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ハイヒール
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ある日、友人のともちゃんと山登りに行くことになりました。
当日、私は驚きました。あろうことか、ともちゃんはハイヒールを履いてきたからです。私はとっさに今日はパーティーに行くんじゃないよ、これからするのは山登りだよ?とたずねます。
すると、ともちゃんは
「もう、そんなのわかってるよ!」
「わかっているならいいけど、じゃあなんでハイヒールなの?」
「なんでって、私ハイヒールが一番すきだから」
「いや、でも山登りだよ?足、とんでもないことになるよ」
「いいの、私ハイヒールは履き慣れてるし、余裕で歩けるから」
「...そう。でも、知らないよ?」
なにを言ってもともちゃんは聞く耳を持ちませんでした。らちがあかないので、私たちはそのまま歩いて、そして、とうとう山のふもとに到着し、山を登りはじめます。
すると、しばらくして、ともちゃんがいいました。
「足が痛い」
言わんこっちゃない、と思いつついいます。
「だからいったのに...まだ半分にも達してないよ、これからなのに」
「そんな!ひどい!」
「ひどいって言われても...知らないよ」
「そんな冷たい人だと思わなかった」
「...は?」
私は咄嗟にそう言っていました。
「そう。じゃあ、ここからは別行動にしましょ。私、先に行ってるから、もし帰りたかったら帰ってもいいよ」
そういって、私たちはそこで別れることに。
後日、ともちゃんは他の友達にこの日のことを話して回ったようでした。
というのも、私は他の友達からどこかよそよそしい、冷たい態度をとられてしまったからです。こういう時は、私の知らないところでなにかが起きていると考えるべきでしょう。それで、友達のうちのひとりに聞いてみると、ともちゃんが話して回っている内容を教えてくれました。
ともちゃんいわく、私が一緒に山登りをしようと言ったのに、途中で靴づれをして、痛くてうずくまっているともちゃんを責めたてたあとに、そのままともちゃんを置いて行ってしまった、ということでした。
え、ハイヒールのことは?そう思いましたが、どうやらともちゃんは意図的に隠しているようで、そのワードは出てきませんでした。だけど、ここで、私は他の友達に対して本当のことを言おうか躊躇してしまったのです。というのも、私は普段から他の友達にクールな人だと揶揄されることが時々あるのですが、それが妙に私の心に刺さるのです。もちろん自分では、クールな、つまり人から冷たいと思われるほど愛嬌がないわけでも、偉そうにしているわけでもありません。そして、そんな私に対してそういったジャッジをしないのがともちゃんでした。
私は、とにかく人から勝手なことを言われたり、ジャッジをされるのがとにかく嫌いなことなのです。
あの日、ともちゃんがなぜハイヒールを履いてきたのか、本当の理由は私にはわかりません。だけど、本当の私のことや、本当のあの日の出来事だって、他の友達にも誰にもわからないはずなのに。あの日、ともちゃんは「そんなに冷たい人だとは思わなかった」と言いました。ということはやはりこれまでは、そんなふうに思っていなかったということでしょうか。それとも、やっぱり冷たい人だったということなのか。あの日の私は冷たかったのか?途中で置いていったことが?何度もハイヒールを注意したことが?痛みに寄り添わなかったことが?考えようと思えば、理由になりそうなものはいくらでも思いつくもので、そしてやはり、なに一つ本当の答えはわかりません。私の答えは、そもそも山登りに行くのに、『ハイヒール』を履いてくることが一番の間違いではないか、ということに集約されるのですが。おそらく私のいうことは正しいのです。ですが、正しいことならどんな態度をとってもいいのだろうか、それが友達に対する態度なのか。私は、たしかに寄り添わなかった。それを冷たいと彼女が感じたのであれば、彼女もまた正しいのかもしれません。
私はやはり、他の友達にハイヒールのことは言いませんでした。
当日、私は驚きました。あろうことか、ともちゃんはハイヒールを履いてきたからです。私はとっさに今日はパーティーに行くんじゃないよ、これからするのは山登りだよ?とたずねます。
すると、ともちゃんは
「もう、そんなのわかってるよ!」
「わかっているならいいけど、じゃあなんでハイヒールなの?」
「なんでって、私ハイヒールが一番すきだから」
「いや、でも山登りだよ?足、とんでもないことになるよ」
「いいの、私ハイヒールは履き慣れてるし、余裕で歩けるから」
「...そう。でも、知らないよ?」
なにを言ってもともちゃんは聞く耳を持ちませんでした。らちがあかないので、私たちはそのまま歩いて、そして、とうとう山のふもとに到着し、山を登りはじめます。
すると、しばらくして、ともちゃんがいいました。
「足が痛い」
言わんこっちゃない、と思いつついいます。
「だからいったのに...まだ半分にも達してないよ、これからなのに」
「そんな!ひどい!」
「ひどいって言われても...知らないよ」
「そんな冷たい人だと思わなかった」
「...は?」
私は咄嗟にそう言っていました。
「そう。じゃあ、ここからは別行動にしましょ。私、先に行ってるから、もし帰りたかったら帰ってもいいよ」
そういって、私たちはそこで別れることに。
後日、ともちゃんは他の友達にこの日のことを話して回ったようでした。
というのも、私は他の友達からどこかよそよそしい、冷たい態度をとられてしまったからです。こういう時は、私の知らないところでなにかが起きていると考えるべきでしょう。それで、友達のうちのひとりに聞いてみると、ともちゃんが話して回っている内容を教えてくれました。
ともちゃんいわく、私が一緒に山登りをしようと言ったのに、途中で靴づれをして、痛くてうずくまっているともちゃんを責めたてたあとに、そのままともちゃんを置いて行ってしまった、ということでした。
え、ハイヒールのことは?そう思いましたが、どうやらともちゃんは意図的に隠しているようで、そのワードは出てきませんでした。だけど、ここで、私は他の友達に対して本当のことを言おうか躊躇してしまったのです。というのも、私は普段から他の友達にクールな人だと揶揄されることが時々あるのですが、それが妙に私の心に刺さるのです。もちろん自分では、クールな、つまり人から冷たいと思われるほど愛嬌がないわけでも、偉そうにしているわけでもありません。そして、そんな私に対してそういったジャッジをしないのがともちゃんでした。
私は、とにかく人から勝手なことを言われたり、ジャッジをされるのがとにかく嫌いなことなのです。
あの日、ともちゃんがなぜハイヒールを履いてきたのか、本当の理由は私にはわかりません。だけど、本当の私のことや、本当のあの日の出来事だって、他の友達にも誰にもわからないはずなのに。あの日、ともちゃんは「そんなに冷たい人だとは思わなかった」と言いました。ということはやはりこれまでは、そんなふうに思っていなかったということでしょうか。それとも、やっぱり冷たい人だったということなのか。あの日の私は冷たかったのか?途中で置いていったことが?何度もハイヒールを注意したことが?痛みに寄り添わなかったことが?考えようと思えば、理由になりそうなものはいくらでも思いつくもので、そしてやはり、なに一つ本当の答えはわかりません。私の答えは、そもそも山登りに行くのに、『ハイヒール』を履いてくることが一番の間違いではないか、ということに集約されるのですが。おそらく私のいうことは正しいのです。ですが、正しいことならどんな態度をとってもいいのだろうか、それが友達に対する態度なのか。私は、たしかに寄り添わなかった。それを冷たいと彼女が感じたのであれば、彼女もまた正しいのかもしれません。
私はやはり、他の友達にハイヒールのことは言いませんでした。
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