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プロローグ
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私–––––––艶乃月 氷華は私立新邸高等学園の生徒だ。
至極普通の女子高校生である。
僕–––––––心野 陽介は私立新邸高等学園の生徒である。いたって平凡なただの男子高校生。
–––––––私は特にこれといって好きな事、やりたい事、興味が惹かれるものが無い。
–––––––僕には好きな人がいる。多分男子みんな惹かれているであろう彼女だ。
–––––––いつも通りの日常。平凡な日々。退屈な授業。
–––––––いつも綺麗な彼女。みんなの憧れで、成績優秀、運動神経抜群のクールな彼女。
–––––––楽しく無い。刺激が欲しい。
–––––––同じクラスの彼女を見ていて飽きる事は無い。
1つ1つの仕草が愛おしい、自分の物にしたいと欲望を掻き乱す。
叶いもしないそんな幻想を見ても意味が無い。
彼女–––––––––艶乃月 氷華さんには。
+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+
「本当に、艶乃月さんって綺麗だよなぁ」
「それな、キラキラして見えるぜ」
「どうやったらあんなに綺麗な髪になるんだろう?」
「ねぇ~」
「何か秘密があるのかな?」
「ちょっと聞いてきてよ」
「え~?私?」
学校で聞こえる話は全て彼女の話題だけだ。
この学校––––いや、この町全ての人を魅了する艶乃月さんの話で持ち切り。
ガララララァ!
「艶乃月はいるか?」
来た。今日も違う人だ。懲りないなぁ……。
艶乃月さんはスッと立ち上がり、彼の元へ向かった。
「何か用ですか?」
女神がいるのかと錯覚するほどに綺麗な声。
クールな彼女に似合う、落ち着いて、大人びている声。
「お、俺と……付き合ってくれ!!」
……………ただ、そんな彼女からは想像できないような、蔑むような声色で言う––––––––
「………はぁぁ」
それは大きな溜息から始まり–––––––––
「生憎私は貴方のような脳筋ゴリラと付き合う気は無いわ。性格と見た目を遺伝子レベルで組み替えたから出直して来て。それでもOKする気は無いけど…ね」
不敵な笑みでサラリと罵詈雑言を言う彼女は凄いと思う。脳筋ゴリラと言われた男子は半泣きの状態で帰って行った。
艶乃月さんは静かに席に戻り、読書を始めた。
そう……今のが、彼女が "氷帝" と呼ばれる一番の理由だ。あまりにも残酷な返事をしてしまう彼女なのだ。
大半の男子が告白を諦め、影から彼女の魅力を語るようになってしまった。
その中の数少ない告白をする男子はやはり呆気なく瞬間玉砕するので、日に日に減っていく––––事はなく、毎日一人は必ず告白しにくる。
そろそろ勘弁して欲しいのだけど…………。
+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+
「今日も3人……そろそろ勘弁して欲しいのだけれど………」
疲れていたのはクラスのみんなだけではなく、彼女も同様だった。
それはそうだろう。彼女が告白をされる側なのだから。
––––––帰りましょうか。と鞄を持ち、教室を出ようとするが……
「………え?体が…」
すると足元が光り、昔本で見たような魔方陣があった。
これは危険だと、彼女の本能が警告していた。
だが、逃げる事は叶わず、少しずつ光は増していき…
「あぶなぁぁい!」
不意に聞こえてきた、救いの声に驚く。
だが、この人が誰か知らない。
同じクラスなのに…………だ。
彼は私を押し、代わりに自分が魔方陣に乗った。
だがこう思った。それに乗る必要あった?と。
彼が魔方陣に乗った理由は彼が小説のライトノベルが好きだったからだ。
所謂興味本位。
彼は一瞬のうちに消えた。
そして氷華の足元に新たな魔方陣が表れた。
意味無かった…………。
氷華もまた、どこかに飛ばされたのだった。
至極普通の女子高校生である。
僕–––––––心野 陽介は私立新邸高等学園の生徒である。いたって平凡なただの男子高校生。
–––––––私は特にこれといって好きな事、やりたい事、興味が惹かれるものが無い。
–––––––僕には好きな人がいる。多分男子みんな惹かれているであろう彼女だ。
–––––––いつも通りの日常。平凡な日々。退屈な授業。
–––––––いつも綺麗な彼女。みんなの憧れで、成績優秀、運動神経抜群のクールな彼女。
–––––––楽しく無い。刺激が欲しい。
–––––––同じクラスの彼女を見ていて飽きる事は無い。
1つ1つの仕草が愛おしい、自分の物にしたいと欲望を掻き乱す。
叶いもしないそんな幻想を見ても意味が無い。
彼女–––––––––艶乃月 氷華さんには。
+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+
「本当に、艶乃月さんって綺麗だよなぁ」
「それな、キラキラして見えるぜ」
「どうやったらあんなに綺麗な髪になるんだろう?」
「ねぇ~」
「何か秘密があるのかな?」
「ちょっと聞いてきてよ」
「え~?私?」
学校で聞こえる話は全て彼女の話題だけだ。
この学校––––いや、この町全ての人を魅了する艶乃月さんの話で持ち切り。
ガララララァ!
「艶乃月はいるか?」
来た。今日も違う人だ。懲りないなぁ……。
艶乃月さんはスッと立ち上がり、彼の元へ向かった。
「何か用ですか?」
女神がいるのかと錯覚するほどに綺麗な声。
クールな彼女に似合う、落ち着いて、大人びている声。
「お、俺と……付き合ってくれ!!」
……………ただ、そんな彼女からは想像できないような、蔑むような声色で言う––––––––
「………はぁぁ」
それは大きな溜息から始まり–––––––––
「生憎私は貴方のような脳筋ゴリラと付き合う気は無いわ。性格と見た目を遺伝子レベルで組み替えたから出直して来て。それでもOKする気は無いけど…ね」
不敵な笑みでサラリと罵詈雑言を言う彼女は凄いと思う。脳筋ゴリラと言われた男子は半泣きの状態で帰って行った。
艶乃月さんは静かに席に戻り、読書を始めた。
そう……今のが、彼女が "氷帝" と呼ばれる一番の理由だ。あまりにも残酷な返事をしてしまう彼女なのだ。
大半の男子が告白を諦め、影から彼女の魅力を語るようになってしまった。
その中の数少ない告白をする男子はやはり呆気なく瞬間玉砕するので、日に日に減っていく––––事はなく、毎日一人は必ず告白しにくる。
そろそろ勘弁して欲しいのだけど…………。
+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+×+
「今日も3人……そろそろ勘弁して欲しいのだけれど………」
疲れていたのはクラスのみんなだけではなく、彼女も同様だった。
それはそうだろう。彼女が告白をされる側なのだから。
––––––帰りましょうか。と鞄を持ち、教室を出ようとするが……
「………え?体が…」
すると足元が光り、昔本で見たような魔方陣があった。
これは危険だと、彼女の本能が警告していた。
だが、逃げる事は叶わず、少しずつ光は増していき…
「あぶなぁぁい!」
不意に聞こえてきた、救いの声に驚く。
だが、この人が誰か知らない。
同じクラスなのに…………だ。
彼は私を押し、代わりに自分が魔方陣に乗った。
だがこう思った。それに乗る必要あった?と。
彼が魔方陣に乗った理由は彼が小説のライトノベルが好きだったからだ。
所謂興味本位。
彼は一瞬のうちに消えた。
そして氷華の足元に新たな魔方陣が表れた。
意味無かった…………。
氷華もまた、どこかに飛ばされたのだった。
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