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アルム四神編
第八話 : 家に帰ろう
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あれから数時間後。まぁ、なんだかんだで一杯だけ冷めてしまった茶を飲んだ後祖母の家を後にし、
喜んでいいのか、返って虚しいような、今日一日の出来事がまるで夢かのような展開を体感したせいで、
とても複雑な感情のまま、帰路についた。
大きなため息をついて公園の大通りを歩く。
少し雨が降っていたようで、土が少しぬかるんでいる。
空を見上げると雲はまだ薄く黒く浮いており、俺の帰る方向に向かってより黒さを増しているように思える。
今日は、家で特に何もしてなかったから、まぁ、大丈夫だろうと。
そう思った瞬間に大事な事を忘れていた。
今日届く予定のamezooonからの荷物の設定を、置き配にしていたのだ。
もしかしたら、もう既に来ているのか?いや、来ていないかもしれない。
「あー、どちらにせよ......雨も降りそうだし......やっぱり走っていかなきゃ......!!」
置き配は、まぁ目を瞑ったとしても、ここから空が俺の住む所に向かって黒くなってきているって現状。
つまり、雨が降っているのかもしれない。
朝は晴れているから全然大丈夫だろうと思っていた。
俺はどうしても雨に濡れるのは嫌いで、走って帰るのはバカな思考だとわかっている。
まぁ、そういう抜けている所が、俺の悪い所だと反省しつつも、
とにかく、走ろう。
ぬかるんでいる地面が嫌に俺の足を取ってくるが、それも気にせず走った。
ふと頭の中に少女の姿が思い浮かんで、少しドキッとしながらも、全力で。
体感ではボルトくらいの速度が出ていたと思う。
身体能力が朝に比べて、というより、以前と比べて非常に早くなってきてる?
気のせいかと思いつつ、体力の余裕を感じたのでより速度を上げる。
公園を抜けてビル街に入るも、建物が見えてから視界から消えるまでが早すぎる。
やっぱり、早くなってるよな......!
なんだこれ、やばすぎだろ。
少し雨がぽつりぽつりと降って来た所で家に到着した。
「あっぶねぇ......間に合った......」
疲れたぁ!もう動けない!ってなりたいのに、体は、何故か元気のままだ。
一瞬来た達成感もすぐに消えて、妙に冷静になってしまう。
家の鍵を探すために、バックに手を突っ込み、キャラクターのストラップの付いた鍵を取り出す。
軋むドアを開けて部屋の中に入る。
バタンと勢いよく閉じたドアの音が狭い廊下に響く。
靴をがさつに脱ぎ捨て、ずかずかと廊下を歩いて部屋に入るためのドアの前に立つ。
このドアは、ドアノブが不調なため、あまり激しく開けると壊れてしまう恐れがあるため慎重に、
ゆっくりとドアを開ける。
カーテンの隙間から漏れた陽の光が目を刺す、息を吸って、部屋に入る。なんだいつも通りの部屋だ。
あまりにも今日が長く感じた。そして、何よりも現実離れしすぎたのだ。
いっそのこと、ここが異世界みたいになっていて、部屋が少し変わってたりとかそのくらいしてくれなきゃと、
そういった淡い期待は打ち消され、
これが現実だと分かってくる度に感じる自分への気持ち悪さに吐き気がしてくる。
これまでの日常はもうないのかもしれない。
俺は一体、これからどうすればいいのだろうか。
まただ、また頭の中を文章が埋め尽くす。
はぁ、非常に気持ちが悪い。
とりあえず、汚い床に多少イラつきつつも、自分のデスクに座る。
......???
なんだこれ。
床の下を見ると、アームが一本落ちている。
俺はここにアームを置いたつもりもないし、アーム自体、あまり買わない質の人間だ。
何故あるのだろう。しかも、かなり品質は高い。
とりあえず、取り出す事にしてみたのだが、見た目に反して軽い。俺と同じ刻印がある......?
