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~【第2部】王太子殿下の最愛押しが強すぎる?!~
第1話 「正真正銘の聖女様登場」
災いは唐突に降ってきて、
「本日を持ちまして、私は婚約を破棄させていただきます」
丁寧にお辞儀をして、私は城の門をくぐった。
◆◆◆
元ライアール国の混乱もようやく収まり、ランデリックはアシュレイ王太子の配下となり、元王様と元王妃は、ひっそりと元ライアール城の近くで暮らすことになった。
そして、私はアシュレイ王太子の求婚を受け、正式な婚約者となり、結婚に向けて準備を進めていた。
アラステア国の領土が約二倍になり、アシュレイはランデリックを引き連れて、元ライアールであった土地を巡っており、戻ったら式をあげる約束を交わしている。
会えないのは寂しいけど、これは仕事でもあるのだから仕方がない。
それに、ローレンも連れて行ってくれたので、ヴォルフガングと喧嘩にならないのは助かっていた。初対面から意見の食い違いで、今では犬猿の仲なのよ。
【体を壊していないだろうか? 君の声が聞こえず、触れられないことはとても心が痛い。城に戻ったら、一番に抱きしめさせて欲しい】
そんな手紙が時より届き、私は一人で真っ赤に沸騰していた。
「一緒に連れて行けば良かったではないか」
人間のお菓子がよほど気に入ったのか、ヴォルフガングはお菓子を頬張りながら、そう口にする。
「仕事の邪魔は出来ないわ」
「邪魔になどなるはずなかろう」
最強魔力持ちなのだから、役には立っても邪魔にはならないと、ヴォルフガングはなぜか拗ねる。とはいえ、私に政治的な知識なんかあるはずもないのだから、ついていったところで何もできないのは分かっている。だから城で大人しく待っているしかない。魔物が攻めてきたとか、雨が降らないとか、そういったことでは助けてあげられるけど。
「俺様が会わせてやろうか?」
ドラゴンの翼なら、あっという間に会いに行けると口にするけど、
「絶対にダメ!」
と、注意する。
「アシュに会いたくないのか?」
「ドラゴンは人間にとって恐ろしい魔物なのよ、みんなを脅かさないで」
「危害など加えぬ」
「それは分かってるけど、攻撃を仕掛けてこない人間がいないとは言い切れないわ」
魔物最強と謳われるドラゴンは、未だ架空の生物だと信じている人も多い。ヴォルフガングに攻撃を仕掛けてこない保証などどこにもないし、国民から討伐の願いが出てくるかもしれない。
そうなれば、一緒に暮らすことが出来なくなるし、父親を敵とみなされるなんて嫌でしょう。
私はなるべく静かに暮らしたいと、ヴォルフガングに話した。
「人間とは、面倒くさい生き物だ」
パクパクとお菓子を食べながら、ヴォルフガングは「しかし、菓子は美味い」と、皿を独り占めした。
それを横目に、私はアシュレイへの返事の手紙を書いていたのだけど、突然ヴォルフガングが皿を置いて、怪訝な表情を浮かべた。
「ようやくお出ましか……」
城の外を睨むように視線を向けたヴォルフガングは、面倒ごとがやってきたと口にする。
「どうしたの?」
「今更現れたか」
「現れたって? 誰が?」
何のことだかさっぱり分からなくて、ヴォルフガングに聞くけど、遠くを睨んだまま動かない。一体誰が来たのだろうか?
私も釣られるように同じ方向を見ていたら、ひとりの兵士が足早にやってきて、
『アリア様、王様が謁見の間にお越しになるようにとのことです』
と言われる。
ヴォルフガングの返事を聞く前に、私は急いで謁見の間に足を運んだ。
「お呼びでしょうか?」
重厚な扉を開けば、可愛らしい女性とその両親らしき人が王様と面会をしていた。たぶん初対面だから、私はその場で軽く頭を下げる。
「お初にお目にかかります。わたくしは、セリーナ=カーディンと申します」
淡いブルーの髪を靡かせて、セリーナと名乗った女性が私に挨拶をする。澄んだ綺麗な声で、所作も美しい。どこかの令嬢だろうかと、私は失礼のないように静かに歩み寄る。
「アリア=リスティーと申します」
「此度の活躍は耳にしております」
「活躍?」
「アリア様がライアール国をお救いになったお話です」
(内緒にしてって言ったのに!)
