【第二部完結】恋するホストと溺れる人魚と、多分、愛の話

凍星

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第2章 溺れる人魚は揺れ惑う

◆2 ユキSide:僕という人間の心

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――コレは。 
この感情は何なのだろう? 

僕は、今のこの状況が見ていられなくて。
何だか、とても苦しい気持ちになっている……



こんな風に、誰かひとりをもの凄く気にするなんて、実に僕らしくなかった。
それが僕に起きている「変化」だ。

正直、僕は誰かに特別な感情を……愛情とか性的な魅力を感じる力が薄いらしく。
「好き」という気持ちそのもの。そういう自分の感情を表現することが、とても苦手なのだ。
気になって少し調べたところ、もしかしたら失感情症……アレキシサイミアとか、嗜好としては、LGBTQ+のアセクシャル、という性質になるのかもしれない、と思う。

他人に対して好意とか、優しさとか、ふわっとしたそういう気持ちは感じるけど、男にも女にも、性的に興奮することは無くて。
誰かを特別に、ずっと一緒にいたいとか、そういう風に好きになったことはなかった。

だから、いままで一度も「恋」というものをしたこともない。

感情の回路が、どこか静かすぎて。
熱量を生み出せない。
それが僕だった。



――最近の高城さんは、連夜先輩の遠慮を良いことに好き放題だ。 

先輩に優しく微笑んで、自由を奪って、困らせて、楽しんでいる。 
その魔王様の奔放ぶりが、僕の神経を逆撫でして……どうしても苛々する。 
そんな日々が、続いていて。 
それに加えて、素直にやり込められているあの人を見ていると、もどかしくて情け無くて。 
僕はどういう訳か、「怒っている」―― らしい。 


……こんなもの、なんですか? 
貴方なら、魔王様が相手だろうとなんだろうと、撃ち破れる力があるって、僕は信じてるのに。 
早くラスボスを倒さないと、大事な人に逃げられても知りませんよ……? 


心のうちで、そう呟く僕の声は、次第に熱を帯びていて。

……驚いてしまった。 

どうしてこんなに、感情的に……熱くなっているんだろう? 
他人の行動が、ここまで気になったことは正直ない。
他人を想って熱くなれないのが僕だった筈だから、とても不思議な気持ちだ。 

先輩にはお世話になっているし、感謝している。だから、早く幸せになって欲しくて……だろうか? 
多分この店で、僕が一番――先輩が早くここを辞められることを願っている。
それだけは確かだと思う。


――そうして、何やらずっと2人で話し込んでいるけど……

ふと見れば。
先輩は天井を見上げながら悟りを開いたようなアルカイックスマイルを浮かべていた。
かと思えば、今は何だかソファーの背に押し付けられる格好に……?

「!?」


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