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アルム四神編
第七話 : フォレスタ
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「俺が、伝承の末裔......」
俺が先に折れた方が、伝承がどうだこうだという事に時間を割かなくても済むし、
面倒な掛け合いにならないので、嫌々ながらも俺が伝承の末裔である事を認めた。
薄く溜息をついて、俺は気になる事が出て来た。深呼吸をし、呼吸を整え祖母に問う。
「なぁ、そのフォレスタ?だっけか。スピーカーアームの神って、なんか能力が付くようなもんなのか?」
祖母は、ため息混じりに呆れた声で言う。
「能力も何も、こういったものは、生まれた時から貰っているものさ。今まで気づかなかったろうけどね」
どういう事だ。なんといったって、俺は、今まで一般の人間と同じ生活をしていたのだ。
だから、自分がどんな能力を持っているかと言う事に
気づく事や、自分の事について深く知っている事等は、一切無かったのだ。
しかし、俺も中二病の端くれだった。
まぁ、少しというか、心の奥から何か湧き上がってくる何かがある。
なんだろう、某なろう系の主人公みたいで、とても興奮してきた。
なるべく嬉しい表情を出さないようにしながら祖母に聞いた。
「なぁ、俺はどんな能力を持っているんだ?」
祖母は、先ほどの本を手に取り、皺の多い指でページめくる。
あったというような表情をして、俺に渡してきた。
なんでこう二度手間なのだろうかそんな疑問を持ちつつ俺はボロボロな本の内容を呼んだ。
【スピーカーアームの神 フォレスタ -聴力-】
俺の能力は、耳の能力を司る神の力で、
聴覚が異常な程に優れているらしい。
例えば、20km先の微かな虫の音でも聞こえる程の力で、とてつもない聴力の発達があるそうだ。
しかし、これを使うには体力がいるらしく、常に能力が付与されているわけではないらしい。
この能力を使うためには、額と頬の傷の線を紙に書き祈る。
神への申請書のようなものか。
まぁ、スピーカーアームの力はこんなもんかとページをめくっていると、
伝承の末裔に関する事が書かれていた。
伝承の末裔に付与される能力は、
【伝承の末裔 -存在ノ抹消-】
この能力を持つ者は、人の存在を消すことができる。
できるというよりかは、人の記憶を消し、元からいなかったかのようにする事だ。
この能力を使うための詠唱は、
-とりあえずBANで-
んんん?
んんんんんん?
どういう事だ?
とりあえずBANで?
「は?」
意味も分からず、茫然とする。そりゃそうだ。もっとかっこいいものが来るだろうと思っていた。
そう思っていたのだが、まさかこんなしょうもない文章だとは。
でも、確かに使った事がない文章だ。
そりゃ人生で言わないわな。
そうだわ。
とりあえず、続きを読む。この能力を持つのは世界でたった一人きり。
しかし、人を消す事にはデメリットもあり人を消すとき、
その人の記憶の全てが一瞬にして頭に入ってくるという。
その人の苦痛、悲しみ、すべてが舞い込んでくる。
残念な事に幸せな事はまったく入ってこず、
産まれてきてからのすべてが舞い込む。
これを使った人へ向けて、罪悪感を感じさせるためらしい。
そりゃそうだ。人一人消すのだ。それはもはや殺すも同然。しかも、殺すだけならまだしも、
その人の生きて来た世界の知り合いや、家族の記憶からも消え、全員から忘れ去られる。
「なるほどなぁ......」
なるべく使いたくない。そう思った。
俺にそんな能力を使う勇気や、それを使う覚悟すらない。
もっと、この世界の役に立つような能力だと思ったが、まぁ、こうなってしまったのは仕方がない。
心にある静かな黒い影を殺しながら、俺は受け入れた。
沈黙の時間。たかが1分程度で、俺の気持ちの起伏はどれだけあっただろう。
