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番外編(side舞)
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「・・・・あ、れ・・・?」
気がついたら、私の横で楓が優しく見つめていた。
「大丈夫か?」
顔にかかった髪を優しく横へと除ける。
「う・・ん・・・大丈夫・・・かな」
そう言うと楓はほっとしたように微笑んだ。
「それにしても舞のイク顔、すげ~ソソる。おまえ、ホントに反則だわ」
「な!・・・」
「俺をそんなに煽ってどうしたいの?舞さん」
「そ、そんなこと、言われても・・・」
「ま、ご期待に応えないとな」
そう言って私の足の間に自分の身体を割り入れる。
「え、ちょっ、ちょっと待って!私・・・」
慌てて彼の腕を取った。
「あーっと、先に謝っとくな。ごめん、俺、たぶんあんまり持たないわ。」
「え・・・」
「今まで我慢してたってのがあるし。大丈夫、優しくするから。」
にこっと笑顔を返された。
攣られてエヘっと笑ってしまった。
ってち、違うから!!
そんな私の心情を余所に楓はスキンを取り出し、自分のモノに被せる。
「こんなに濡れていれば大丈夫だな。」
言いながら、指で私の秘部をグチュグチュっとかき回した。
「ひゃぁん!・・・あっ・・・」
思わず声を上げてしまった。
楓は余裕のある顔で私を見下ろしている。
「舞、とりあえず3回呼吸しろ。」
「え?・・・」
意味もわからず、とりあえず3回呼吸をしてみると、
ちょうど3回目の息を吐いた瞬間、身体の中に今までに体験した事のない痛みが広がった。
楓が私の中へと少しずつ入ってくるのがわかる。
でも指なんかじゃ比べ物にならないくらいの大きさを発揮するモノは、私の恐怖と緊張を膨らませるもの意外の何者でもなかった。
身体が震えてくる。
息も出来ないくらいの圧迫感。
一気に身体中に力が入ってくる。
「舞、力抜いて。息も・・・ゆっくり・・・」
「あ・・・っ・・・だめ・・・でき、ない・・・」
すると、楓が唇に被さってきた。
口を開かせ、空気が口に舞い込む。
下半身を動かさず、ただ口の中だけが動く。
しだいに私の身体も唇に酔いしれ、力が抜け、呼吸も楽になる。
「舞・・・怖いか?」
楓が口を離した僅かな合間に尋ねてきた。
「ん・・・ちょっとだけ・・・楓は余裕だね・・・ごめんね、私・・・」
「バカ、なんで謝るんだよ・・・それに俺だって・・・余裕ねぇよ。」
楓は私の頭の後ろに手を回し、自分の胸に私の顔をピタッと引っ付けた。
ドクン、ドクン、ドクン・・・・
楓の鼓動が聞こえてきた。
それもかなり早いスピードで。
「楓・・・」
「聞こえるだろ?俺だって緊張してんだぞ!」
やや投げ捨てるように言い放つ楓の顔を見上げると、彼は顔を真っ赤にしていた。
なんで?だって楓は今までだって女の人と・・・
「俺だって驚いてる。こんなにドキドキするなんてさ。舞と一緒。ちょっとは怖くなくなった?」
あぁ、楓は私を少しでも安心させようとしてくれてるんだ・・・
でも楓もこんなことあるんだ・・・
気がつけば、私も恐怖感が薄れている。
身体の震えも止まっていた。
なんて現金なやつなんだろう、私って。
「舞・・・辛いか?止める?」
楓が心配そうに私を見つめていた。
「ううん・・・このまま続けて。それに・・・楓さっき言ったじゃない。途中で止められないって。」
「そりゃ言ったけど・・・舞の辛そうな顔見るのはやだから・・・。」
「辛くないよ。ちょっと痛いだけで・・・それよりも楓と一つになりたいの。」
ホントにそう思った。
自分だって辛そうな顔してるよ、楓。
ホントは止めたくないのに、止められないのに、私の為に我慢しようとして・・・。
そんな楓だから・・・私は辛さなんて感じない。
そんな彼だから、一つになりたいって思った。
「楓は?」
「俺は・・・ごめん、マジで気持ちいい。舞が痛がってるのに・・・」
「ホント?気持ちいい?」
「あぁ・・・このままじゃホントやばいくらい・・・」
「だったら・・・このまましよ?お願い」
痛いのは我慢できる。それよりも楓の辛い顔を見る方が私はイヤ。
