなことを言うんじゃない!」
その後、実験を繰り返した結果、物理系の攻撃魔法は何故か大量に発生させるか、巨大な一つのどちらかがランダムで発生することが分かった。
なんとか選択が可能だといいのだが、残念だが今すぐにはどうにもならない。
物理系攻撃ではない魔法は可能な限りMPを全部つぎ込み効果を増大させることが分かった。
ドームの明かりと同じサンライトを発生させたらまるで小さな太陽みたいになって驚かされた。
重ねがけや倍率がけの意味がない魔法だけは普通に発動することも分かった。
「むちゅっ……ちゅっ、ちゅう……」
肩を軽く叩いて合図をするがデルは止めようとしない。おいおい……。
仕方がないのでしばらく待ってやっと口を離した。
「ふはぁ……はぁはぁ……、もう……いいのね?」
「ああ、ありがとう。おかげで作戦通りに行きそうだ」
「そう……それなら辛い思いをしたかいがあったわ」
さすがに十数回に及ぶ実験でぐったりした様子で手で唾液を拭っていた。
「とりあえず……アンタとキスをすれば頭の痛みがなくなるってのが悔しいわね」
仕組みは謎であるが魔法を使った後の貧血のような症状は再度キスをしてMPを与えれば直ぐに治ることが分かった。
「ここまでさせておいていうのもなんだけど大丈夫か?」
「ったく……これで大丈夫に見えるのなら、なかなかのサディストよね」
デル以外にもカトリナや族長にも実験を試みてもらったが、どんなにMPが余った状態で何度キスをしても受け取れる上限500を超えることはなかった。
そして受け取ったのを一度に全て使いきるのはデル以外は無理であり、ベテランの族長でも最大60くらい、カトリナに至っては30が限界だった。
実験の結果デルがどれだけ異能なのかがよく分かる結果となった。
「ふふ~ん♪」
カトリナは先ほどからなんだか上機嫌だった。やはりMPが多いのは嬉しいのだろう。
しかしそれで力に溺れるようなことになると危険だから、そこは気をつけないとな。
「ったく、ちょっとキスしたくらいで浮かれやがって、どんだけチョロいのよ」
浮かれているカトリナに毒づくデルだが、疲れていて声に力がない。
「ですがデルも最後の方はキスがお上手になってましたよね」
「だって何回したと思っているのよ……あれだけすれば慣れもするわ。なんか唇が腫れている感じがするし」
二人はすっかり打ち解けたのか、セレーネはデルを呼び捨てになっていて、デルは敬語を止めていた。
「い、いや、むしろ最後の方は長くなっていたようですけど」
「そ、そんなことあるわけない……じゃない?」
そこは何故疑問系なんだろうか。
「色々と分かったから少し予定を変更して、これから部隊長さんに会いに行きたいんだが」
「は? 何言ってんの?」
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