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第2章 溺れる人魚は揺れ惑う
◆4 ユキSide:困った人だから
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先輩は、高城さんのこういうスキンシップに麻痺している……というか「麻痺させられている」所があって、肩を組まれたり腰を抱かれたりしても、普通にスルーしていることが多い。
(何で気が付かないんですか??この人絶対、先輩を自分のものにしたいと思ってますよ……!?)
もう後戻りはできない――そう思って僕は覚悟を決めた。
気持ちが表情に出にくい僕は、多分もの凄く冷静に見えてるのかもしれないと思う。だけど心臓はいつになく、ばくばくと大きな音を身体全体に響かせている。
先に反応したのは高城さんの方だった。
「……それはどういう意味だ?」
回りくどいことが嫌いなこの人は、僕の乱暴な問いかけを咎めもせず、「そのケンカ買ってもいいぞ」という余裕の態度を見せた。
「俺に何か言いたいことがありそうだな――ユキ」
「はい、あります。聞いていただけますか?」
「ユ、ユユ、ユキ?お前、何を――」
「高城さんのヘルプの件ですが」
僕がケンカを売る気満々なのを察知して、心配そうに青褪める蓮夜先輩。
目を合わせてしまったら何も言えなくなりそうだったので……とりあえず無視することにした。「ごめんなさい」と心の中で謝り、高城さんだけに向かって話しかける。
「馬鹿!ユキお前、何言おうとして――」
「連夜、お前は黙ってろ。好きに喋らせてやれ」
「うっ…」
(――そう言ってくれると思ってました)
こういう点では高城さんは期待を裏切らない。ある意味、とても寛大だと思う。
僕の無謀さを面白がっているんだろうけど、こんな下っ端の無礼な発言を聞いても無視したり、怒ったりしない大先輩に感謝して、僕は深く一礼した。
「……普段、高城さんには、葵さんが専属でヘルプについていますよね?」
その質問は、そのまま宣戦布告へと繋がることになって――――……
***
「ユキ……お前、なんであんな無茶なことした?こっちはもう、気が気じゃなくて……寿命が!もう、どんだけ縮まったかっ」
店の外で二人きりになった途端。
はああぁ~…と、先輩は大きく息を吐き出した。……ようやく、深呼吸できた。そんな雰囲気だ。
僕は思わず「セクハラに気付いてください!」と声を大にして言いたくなったが、そこは我慢した。高城さんのことを悪く言って、先輩の気分を害するようなことは避けたかった。
「……先輩は、魔王様が苦手でしょう?だから――僕が、軍師として付いていてあげなきゃダメだと思ったんです」
「お前は!あの人に睨まれたらどういうことになるか、知らないからそうやって簡単に言うけどな……!」
――怒ってる……それはそうだよね。
何の相談もなく、勝手で無茶苦茶な提案をして。
だけど、どうしても見ていられなかったから。
あの人に無防備すぎる貴方と、いつまでも迷っているような中途半端な姿を……
浮かされていた謎の熱い感情が、ひゅんと萎むと、急激に。冷静ないつもの自分が戻ってきた。そうなると、さっきまでの強気は、キレイさっぱり何処かへ消えてしまう。
先輩のためにと思っての行動だったけど……余計なことをするなと言われてしまうかもしれない。僕の助力なんて必要ないのかも――とそう思ったら、すごく悲しくなった。
「迷惑でしたか……?」
「――っ」
先輩はうっと、一瞬、言葉を詰まらせたけれど、絞り出すように自分の思いを語ってくれた。
「――迷惑かって……?そんな訳、あるかよ――嬉しかったよ。もう、泣きそうなくらいにさ……とりあえず、高城さんの前じゃ怒ったふりしとかないと、と思ったけど」
「せんぱ……」
気が付けば先輩が――僕を、強く抱き締めていた。
(何で気が付かないんですか??この人絶対、先輩を自分のものにしたいと思ってますよ……!?)
もう後戻りはできない――そう思って僕は覚悟を決めた。
気持ちが表情に出にくい僕は、多分もの凄く冷静に見えてるのかもしれないと思う。だけど心臓はいつになく、ばくばくと大きな音を身体全体に響かせている。
先に反応したのは高城さんの方だった。
「……それはどういう意味だ?」
回りくどいことが嫌いなこの人は、僕の乱暴な問いかけを咎めもせず、「そのケンカ買ってもいいぞ」という余裕の態度を見せた。
「俺に何か言いたいことがありそうだな――ユキ」
「はい、あります。聞いていただけますか?」
「ユ、ユユ、ユキ?お前、何を――」
「高城さんのヘルプの件ですが」
僕がケンカを売る気満々なのを察知して、心配そうに青褪める蓮夜先輩。
目を合わせてしまったら何も言えなくなりそうだったので……とりあえず無視することにした。「ごめんなさい」と心の中で謝り、高城さんだけに向かって話しかける。
「馬鹿!ユキお前、何言おうとして――」
「連夜、お前は黙ってろ。好きに喋らせてやれ」
「うっ…」
(――そう言ってくれると思ってました)
こういう点では高城さんは期待を裏切らない。ある意味、とても寛大だと思う。
僕の無謀さを面白がっているんだろうけど、こんな下っ端の無礼な発言を聞いても無視したり、怒ったりしない大先輩に感謝して、僕は深く一礼した。
「……普段、高城さんには、葵さんが専属でヘルプについていますよね?」
その質問は、そのまま宣戦布告へと繋がることになって――――……
***
「ユキ……お前、なんであんな無茶なことした?こっちはもう、気が気じゃなくて……寿命が!もう、どんだけ縮まったかっ」
店の外で二人きりになった途端。
はああぁ~…と、先輩は大きく息を吐き出した。……ようやく、深呼吸できた。そんな雰囲気だ。
僕は思わず「セクハラに気付いてください!」と声を大にして言いたくなったが、そこは我慢した。高城さんのことを悪く言って、先輩の気分を害するようなことは避けたかった。
「……先輩は、魔王様が苦手でしょう?だから――僕が、軍師として付いていてあげなきゃダメだと思ったんです」
「お前は!あの人に睨まれたらどういうことになるか、知らないからそうやって簡単に言うけどな……!」
――怒ってる……それはそうだよね。
何の相談もなく、勝手で無茶苦茶な提案をして。
だけど、どうしても見ていられなかったから。
あの人に無防備すぎる貴方と、いつまでも迷っているような中途半端な姿を……
浮かされていた謎の熱い感情が、ひゅんと萎むと、急激に。冷静ないつもの自分が戻ってきた。そうなると、さっきまでの強気は、キレイさっぱり何処かへ消えてしまう。
先輩のためにと思っての行動だったけど……余計なことをするなと言われてしまうかもしれない。僕の助力なんて必要ないのかも――とそう思ったら、すごく悲しくなった。
「迷惑でしたか……?」
「――っ」
先輩はうっと、一瞬、言葉を詰まらせたけれど、絞り出すように自分の思いを語ってくれた。
「――迷惑かって……?そんな訳、あるかよ――嬉しかったよ。もう、泣きそうなくらいにさ……とりあえず、高城さんの前じゃ怒ったふりしとかないと、と思ったけど」
「せんぱ……」
気が付けば先輩が――僕を、強く抱き締めていた。
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