気持ちいいと言ってくれた楓をもっと気持ちよくさせたい。
「・・・わかった。その代わり、辛かったら俺の身体にしがみ付け。爪の跡が残ってもいいから。俺の肩を噛んでもいい。」
頷くと同時に、ゆっくりと私の呼吸に合わせて深く侵入を始めた。
「・・・っく・・・・」
初めて広げられる壁が悲鳴をあげている。
彼の腕を掴んでいた指の1本1本にも力が籠る。
楓はそんな私の苦痛を和らげるかのように、髪を撫でながらキスを繰り返す。
「舞・・・全部、入ったよ。」
そう言って私をぎゅっと抱きしめてくる。
これで楓と一つになれた・・・
自然と涙が頬を伝っていた。
なんだかとても嬉しかった。
「舞、痛いのか?ごめんな・・・辛いよな。」
楓が流れる雫を一つずつ舐め上げる。
「ううん・・・嬉しいの。楓と一つになれたから。」
暫くそのままの状態が続き、痛さも少しだけ薄れた頃。
「舞・・・そろそろ俺、限界。動くぞ・・いいか?」
息を一つ吐き、楓は囁いた。
私はゆっくりと頷き、彼の背中に腕をまわした。
彼が徐々に腰を動かし始めた。
擦れるたびに鈍い痛みが起こる。
ただその中には、言葉ではいい尽くせない幸せが満ちていた。
「舞・・・ヤバイ。俺・・・イキそう・・・」
「うん・・・楓、いいよ。いっぱいして。大丈夫だから。」
楓に精一杯の笑顔で応えた。
楓は額を一度合わせ私の目を見ながらごめん、と謝り腰を動かし始めた。
「舞・・・舞!」
繰り返し私の名前を呼び、徐々に腰を打ち付ける速さ、強さで快楽を高めていく。
私も痛みの中に微かな快感を見出していた。
自分の感情をぶつけるように腰を打ち付ける楓がとても凛々しく魅力的だった。
だんだんと私の名を呼ぶその声と表情も苦しげに叫ぶ。
「あ・・ん・・・ああぁん!・・・・楓!あぁん!」
打ち付けるたびに愛液が飛び散る音が聞こえる。
それがさらに私の快感を高ぶらせていく。
「かえ・・・で・・・あぁ、もうわた、し・・・・あぁぁぁんん!!」
「舞・・・う・・・イク・・・ッ!!」
薄れる記憶の中で何かが弾けた様に身体の奥でドクンドクンと脈を打った。
「・・・・・ん・・・・」
「舞・・・気がついたか?」
うっすらと目を開き、現実に戻ってきた。
目の前に天井が見え、そして先程まで続いていた行為を思い出し、思わず布団の中へ顔を埋めた。
ど、どうしよう・・・恥ずかしい・・・
赤裸々と思い出される自分の痴態に顔が熱くなり、楓の顔を見ることが出来なかった。
その様子を見ていた彼が動く音がした。
「舞、大丈夫か?痛むのか?」
私の顔のすぐ近くで彼の心配した声色が聞こえてくる。
痛む?・・・あ、そっか・・・下半身がなんだか重い気がする。
なんだかまだ何かが挟まっているような異物感が消えてない。
でも傷みはそれ程なかった。
「だ、大丈夫・・・。思ったよりは・・・痛くないかな」
言ってて恥ずかしかったけど、楓を安心させたくてなんとか言葉にした。
傍でほっと息を吐く音が聞こえた。
そーっと布団を下ろし、目だけ布団からはみ出させ楓の様子を窺がった。
楓は寝てる私のべッドの横に腰を下ろし、私の顔の横に肘を付いた状態で俯いていた。
上半身裸に下着を纏った彼を見て、また顔が赤くなる。
「舞、ごめんな。なんか無理させちまって。」
どこか落ち込んでいるような雰囲気が彼を纏っていた。
そして顔を上げた彼と思い切り目が合ってしまった。
一瞬恥ずかしさで慌ててしまったが、彼の表情を見たとたんそんな羞恥心も消えていた。
彼はとても・・・罪悪感のようなものを背負っていたから。
「楓・・・?」
「初めてだからゆっくりと慣れさせようと思ったのに、おまえの中に入ったら止まらなかった。ごめん、激しくし過ぎた。」
「え、ううん。そんなことない。楓は充分優しくしてくれたよ。」
布団から顔を全て出し、彼の腕にそっと触れた。
「でも痛かっただろ?」
「あ・・・うん。でもね!痛かったけど、それ以上に嬉しかったし、幸せだった。」
へへっと笑いながら楓に擦り寄った。
「そっか・・・。それ聞いてちょっとほっとした。アリガトな、舞。」
「こちらこそ・・・アリガト。」
お互いに顔を見合わせ、噴き出した。
サイドボードには、楓が持ってきたのだろう、グラスに水が入って置かれていた。