「一体なんなんだ?このアームは......」
喜んでいいのか、返って虚しいような、今日一日の出来事がまるで夢かのような展開を体感したせいで、
とても複雑な感情のまま、帰路についた。
大きなため息をついて公園の大通りを歩く。
少し雨が降っていたようで、土が少しぬかるんでいる。
空を見上げると雲はまだ薄く黒く浮いており、俺の帰る方向に向かってより黒さを増しているように思える。
今日は、家で特に何もしてなかったから、まぁ、大丈夫だろうと。
そう思った瞬間に大事な事を忘れていた。
今日届く予定のamezooonからの荷物の設定を、置き配にしていたのだ。
もしかしたら、もう既に来ているのか?いや、来ていないかもしれない。
「あー、どちらにせよ......雨も降りそうだし......やっぱり走っていかなきゃ......!!」
置き配は、まぁ目を瞑ったとしても、ここから空が俺の住む所に向かって黒くなってきているって現状。
つまり、雨が降っているのかもしれない。
朝は晴れているから全然大丈夫だろうと思っていた。
俺はどうしても雨に濡れるのは嫌いで、走って帰るのはバカな思考だとわかっている。
まぁ、そういう抜けている所が、俺の悪い所だと反省しつつも、
とにかく、走ろう。
ぬかるんでいる地面が嫌に俺の足を取ってくるが、それも気にせず走った。
ふと頭の中に少女の姿が思い浮かんで、少しドキッとしながらも、全力で。
体感ではボルトくらいの速度が出ていたと思う。
身体能力が朝に比べて、というより、以前と比べて非常に早くなってきてる?
気のせいかと思いつつ、体力の余裕を感じたのでより速度を上げる。
公園を抜けてビル街に入るも、建物が見えてから視界から消えるまでが早すぎる。
やっぱり、早くなってるよな......!
なんだこれ、やばすぎだろ。
少し雨がぽつりぽつりと降って来た所で家に到着した。
「あっぶねぇ......間に合った......」
疲れたぁ!もう動けない!ってなりたいのに、体は、何故か元気のままだ。
一瞬来た達成感もすぐに消えて、妙に冷静になってしまう。
家の鍵を探すために、バックに手を突っ込み、キャラクターのストラップの付いた鍵を取り出す。
軋むドアを開けて部屋の中に入る。
バタンと勢いよく閉じたドアの音が狭い廊下に響く。
靴をがさつに脱ぎ捨て、ずかずかと廊下を歩いて部屋に入るためのドアの前に立つ。
このドアは、ドアノブが不調なため、あまり激しく開けると壊れてしまう恐れがあるため慎重に、
ゆっくりとドアを開ける。
カーテンの隙間から漏れた陽の光が目を刺す、息を吸って、部屋に入る。なんだいつも通りの部屋だ。
あまりにも今日が長く感じた。そして、何よりも現実離れしすぎたのだ。
いっそのこと、ここが異世界みたいになっていて、部屋が少し変わってたりとかそのくらいしてくれなきゃと、
そういった淡い期待は打ち消され、
これが現実だと分かってくる度に感じる自分への気持ち悪さに吐き気がしてくる。
これまでの日常はもうないのかもしれない。
俺は一体、これからどうすればいいのだろうか。
まただ、また頭の中を文章が埋め尽くす。
はぁ、非常に気持ちが悪い。
とりあえず、汚い床に多少イラつきつつも、自分のデスクに座る。
......???
なんだこれ。
床の下を見ると、アームが一本落ちている。
俺はここにアームを置いたつもりもないし、アーム自体、あまり買わない質の人間だ。
何故あるのだろう。しかも、かなり品質は高い。
とりあえず、取り出す事にしてみたのだが、見た目に反して軽い。俺と同じ刻印がある......?
「一体なんなんだ?このアームは......」
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皆様ありがとうございます😘
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