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アルム四神編
第六話 : 伝承の子、伝承の末裔
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少しだけ明るくなった雰囲気の部屋、まるで少しだけ距離が近くなったような気がして心地よかった。
すっかりその雰囲気に浸っていると、祖母の咳払いが聞こえた。
祖母が居る事を忘れていた。というよりかは、いつの間にか俺は先ほど少女に疑問を問いかける時に、
前へと歩いて出て来たようで、祖母はいつの間にか後ろのドア付近で佇んでいた。
祖母は、さてと声を出し、俺に話しかけた。
「最初の話に戻ろうじゃないか。お前の傷について話させてもらおう」
すっかり忘れていた。そうだ、それが目的でこの場に来たのだった。少女の事が気になりすぎていた。
気持ちを切り替えて、祖母に改めて聞いた。
「なぁ、改めて聞くが、この傷はなんなんだ?今だって」
俺は、額と頬をさすり傷がある事を確かめる。
「こうして残っているじゃないか。もしかして、俺って魔族だったりするのか?」
祖母は、埃だらけの本棚へ向かい、さっとボロボロな本を取って俺の所へ戻って来た。
見るからにかなり前の本のようで、タイトルには。
「伝承の子......?」
そうだと祖母は頷くと、ボロボロな本をおもむろに開き、
丁寧な手つきで何かを探している。
あったと祖母が呟き、俺の顔を見たり本を見たりを繰り返している。
何回か、繰り返し見た後に、俺に向かって口を開く。
「あんたは、アルム四神の末裔。スピーカーアームのフォレスタの子さ」
「は......!?」
俺は、驚きの声を上げた。意味が分からない。唐突に言い出したと思えば、俺がアルム四神の末裔?
馬鹿馬鹿しい事だ。確かに、これまで信じられない事は起きている。しかし、それは冗談に違いないだろう。
「どういう事だよ。俺が末裔?なんだそりゃ」
祖母は、先ほど見ていたであろうページを俺に渡して見せた。
ここを見ろと言われ祖母のしわくちゃな指が指した箇所を見る。
そこには、刻印について書かれている所があり、額と頬の刻印が描かれている。
明らかに俺のと同じ三本線の刻印で、額と頬、どれも同じ所につけられている。
祖母は、俺の更に驚いた表情を見ると、この本について話始めた。
「にわかには信じられないだろうけど、まずお前は間違いなく神様の末裔だ。
この本は、この地域に昔から続く伝承の本で、この紋章と同じものはこの世にはいない事は、調べられている。
しかし見てみろ。あと、お前の刻印は魔族の物とは違う。魔族は、もっと複雑に焼き付いているからな」
祖母は、真剣な表情で語った。
流石に、すぐにはいと首を縦に振る事はできない。
顔をしかめて、必死に頭を回転させる。
祖母は、唐突に少女に向かって話始める。
「あなたの額を見せてくれ」
綺麗な髪をかき上げてこちらに見せる。
少女の額には、四本の刻印。先ほどの本にも書いてあった。
――三本の刻印は、末裔の印。四本の刻印は、神の子の印。――
まさかとは思い、本を開いて少女の刻印を調べる。
213ページ、ここだと目を大きく見開いて調べる。
あった、ここだ。
少女に近づき刻印を見る。同じ刻印が付けられている。
じーっと見ていたからか、少女は顔を赤らめてそっぽを向いた。
申し訳なく思い俺は数歩下がる。
これは、一体何が起きているのだろうか。
理解が全く追いつかないまま立ち竦んでいた。
祖母は、語り出す。
「わかったかい?お前と、そこの少女は、伝承の類の人なんだ。
私もびっくりだよ。こんな奇跡があるのかってね。でもね、昔から伝わる伝承があってね。
伝承と言うよりかは、予言みたいな物だけどさ。こういうのがあったのさ」