「舞、喉渇いただろ?水、飲む?」
「うん!もうカラカラ。」
「だろうな、あんだけ声出せば・・・」
楓が意地悪な笑みを浮かべながら水を渡してくれる。
「や、やだ!もう!」
ポンっと顔が一瞬で赤く染まり、それを埋めるかのように水を一気に飲む。
飲み干したグラスを楓が受け取り、さらに続けた。
「舞が感じやすいって事もわかったしな~。いやぁ、まさかあんだけで3回もイクとは思わなかったよ。まだあ~んなことやこ~んなこともしてないのにさ~。これから先が楽しみだな。」
楓の調子が戻ってきた。
う~、からかわれてるし・・・。
「か、楓だって!・・・慣れてるはずなのに・・・ドキドキしちゃってさ!」
楓に負けたくない一心で対抗していた。
その言葉を発した時、楓の表情が変わった。
ほんのりとピンク色に染まり、どこか慌てたような感じ。
「あれはだなぁ・・・はぁ~、なんかヤラれた。」
肩を落とし、項垂れていた。
「ヤラれた?」
「・・・あぁ、そうだよ。参った!舞にこんなに嵌ってるなんてさ。あの時さ、自分でもおかしいくらい緊張しててさ、これじゃあ童貞喪失の時みたいじゃん!って思ったよ。そのくらい・・・ドキドキした。舞を傷付けたくなかったし、怖がってたからそれを取り払わなきゃ!って思った。だけど入れた瞬間、そういう気持ち以上に、舞に嵌っていく自分がいた。もっと舞を感じさせたい、もっと舞を感じたいって。こんな事、今までなかったからさ・・・もうホントに舞に翻弄されっぱなしだよ。」
そう言って私の額をパチンと軽く弾いた。
「私も・・・私もね、楓が初めての人でよかった。最初は怖かったけど、でもそんなの忘れるくらい・・・その・・・よかったから。」
言うのは抵抗あったけど、今は素直に言うべきだと思ったから・・・
ちゃんと思ってることは言っていこうと決めたから・・・
楓の方をチラッと見返すと、楓の優しい眼差しとぶつかった。
「はぁ~・・・それにしても・・・」
「・・・?」
ふいっと楓が視線を逸らした。
「あんなに早く自分が達してしまうとは・・・。情けネェ・・・」
ぼそっと呟きながら、チッと舌を鳴らした。
「えーっと・・・楓?」
「舞がいけないんだぞ、あんな顔して・・・」
「へ?」
「おまえの顔・・・すげ~煽るんだよ。あんな顔されたら抑えられねぇって。ったく、ちょっとは考えろ!」
「そ、そんなこと言われても・・・。」
明らかに責任転嫁だ!
私の顔ってどうなってたのよ!
それすらわからないのに、どうにもできない!
しかもあの時って、そんな余裕ないし!!
イジけた顔で楓を恨みがましく見続けていると、彼もその視線に気付いて真正面に顔が近づいてきた。
そして唇にキスをすると彼が真剣な顔で私を見つめた。
「舞、俺マジだから。本気でおまえしか目に入らないし、おまえにしか興味を持てない。」
この時ほど、真剣な楓を見たことがない。
彼は本気だ・・・
それがすごく伝わった。
「私も・・・ずっと楓しか目に入らなかったし、これからも楓だけ。楓・・・ずっと私の傍にいてね。」
私も楓に対して真剣に答えた。
彼はにこっと微笑み、普段の彼に戻っていた。
そして、この笑みが作られたものだと次の瞬間、思い知らされた。
「もちろんそのつもり。つーか、覚悟しとけよ。」
「覚悟?」
「そ。俺がどれだけ舞に夢中か身体に教えていかなきゃいけないからなぁ~。舞も体力つけとくんだぞ。」
「な!な!何を言って・・・」
楓の口から繰り広げられる言葉はあまりにも恥ずかしいもので、私は口をパクパクさせるしかなかった。
それを見た楓は、大爆笑。
く、くそぉ・・・楓のばかぁ!!
「も、もう!楓なんて知らない!」
「ククク・・・舞、超ウケるんだけど!!!」
「ふん!!」
布団に潜って楓の視界から身を消した。
しばらく楓の爆笑は消えなかった。
楓がこんなに笑い上戸だとは思わなかった・・・。
「舞さ~ん・・・舞さん・・・舞ちゃん・・・」
名前を呼びながら、ゆっくりと布団を剥がそうとする。
私は意地でも布団を被り続け、それに抵抗した。
「あ、そう。そういう態度に出るわけだ・・・・・・」
何かを思わせる口調のまま、楓は押し黙り、扉を開ける音が聞こえてきた。
そして静寂が部屋を覆った。
楓・・・どこに行ったんだろう?