もやもやした気持ちのまま、時は流れていく。
幸せな空間が、ちょっぴり崩れたような気がした。
俺が先に折れた方が、伝承がどうだこうだという事に時間を割かなくても済むし、
面倒な掛け合いにならないので、嫌々ながらも俺が伝承の末裔である事を認めた。
薄く溜息をついて、俺は気になる事が出て来た。深呼吸をし、呼吸を整え祖母に問う。
「なぁ、そのフォレスタ?だっけか。スピーカーアームの神って、なんか能力が付くようなもんなのか?」
祖母は、ため息混じりに呆れた声で言う。
「能力も何も、こういったものは、生まれた時から貰っているものさ。今まで気づかなかったろうけどね」
どういう事だ。なんといったって、俺は、今まで一般の人間と同じ生活をしていたのだ。
だから、自分がどんな能力を持っているかと言う事に
気づく事や、自分の事について深く知っている事等は、一切無かったのだ。
しかし、俺も中二病の端くれだった。
まぁ、少しというか、心の奥から何か湧き上がってくる何かがある。
なんだろう、某なろう系の主人公みたいで、とても興奮してきた。
なるべく嬉しい表情を出さないようにしながら祖母に聞いた。
「なぁ、俺はどんな能力を持っているんだ?」
祖母は、先ほどの本を手に取り、皺の多い指でページめくる。
あったというような表情をして、俺に渡してきた。
なんでこう二度手間なのだろうかそんな疑問を持ちつつ俺はボロボロな本の内容を呼んだ。
【スピーカーアームの神 フォレスタ -聴力-】
俺の能力は、耳の能力を司る神の力で、
聴覚が異常な程に優れているらしい。
例えば、20km先の微かな虫の音でも聞こえる程の力で、とてつもない聴力の発達があるそうだ。
しかし、これを使うには体力がいるらしく、常に能力が付与されているわけではないらしい。
この能力を使うためには、額と頬の傷の線を紙に書き祈る。
神への申請書のようなものか。
まぁ、スピーカーアームの力はこんなもんかとページをめくっていると、
伝承の末裔に関する事が書かれていた。
伝承の末裔に付与される能力は、
【伝承の末裔 -存在ノ抹消-】
この能力を持つ者は、人の存在を消すことができる。
できるというよりかは、人の記憶を消し、元からいなかったかのようにする事だ。
この能力を使うための詠唱は、
-とりあえずBANで-
んんん?
んんんんんん?
どういう事だ?
とりあえずBANで?
「は?」
意味も分からず、茫然とする。そりゃそうだ。もっとかっこいいものが来るだろうと思っていた。
そう思っていたのだが、まさかこんなしょうもない文章だとは。
でも、確かに使った事がない文章だ。
そりゃ人生で言わないわな。
そうだわ。
とりあえず、続きを読む。この能力を持つのは世界でたった一人きり。
しかし、人を消す事にはデメリットもあり人を消すとき、
その人の記憶の全てが一瞬にして頭に入ってくるという。
その人の苦痛、悲しみ、すべてが舞い込んでくる。
残念な事に幸せな事はまったく入ってこず、
産まれてきてからのすべてが舞い込む。
これを使った人へ向けて、罪悪感を感じさせるためらしい。
そりゃそうだ。人一人消すのだ。それはもはや殺すも同然。しかも、殺すだけならまだしも、
その人の生きて来た世界の知り合いや、家族の記憶からも消え、全員から忘れ去られる。
「なるほどなぁ......」
なるべく使いたくない。そう思った。
俺にそんな能力を使う勇気や、それを使う覚悟すらない。
もっと、この世界の役に立つような能力だと思ったが、まぁ、こうなってしまったのは仕方がない。
心にある静かな黒い影を殺しながら、俺は受け入れた。
沈黙の時間。たかが1分程度で、俺の気持ちの起伏はどれだけあっただろう。
もやもやした気持ちのまま、時は流れていく。
幸せな空間が、ちょっぴり崩れたような気がした。
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