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盗まれた魔道具編
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しおりを挟むマーク達の後を追ってレオンが古城に到着した時、まず目に入ったのは古城の前で戦う魔法騎士団の団員達の姿である。
団員二人に対して敵の盗賊は四人。
数に圧倒され、翻弄されてしまっている。
お世辞にも楽勝と言えるような状況ではなく、むしろ善戦していると表現した方が良い状態だった。
レオンは上空からすかさず助太刀に入り、魔力を奪う敵の特殊な魔道具に注意しながらあっという間に敵を無力化したのだ。
「レオンさん! すいません、助かりました」
レオンが魔法で意識を奪った盗賊達を拘束しながら団員の一人が礼を言う。
もう一人はレオンに状況を報告した。
「反対側の入り口にも仲間が二人います。恐らくそちらも襲われているかと……。マーク隊長達は既に中に潜入しています」
その言葉にレオンは頷く。
となれば、自分がまず向かうべきは反対側の入り口とやらだろうと考えた。
マークもルイズも既に王国内で指折りの実力を持つ魔法使いになったと言えるし、二人の悪魔もいる。
そんな彼らよりも外を任されている魔法騎士団の方が心配だった。
レオンは再び飛び上がると古城の反対側へと向かう。
団員の言っていた通り、反対側にも二人の団員がいて今まさに戦っている最中だった。
こちらは二対三。元々は盗賊が四人いたようだが、一人は既に気を失い近くの木の前で倒れている。
レオンはもう一度上空から奇襲をかけ、同じように盗賊三人を無力化した。
「レオンさん……ありがとうございます」
団員の礼に答えながら、レオンは古城を見上げる。
これでもう入り口は問題ないと中に入ろうと考えた時だった。
ゾクッという寒気がした。
反射的にレオンは身を翻して、後ろにあった森の中を見た。
「……?」
寒気を感じたのはレオンだけ。
二人の団員達は不思議そうにレオンのことを見ていた。
「逃げろ!」
レオンが叫ぶ。
しかし、団員達はそれに反応することもできずただ、見えない何かに体を吹き飛ばされた。
攻撃を受けた団員達は苦痛の声を上げたのちにその場に倒れ込んでしまう。
レオンはすかさず森の中に攻撃した。
風の魔法を刃にして、無数に送り込む。
しかし、手応えは感じない。
殺気は確かに森の中から感じたのだが、その正体は既に森の中にはいなかった。
「まったく……やってくれるぜ。俺の仲間達になんてことしやがる」
頭上から声が聞こえる。
レオンはごくりと唾を飲み込み、声の方を見上げた。
そこに、彼がいる。
昨夜月と共に姿を現した敵のリーダー。
シュレンガーが空中に立っていたのだ。
相対してみても、レオンはシュレンガーから魔力を感じることはできなかった。
やはり、空を飛んでいるのは魔道具の力なのだろう。
しかし、シュレンガーからは不思議と不気味な雰囲気を感じる。
それが殺気なのか、他の気配なのかはわからないが魔力でないことは確かだった。
「盗んだものを返してもらう」
レオンはその不気味な雰囲気に臆することなく、空に浮かぶシュレンガーを睨みつける。
対するシュレンガーはレオンを前にしても余裕の表情を崩さなかった。
一度倒した相手だからと侮っているのかもしれない。
「俺に勝てたなら、なんでも持っていっていいけどな」
シュレンガーは両手に持った小型の武器をレオンに向けた。
他の盗賊達が使う相手の魔力を奪う魔道具とも、レオンが一度敗北した大きな肩に担ぐ魔道具とも違う。
しかし、レオンはそれに驚異を感じた。
すぐに前方に転がり、回避する。
衝撃音と砂煙があがる。
先程までレオンが立っていた位置だった。
レオンは目を丸くする。
大きな範囲ではないが、地面が丸く抉れていたのだ。
それを見ただけで、シュレンガーの持つ武器の威力の高さがわかってしまった。
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