も、もしかして・・・怒った、とか?
怒って出て行っちゃった?
うそ!まさか・・・
慌てて起き上がり、リビングへ向かおうとした。
が、・・・できなかった・・・
「あ、あれ・・・?」
立てなかった・・・
腰が抜けてしまって、上半身を起こすだけでいっぱいっぱい。
さらに鈍い痛みが下半身に広がり、顔を歪ませる。
「っ・・・」
部屋に響くのは、自分の吐息と苦痛による足掻きだけ。
それ以外は、沈黙をひたすら守るかのように静けさを保っていた。
つい先程までの暖かい雰囲気の部屋が一気に冷めた空気と化していた。
楓が傍にいない・・・
楓の近くに行きたいのに行けない・・・
居た堪れない気持ちがいつしか身体中に広がり、言いようのない寂しさへと移り変わっていく。
孤独感に耐え切れず、瞳は涙で満ちていた。
その時、ふいに新しい風が髪を揺らした。
見上げると、楓が怪訝そうな顔で私を凝視していた。
「舞?・・・どうした?」
素早く私の傍に寄る楓は、私をのぞき見ながら頭を撫でた。
「楓!楓!」
夢中で彼の名を繰り返し、彼の首にしがみ付いた。
「舞?・・・落ち着けよ。どうした?」
耳元で優しく私を安心させるように呟く。
「ぅ・・っく・・・楓が急に居なく、なったもん・・・ヒック・・・怒ったのか、と・・・思った。」
涙声でもいい。
彼に伝えたかった。
すると彼は私の身体をギュッと強く抱きしめた。
「馬鹿だな。あんなことで怒るはずないだろ?」
「うっく・・・だ、だって・・・すぐ、に出てった・・・もん」
楓は私と向き合い、指で私の涙を拭った。
「風呂の用意、してきたんだよ。ほら・・・さっき、汗かいただろ?舞、気持ち悪いかなっておもったからさ。今、お湯溜めてるから・・・。入るだろ?」
「楓・・・うん、入る。あ、でも・・・」
言うのを躊躇った。
なんだか恥ずかしい・・・立てないなんて・・・
「ん?何?」
「あ・・・なんでもない。」
「はぁ・・・舞、隠し事はなし、だろ?」
私を諭すように頭を押さえつけながら言った。
「お風呂・・・今はちょっと・・・無理、なの」
そう言う私をじっと見つめ考えていたが、あることに行き当たったのか、なんだ・・・、と呟いた。
「大丈夫。俺が連れて行くから。それに恥ずかしいことじゃない。それだけ気持ちよかったってことだろ?俺としてはめちゃくちゃ嬉しい。」
満面の笑みを浮かべ、楓は頬にキスしてきた。
「さて、舞姫。私におつかまり下さいませ。」
冗談交じりに軽く会釈をして私に擦り寄ってきた。
「え・・・いいよ、楓。私あとで入るから。」
楓の身体を突っぱねながら抵抗した。
しかし男の力に勝てるわけもなく、呆気なく彼に抱きかかえられていた。
うわ!何も身に付けてないし!!
「やだ!恥ずかしい!何か着させて!」
「今さら。それにこれから風呂に入るんだぜ?そんな手間かけなくてもいいだろ。」
平然と言い放ち、私を抱きかかえたままバスルームの中へ。
「あ、あの・・・楓?」
「ん?」
「ど、どーして一緒に中にいるの?」
「お風呂に入るから」
「へ?」
「だから一緒にお風呂に入るから」
言いながら私を床に下ろすと、すばやく下着を抜き去り、シャワーを私の身体に浴びせていく。
「い、いいよ。自分でするから!」
目の前の楓の身体を直視できず、俯いて身体を隠そうとする。
「舞はまだ動けないんだろ?大丈夫、俺が綺麗にしてやるから。ほら、手を退けて」
なんだか楽しそう・・・
「遠慮するな。それにこれはさっきのお返し」
絶対私で楽しんでるよ、楓・・・。
でも実際に、今の私は思うように動けない。
この後は、ただひたすら楓の思うがままにされたわけで・・・。
次の日・・・というか、もう当日だけど会社を休むことになってしまい、私が怒ることは当たり前なわけで・・・
「もう!楓のばかぁ!!」
マンション中に声が響いたとか。
気がついたら、私の横で楓が優しく見つめていた。
「大丈夫か?」
顔にかかった髪を優しく横へと除ける。
「う・・ん・・・大丈夫・・・かな」
そう言うと楓はほっとしたように微笑んだ。
「それにしても舞のイク顔、すげ~ソソる。おまえ、ホントに反則だわ」
「な!・・・」
「俺をそんなに煽ってどうしたいの?舞さん」
「そ、そんなこと、言われても・・・」
「ま、ご期待に応えないとな」
そう言って私の足の間に自分の身体を割り入れる。
「え、ちょっ、ちょっと待って!私・・・」
慌てて彼の腕を取った。
「あーっと、先に謝っとくな。ごめん、俺、たぶんあんまり持たないわ。」
「え・・・」
「今まで我慢してたってのがあるし。大丈夫、優しくするから。」
にこっと笑顔を返された。
攣られてエヘっと笑ってしまった。
ってち、違うから!!