"数千年後の未来。彼と彼女の運命は巡り合い、闇と光の二つの世界が交わり出会う"
――伝承の子と伝承の末裔が――
すっかりその雰囲気に浸っていると、祖母の咳払いが聞こえた。
祖母が居る事を忘れていた。というよりかは、いつの間にか俺は先ほど少女に疑問を問いかける時に、
前へと歩いて出て来たようで、祖母はいつの間にか後ろのドア付近で佇んでいた。
祖母は、さてと声を出し、俺に話しかけた。
「最初の話に戻ろうじゃないか。お前の傷について話させてもらおう」
すっかり忘れていた。そうだ、それが目的でこの場に来たのだった。少女の事が気になりすぎていた。
気持ちを切り替えて、祖母に改めて聞いた。
「なぁ、改めて聞くが、この傷はなんなんだ?今だって」
俺は、額と頬をさすり傷がある事を確かめる。
「こうして残っているじゃないか。もしかして、俺って魔族だったりするのか?」
祖母は、埃だらけの本棚へ向かい、さっとボロボロな本を取って俺の所へ戻って来た。
見るからにかなり前の本のようで、タイトルには。
「伝承の子......?」
そうだと祖母は頷くと、ボロボロな本をおもむろに開き、
丁寧な手つきで何かを探している。
あったと祖母が呟き、俺の顔を見たり本を見たりを繰り返している。
何回か、繰り返し見た後に、俺に向かって口を開く。
「あんたは、アルム四神の末裔。スピーカーアームのフォレスタの子さ」
「は......!?」
俺は、驚きの声を上げた。意味が分からない。唐突に言い出したと思えば、俺がアルム四神の末裔?
馬鹿馬鹿しい事だ。確かに、これまで信じられない事は起きている。しかし、それは冗談に違いないだろう。
「どういう事だよ。俺が末裔?なんだそりゃ」
祖母は、先ほど見ていたであろうページを俺に渡して見せた。
ここを見ろと言われ祖母のしわくちゃな指が指した箇所を見る。
そこには、刻印について書かれている所があり、額と頬の刻印が描かれている。
明らかに俺のと同じ三本線の刻印で、額と頬、どれも同じ所につけられている。
祖母は、俺の更に驚いた表情を見ると、この本について話始めた。
「にわかには信じられないだろうけど、まずお前は間違いなく神様の末裔だ。
この本は、この地域に昔から続く伝承の本で、この紋章と同じものはこの世にはいない事は、調べられている。
しかし見てみろ。あと、お前の刻印は魔族の物とは違う。魔族は、もっと複雑に焼き付いているからな」
祖母は、真剣な表情で語った。
流石に、すぐにはいと首を縦に振る事はできない。
顔をしかめて、必死に頭を回転させる。
祖母は、唐突に少女に向かって話始める。
「あなたの額を見せてくれ」
綺麗な髪をかき上げてこちらに見せる。
少女の額には、四本の刻印。先ほどの本にも書いてあった。
――三本の刻印は、末裔の印。四本の刻印は、神の子の印。――
まさかとは思い、本を開いて少女の刻印を調べる。
213ページ、ここだと目を大きく見開いて調べる。
あった、ここだ。
少女に近づき刻印を見る。同じ刻印が付けられている。
じーっと見ていたからか、少女は顔を赤らめてそっぽを向いた。
申し訳なく思い俺は数歩下がる。
これは、一体何が起きているのだろうか。
理解が全く追いつかないまま立ち竦んでいた。
祖母は、語り出す。
「わかったかい?お前と、そこの少女は、伝承の類の人なんだ。
私もびっくりだよ。こんな奇跡があるのかってね。でもね、昔から伝わる伝承があってね。
伝承と言うよりかは、予言みたいな物だけどさ。こういうのがあったのさ」
"数千年後の未来。彼と彼女の運命は巡り合い、闇と光の二つの世界が交わり出会う"
――伝承の子と伝承の末裔が――
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