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序章
降臨-3
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赤ちゃんに、もっとたくさんプレゼントをあげたい。
アクアと凛也は書店を後にすると、ベビー用品売場へ向かった。
今のアクアにとって、ベビー用品売場など本当は近寄りたくない場所だ。でも、死にゆく赤ちゃんのために、勇気を出さなくてはならない。
もし、幼い子供や赤ちゃんを見かけたら、さっきのように耳を塞いで、目も逸らせばいい。
けれど、いざ売場の中に入って行くと、 並べられている品物の一つ一つが目に入るたび、アクアは嗚咽を堪えなくてはならなかった。
ベビーのおともだち。ガラガラ、にぎにぎ、ぬいぐるみ。
次々と涙が零れ、アクアの頬を濡らした。幸い周囲には誰もいない。
肩に凛也の手が載せられた。だが、凛也の手の暖かみが、さらにアクアの哀しみに拍車を掛ける。
オモチャを適当に選んで籠に入れながら、足を進めていくうちに、ベビー服コーナーに辿り着いた。白や淡い色の産着が壁一杯に並べられている。
不意に一組のカップルと出くわした。スリングの中に産まれたばかりの新生児を抱えた母親は、今風な派手な印象で、アクアより十は若そうに見える。
若い母親と目が合った。
泣いているのに、気づかれた?
母親の怪訝そうな表情の中に、アクアに対する好奇心が浮かんでいた。
アクアは咄嗟に踵を返した。
早歩きでオモチャコーナーに引き返すと足を止めることなく、次々に篭の中の赤ちゃんへのプレゼントを棚に戻した。篭が空っぽになると、さらに歩く速度を速める。
凛也は後ろからついてきているだろうか。
確認したかったが振り返りたくなかった。アクアはベビー用品売場の外れにある篭置き場に篭を放ると、そのままデパートの出口へ向かう。
結局、赤ちゃんへのプレゼントは会計が済まされていたため、棚に戻されるのを免れた『人魚姫』のみになった。
アクアと凛也は書店を後にすると、ベビー用品売場へ向かった。
今のアクアにとって、ベビー用品売場など本当は近寄りたくない場所だ。でも、死にゆく赤ちゃんのために、勇気を出さなくてはならない。
もし、幼い子供や赤ちゃんを見かけたら、さっきのように耳を塞いで、目も逸らせばいい。
けれど、いざ売場の中に入って行くと、 並べられている品物の一つ一つが目に入るたび、アクアは嗚咽を堪えなくてはならなかった。
ベビーのおともだち。ガラガラ、にぎにぎ、ぬいぐるみ。
次々と涙が零れ、アクアの頬を濡らした。幸い周囲には誰もいない。
肩に凛也の手が載せられた。だが、凛也の手の暖かみが、さらにアクアの哀しみに拍車を掛ける。
オモチャを適当に選んで籠に入れながら、足を進めていくうちに、ベビー服コーナーに辿り着いた。白や淡い色の産着が壁一杯に並べられている。
不意に一組のカップルと出くわした。スリングの中に産まれたばかりの新生児を抱えた母親は、今風な派手な印象で、アクアより十は若そうに見える。
若い母親と目が合った。
泣いているのに、気づかれた?
母親の怪訝そうな表情の中に、アクアに対する好奇心が浮かんでいた。
アクアは咄嗟に踵を返した。
早歩きでオモチャコーナーに引き返すと足を止めることなく、次々に篭の中の赤ちゃんへのプレゼントを棚に戻した。篭が空っぽになると、さらに歩く速度を速める。
凛也は後ろからついてきているだろうか。
確認したかったが振り返りたくなかった。アクアはベビー用品売場の外れにある篭置き場に篭を放ると、そのままデパートの出口へ向かう。
結局、赤ちゃんへのプレゼントは会計が済まされていたため、棚に戻されるのを免れた『人魚姫』のみになった。
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