そんな私の心情を余所に楓はスキンを取り出し、自分のモノに被せる。
「こんなに濡れていれば大丈夫だな。」
言いながら、指で私の秘部をグチュグチュっとかき回した。
「ひゃぁん!・・・あっ・・・」
思わず声を上げてしまった。
楓は余裕のある顔で私を見下ろしている。
「舞、とりあえず3回呼吸しろ。」
「え?・・・」
意味もわからず、とりあえず3回呼吸をしてみると、
ちょうど3回目の息を吐いた瞬間、身体の中に今までに体験した事のない痛みが広がった。
楓が私の中へと少しずつ入ってくるのがわかる。
でも指なんかじゃ比べ物にならないくらいの大きさを発揮するモノは、私の恐怖と緊張を膨らませるもの意外の何者でもなかった。
身体が震えてくる。
息も出来ないくらいの圧迫感。
一気に身体中に力が入ってくる。
「舞、力抜いて。息も・・・ゆっくり・・・」
「あ・・・っ・・・だめ・・・でき、ない・・・」
すると、楓が唇に被さってきた。
口を開かせ、空気が口に舞い込む。
下半身を動かさず、ただ口の中だけが動く。
しだいに私の身体も唇に酔いしれ、力が抜け、呼吸も楽になる。
「舞・・・怖いか?」
楓が口を離した僅かな合間に尋ねてきた。
「ん・・・ちょっとだけ・・・楓は余裕だね・・・ごめんね、私・・・」
「バカ、なんで謝るんだよ・・・それに俺だって・・・余裕ねぇよ。」
楓は私の頭の後ろに手を回し、自分の胸に私の顔をピタッと引っ付けた。
ドクン、ドクン、ドクン・・・・
楓の鼓動が聞こえてきた。
それもかなり早いスピードで。
「楓・・・」
「聞こえるだろ?俺だって緊張してんだぞ!」
やや投げ捨てるように言い放つ楓の顔を見上げると、彼は顔を真っ赤にしていた。
なんで?だって楓は今までだって女の人と・・・
「俺だって驚いてる。こんなにドキドキするなんてさ。舞と一緒。ちょっとは怖くなくなった?」
あぁ、楓は私を少しでも安心させようとしてくれてるんだ・・・
でも楓もこんなことあるんだ・・・
気がつけば、私も恐怖感が薄れている。
身体の震えも止まっていた。
なんて現金なやつなんだろう、私って。
「舞・・・辛いか?止める?」
楓が心配そうに私を見つめていた。
「ううん・・・このまま続けて。それに・・・楓さっき言ったじゃない。途中で止められないって。」
「そりゃ言ったけど・・・舞の辛そうな顔見るのはやだから・・・。」
「辛くないよ。ちょっと痛いだけで・・・それよりも楓と一つになりたいの。」
ホントにそう思った。
自分だって辛そうな顔してるよ、楓。
ホントは止めたくないのに、止められないのに、私の為に我慢しようとして・・・。
そんな楓だから・・・私は辛さなんて感じない。
そんな彼だから、一つになりたいって思った。
「楓は?」
「俺は・・・ごめん、マジで気持ちいい。舞が痛がってるのに・・・」
「ホント?気持ちいい?」
「あぁ・・・このままじゃホントやばいくらい・・・」
「だったら・・・このまましよ?お願い」
痛いのは我慢できる。それよりも楓の辛い顔を見る方が私はイヤ。
気持ちいいと言ってくれた楓をもっと気持ちよくさせたい。
「・・・わかった。その代わり、辛かったら俺の身体にしがみ付け。爪の跡が残ってもいいから。俺の肩を噛んでもいい。」
頷くと同時に、ゆっくりと私の呼吸に合わせて深く侵入を始めた。
「・・・っく・・・・」
初めて広げられる壁が悲鳴をあげている。
彼の腕を掴んでいた指の1本1本にも力が籠る。
楓はそんな私の苦痛を和らげるかのように、髪を撫でながらキスを繰り返す。
「舞・・・全部、入ったよ。」
そう言って私をぎゅっと抱きしめてくる。
これで楓と一つになれた・・・
自然と涙が頬を伝っていた。
なんだかとても嬉しかった。
「舞、痛いのか?ごめんな・・・辛いよな。」
楓が流れる雫を一つずつ舐め上げる。
