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第3章 地下3階層
94話 試合前日
しおりを挟む「というわけで、フロアボスのオーガチャンプを倒したらブーメランパンツがドロップされたんだよ」
「正に鬼のパンツというわけか。ユグドラタワーも中々に洒落がきいているな」
「きかせてどうすんだよ。筋トレじゃあるまいし」
郷原くんとのユグドラバトルが行なわれる試合日の前日。
俺は友人の駆け出し漫画家である麦畑ミツルと一緒にユグドラコロシアムの下見に来ていた。
まあ下見というか、麦畑の漫画のネタ集めに付き合わされたというか、そんな感じだ。
「ふむ、オーガチャンプのビルダー気質と筋肉に効かせるをかけたのか……和取、中々やるじゃないか」
「全然そこまで考えて無かったわ」
「和取は筋肉に効かせて筋トレしても成果に結びつかないからな」
「ほっとけ」
俺もライザーとしての実力を高める為に筋トレを頑張ってた時期があったんだけど、ネットでトレーニングの動画を見てプロテインとかBCAAとか摂って色々やってみても全然筋肉が付かなかったんだよな……まあ、こういうのは生まれつきの遺伝や体質、骨格も影響するから難しい所だ。
逆に食べても食べても太らないから一部の人にとっては羨ましい体質なのかもしれない。
「ふむふむ、コロシアムの外観はこんな感じになっているのだな……バトルエリアの内観はライザーしか入れないから和取に明日確かめてもらうとして、あとは観客席……ここも明日確かめるか」
「明日って、もしかして俺の試合観に来るのか?」
「そりゃそうだろう。友人の晴れ舞台だからな」
「ボロボロの負け舞台になるかもしれないけどな」
「それもまた侘び寂びだな」
なにも侘び寂びじゃないけどな。
「主人公とライバルがヒロインを取り合ってユグドラバトル……いや、それだとありきたりすぎてインパクトが薄いか。寝取られた元彼女の浮気相手をユグドラバトルでボコし、主人公に惚れ直した元彼女がすり寄ってきた所で新しい彼女を紹介して脳を破壊。うむ、これでいこう」
「ポップアップ広告で出てきそうな漫画のストーリーだな」
別にそういうストーリー展開の漫画がダメというわけではないけど、俺と郷原くんの試合をモデルにするわけだしな……
「最近はどうなのだ? メインヒロインのパモチちゃんとは仲良くしているのか?」
「相変わらず大穴みたいな子をヒロインに据えようとしてんのな」
前回、俺のライザー話を聞いてユグドラタワーを舞台にしたハーレムラブコメ漫画を模索していた麦畑。
後輩ライザーのコハルさんとかバイト仲間のアオイの話もしたのに、麦畑は何故かパモチやフェーンをメインヒロインに置こうとするので、さすがにそれはニッチ過ぎるだろということで止めたのだ。
まあ、止めた効果は出てないようだけど。
「そういえば今は地下、地上共に新たな階層を攻略しているだろう? 新しく知り合ったヒロイン候補はいないのかヒロイン候補は」
「ヒロイン候補ねえ……」
最近知り合った子といえば、コハルさんのライザー友達のエルさんとか、ギフテッドライザーのマリーとか……いや、流石に現役中学生はなあ。
「あとは……ダッチーも一応、女子っていえば女子か……?」
「ダッチー? その名前の感じはタワー内のモンスターだな!? 詳しく聞こうじゃないか!」
「いやあれは女子っつーかウサギの着ぐるみっつーか」
「なるほどなるほど! それはもうパモチちゃんとのダブルヒロインだな!」
「なんでだよ」
俺は麦畑のどこかズレたキャラ設定を聞き流しながら、明日の試合会場を眺めて一人静かに気合いを入れた。
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