「ううん・・・嬉しいの。楓と一つになれたから。」
暫くそのままの状態が続き、痛さも少しだけ薄れた頃。
「舞・・・そろそろ俺、限界。動くぞ・・いいか?」
息を一つ吐き、楓は囁いた。
私はゆっくりと頷き、彼の背中に腕をまわした。
彼が徐々に腰を動かし始めた。
擦れるたびに鈍い痛みが起こる。
ただその中には、言葉ではいい尽くせない幸せが満ちていた。
「舞・・・ヤバイ。俺・・・イキそう・・・」
「うん・・・楓、いいよ。いっぱいして。大丈夫だから。」
楓に精一杯の笑顔で応えた。
楓は額を一度合わせ私の目を見ながらごめん、と謝り腰を動かし始めた。
「舞・・・舞!」
繰り返し私の名前を呼び、徐々に腰を打ち付ける速さ、強さで快楽を高めていく。
私も痛みの中に微かな快感を見出していた。
自分の感情をぶつけるように腰を打ち付ける楓がとても凛々しく魅力的だった。
だんだんと私の名を呼ぶその声と表情も苦しげに叫ぶ。
「あ・・ん・・・ああぁん!・・・・楓!あぁん!」
打ち付けるたびに愛液が飛び散る音が聞こえる。
それがさらに私の快感を高ぶらせていく。
「かえ・・・で・・・あぁ、もうわた、し・・・・あぁぁぁんん!!」
「舞・・・う・・・イク・・・ッ!!」
薄れる記憶の中で何かが弾けた様に身体の奥でドクンドクンと脈を打った。
「・・・・・ん・・・・」
「舞・・・気がついたか?」
うっすらと目を開き、現実に戻ってきた。
目の前に天井が見え、そして先程まで続いていた行為を思い出し、思わず布団の中へ顔を埋めた。
ど、どうしよう・・・恥ずかしい・・・
赤裸々と思い出される自分の痴態に顔が熱くなり、楓の顔を見ることが出来なかった。
その様子を見ていた彼が動く音がした。
「舞、大丈夫か?痛むのか?」
私の顔のすぐ近くで彼の心配した声色が聞こえてくる。
痛む?・・・あ、そっか・・・下半身がなんだか重い気がする。
なんだかまだ何かが挟まっているような異物感が消えてない。
でも傷みはそれ程なかった。
「だ、大丈夫・・・。思ったよりは・・・痛くないかな」
言ってて恥ずかしかったけど、楓を安心させたくてなんとか言葉にした。
傍でほっと息を吐く音が聞こえた。
そーっと布団を下ろし、目だけ布団からはみ出させ楓の様子を窺がった。
楓は寝てる私のべッドの横に腰を下ろし、私の顔の横に肘を付いた状態で俯いていた。
上半身裸に下着を纏った彼を見て、また顔が赤くなる。
「舞、ごめんな。なんか無理させちまって。」
どこか落ち込んでいるような雰囲気が彼を纏っていた。
そして顔を上げた彼と思い切り目が合ってしまった。
一瞬恥ずかしさで慌ててしまったが、彼の表情を見たとたんそんな羞恥心も消えていた。
彼はとても・・・罪悪感のようなものを背負っていたから。
「楓・・・?」
「初めてだからゆっくりと慣れさせようと思ったのに、おまえの中に入ったら止まらなかった。ごめん、激しくし過ぎた。」
「え、ううん。そんなことない。楓は充分優しくしてくれたよ。」
布団から顔を全て出し、彼の腕にそっと触れた。
「でも痛かっただろ?」
「あ・・・うん。でもね!痛かったけど、それ以上に嬉しかったし、幸せだった。」
へへっと笑いながら楓に擦り寄った。
「そっか・・・。それ聞いてちょっとほっとした。アリガトな、舞。」
「こちらこそ・・・アリガト。」
お互いに顔を見合わせ、噴き出した。
サイドボードには、楓が持ってきたのだろう、グラスに水が入って置かれていた。
「舞、喉渇いただろ?水、飲む?」
「うん!もうカラカラ。」
「だろうな、あんだけ声出せば・・・」
楓が意地悪な笑みを浮かべながら水を渡してくれる。
「や、やだ!もう!」
ポンっと顔が一瞬で赤く染まり、それを埋めるかのように水を一気に飲む。
飲み干したグラスを楓が受け取り、さらに続けた。
「舞が感じやすいって事もわかったしな~。いやぁ、まさかあんだけで3回もイクとは思わなかったよ。まだあ~んなことやこ~んなこともしてないのにさ~。これから先が楽しみだな。」
楓の調子が戻ってきた。
う~、からかわれてるし・・・。
「か、楓だって!・・・慣れてるはずなのに・・・ドキドキしちゃってさ!」
楓に負けたくない一心で対抗していた。
その言葉を発した時、楓の表情が変わった。
ほんのりとピンク色に染まり、どこか慌てたような感じ。
「あれはだなぁ・・・はぁ~、なんかヤラれた。」
肩を落とし、項垂れていた。
「ヤラれた?」
「・・・あぁ、そうだよ。参った!舞にこんなに嵌ってるなんてさ。あの時さ、自分でもおかしいくらい緊張しててさ、これじゃあ童貞喪失の時みたいじゃん!って思ったよ。そのくらい・・・ドキドキした。舞を傷付けたくなかったし、怖がってたからそれを取り払わなきゃ!って思った。だけど入れた瞬間、そういう気持ち以上に、舞に嵌っていく自分がいた。もっと舞を感じさせたい、もっと舞を感じたいって。こんな事、今までなかったからさ・・・もうホントに舞に翻弄されっぱなしだよ。」
そう言って私の額をパチンと軽く弾いた。
「私も・・・私もね、楓が初めての人でよかった。最初は怖かったけど、でもそんなの忘れるくらい・・・その・・・よかったから。」
言うのは抵抗あったけど、今は素直に言うべきだと思ったから・・・
ちゃんと思ってることは言っていこうと決めたから・・・
楓の方をチラッと見返すと、楓の優しい眼差しとぶつかった。
「はぁ~・・・それにしても・・・」
「・・・?」
ふいっと楓が視線を逸らした。
「あんなに早く自分が達してしまうとは・・・。情けネェ・・・」
ぼそっと呟きながら、チッと舌を鳴らした。
「えーっと・・・楓?」
「舞がいけないんだぞ、あんな顔して・・・」
「へ?」
「おまえの顔・・・すげ~煽るんだよ。あんな顔されたら抑えられねぇって。ったく、ちょっとは考えろ!」
「そ、そんなこと言われても・・・。」
明らかに責任転嫁だ!
私の顔ってどうなってたのよ!
それすらわからないのに、どうにもできない!
しかもあの時って、そんな余裕ないし!!
イジけた顔で楓を恨みがましく見続けていると、彼もその視線に気付いて真正面に顔が近づいてきた。
そして唇にキスをすると彼が真剣な顔で私を見つめた。
「舞、俺マジだから。本気でおまえしか目に入らないし、おまえにしか興味を持てない。」
この時ほど、真剣な楓を見たことがない。
彼は本気だ・・・
それがすごく伝わった。
「私も・・・ずっと楓しか目に入らなかったし、これからも楓だけ。楓・・・ずっと私の傍にいてね。」
私も楓に対して真剣に答えた。
彼はにこっと微笑み、普段の彼に戻っていた。
そして、この笑みが作られたものだと次の瞬間、思い知らされた。
「もちろんそのつもり。つーか、覚悟しとけよ。」
「覚悟?」
「そ。俺がどれだけ舞に夢中か身体に教えていかなきゃいけないからなぁ~。舞も体力つけとくんだぞ。」
「な!な!何を言って・・・」
楓の口から繰り広げられる言葉はあまりにも恥ずかしいもので、私は口をパクパクさせるしかなかった。
それを見た楓は、大爆笑。
く、くそぉ・・・楓のばかぁ!!
「も、もう!楓なんて知らない!」
「ククク・・・舞、超ウケるんだけど!!!」
「ふん!!」
布団に潜って楓の視界から身を消した。
しばらく楓の爆笑は消えなかった。
楓がこんなに笑い上戸だとは思わなかった・・・。
「舞さ~ん・・・舞さん・・・舞ちゃん・・・」
名前を呼びながら、ゆっくりと布団を剥がそうとする。
私は意地でも布団を被り続け、それに抵抗した。
「あ、そう。そういう態度に出るわけだ・・・・・・」
何かを思わせる口調のまま、楓は押し黙り、扉を開ける音が聞こえてきた。
そして静寂が部屋を覆った。
楓・・・どこに行ったんだろう?
も、もしかして・・・怒った、とか?
怒って出て行っちゃった?
うそ!まさか・・・
慌てて起き上がり、リビングへ向かおうとした。
が、・・・できなかった・・・
「あ、あれ・・・?」
立てなかった・・・
腰が抜けてしまって、上半身を起こすだけでいっぱいっぱい。
さらに鈍い痛みが下半身に広がり、顔を歪ませる。
「っ・・・」
部屋に響くのは、自分の吐息と苦痛による足掻きだけ。
それ以外は、沈黙をひたすら守るかのように静けさを保っていた。
つい先程までの暖かい雰囲気の部屋が一気に冷めた空気と化していた。
楓が傍にいない・・・
楓の近くに行きたいのに行けない・・・
居た堪れない気持ちがいつしか身体中に広がり、言いようのない寂しさへと移り変わっていく。
孤独感に耐え切れず、瞳は涙で満ちていた。
その時、ふいに新しい風が髪を揺らした。
見上げると、楓が怪訝そうな顔で私を凝視していた。
「舞?・・・どうした?」
素早く私の傍に寄る楓は、私をのぞき見ながら頭を撫でた。
「楓!楓!」
夢中で彼の名を繰り返し、彼の首にしがみ付いた。
「舞?・・・落ち着けよ。どうした?」
耳元で優しく私を安心させるように呟く。
「ぅ・・っく・・・楓が急に居なく、なったもん・・・ヒック・・・怒ったのか、と・・・思った。」
涙声でもいい。
彼に伝えたかった。
すると彼は私の身体をギュッと強く抱きしめた。
「馬鹿だな。あんなことで怒るはずないだろ?」
「うっく・・・だ、だって・・・すぐ、に出てった・・・もん」
楓は私と向き合い、指で私の涙を拭った。
「風呂の用意、してきたんだよ。ほら・・・さっき、汗かいただろ?舞、気持ち悪いかなっておもったからさ。今、お湯溜めてるから・・・。入るだろ?」
「楓・・・うん、入る。あ、でも・・・」
言うのを躊躇った。
なんだか恥ずかしい・・・立てないなんて・・・
「ん?何?」
「あ・・・なんでもない。」
「はぁ・・・舞、隠し事はなし、だろ?」
私を諭すように頭を押さえつけながら言った。
「お風呂・・・今はちょっと・・・無理、なの」
そう言う私をじっと見つめ考えていたが、あることに行き当たったのか、なんだ・・・、と呟いた。
「大丈夫。俺が連れて行くから。それに恥ずかしいことじゃない。それだけ気持ちよかったってことだろ?俺としてはめちゃくちゃ嬉しい。」
満面の笑みを浮かべ、楓は頬にキスしてきた。
「さて、舞姫。私におつかまり下さいませ。」
冗談交じりに軽く会釈をして私に擦り寄ってきた。
「え・・・いいよ、楓。私あとで入るから。」
楓の身体を突っぱねながら抵抗した。
しかし男の力に勝てるわけもなく、呆気なく彼に抱きかかえられていた。
うわ!何も身に付けてないし!!
「やだ!恥ずかしい!何か着させて!」
「今さら。それにこれから風呂に入るんだぜ?そんな手間かけなくてもいいだろ。」
平然と言い放ち、私を抱きかかえたままバスルームの中へ。
「あ、あの・・・楓?」
「ん?」
「ど、どーして一緒に中にいるの?」
「お風呂に入るから」
「へ?」
「だから一緒にお風呂に入るから」
言いながら私を床に下ろすと、すばやく下着を抜き去り、シャワーを私の身体に浴びせていく。
「い、いいよ。自分でするから!」
目の前の楓の身体を直視できず、俯いて身体を隠そうとする。
「舞はまだ動けないんだろ?大丈夫、俺が綺麗にしてやるから。ほら、手を退けて」
なんだか楽しそう・・・
「遠慮するな。それにこれはさっきのお返し」
絶対私で楽しんでるよ、楓・・・。
でも実際に、今の私は思うように動けない。
この後は、ただひたすら楓の思うがままにされたわけで・・・。
次の日・・・というか、もう当日だけど会社を休むことになってしまい、私が怒ることは当たり前なわけで・・・
「もう!楓のばかぁ!!」
マンション中に声が響いたとか。
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