ドラゴンの背に乗って、ド派手な魔法ぶっぱなしといて、いう台詞じゃないけど、出来れば内密にしておいてほしかったのよ。
化け物扱いよりはマシだけど、英雄扱いもされたくないし、できればひっそりこっそり生きていきたい派です。
『まあね』なんて、軽く口にできるはずもなく、私はひとまず苦笑。
「国を救ったのはアシュレイ王太子殿下ですので」
私は大したことはしていませんと、目を泳がせてみる。そうすればセリーナが、少しだけ頬を染めた。
「アシュレイ王太子殿下は、本当に素敵な方なのですね」
「……ええ、そうね」
「隣国の皆様をお救いになるなんて」
頬に手を添えて、セリーナはアシュレイに夢見るように赤くなる。
(人のこと掴みたがる、変人とはとても言えないけど)
これはアシュレイに惚れていると確実に分かる反応。けど、セリーナとは一体何者なの? と、疑問が浮かぶ。
が、それはすぐに分かった。
「アリア=リスティー、セリーナはアラステア国の聖女だそうだ」
王様から告げられた言葉に、私は一瞬視界が揺らいだ。
本物の聖女様。確かに私は真の聖女ではなく、アラステア国で聖女が見つからないから、アシュレイが私に目をつけた。ヴォルフガングの話を信じるなら、一応ライアール国の聖女だったわけだし、当然アラステア国にも聖女様がいて当然なのよね。
つまり、その聖女様がセリーナ=カーディンということ。
「本日を持ちまして、私は婚約を破棄させていただきます」
丁寧にお辞儀をして、私は城の門をくぐった。
◆◆◆
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そして、私はアシュレイ王太子の求婚を受け、正式な婚約者となり、結婚に向けて準備を進めていた。
アラステア国の領土が約二倍になり、アシュレイはランデリックを引き連れて、元ライアールであった土地を巡っており、戻ったら式をあげる約束を交わしている。
会えないのは寂しいけど、これは仕事でもあるのだから仕方がない。
それに、ローレンも連れて行ってくれたので、ヴォルフガングと喧嘩にならないのは助かっていた。初対面から意見の食い違いで、今では犬猿の仲なのよ。
【体を壊していないだろうか? 君の声が聞こえず、触れられないことはとても心が痛い。城に戻ったら、一番に抱きしめさせて欲しい】
そんな手紙が時より届き、私は一人で真っ赤に沸騰していた。
「一緒に連れて行けば良かったではないか」
人間のお菓子がよほど気に入ったのか、ヴォルフガングはお菓子を頬張りながら、そう口にする。
「仕事の邪魔は出来ないわ」
「邪魔になどなるはずなかろう」
最強魔力持ちなのだから、役には立っても邪魔にはならないと、ヴォルフガングはなぜか拗ねる。とはいえ、私に政治的な知識なんかあるはずもないのだから、ついていったところで何もできないのは分かっている。だから城で大人しく待っているしかない。魔物が攻めてきたとか、雨が降らないとか、そういったことでは助けてあげられるけど。
「俺様が会わせてやろうか?」
ドラゴンの翼なら、あっという間に会いに行けると口にするけど、
「絶対にダメ!」
と、注意する。
「アシュに会いたくないのか?」
「ドラゴンは人間にとって恐ろしい魔物なのよ、みんなを脅かさないで」
「危害など加えぬ」
「それは分かってるけど、攻撃を仕掛けてこない人間がいないとは言い切れないわ」
魔物最強と謳われるドラゴンは、未だ架空の生物だと信じている人も多い。ヴォルフガングに攻撃を仕掛けてこない保証などどこにもないし、国民から討伐の願いが出てくるかもしれない。
そうなれば、一緒に暮らすことが出来なくなるし、父親を敵とみなされるなんて嫌でしょう。
私はなるべく静かに暮らしたいと、ヴォルフガングに話した。
「人間とは、面倒くさい生き物だ」
パクパクとお菓子を食べながら、ヴォルフガングは「しかし、菓子は美味い」と、皿を独り占めした。
それを横目に、私はアシュレイへの返事の手紙を書いていたのだけど、突然ヴォルフガングが皿を置いて、怪訝な表情を浮かべた。
「ようやくお出ましか……」
城の外を睨むように視線を向けたヴォルフガングは、面倒ごとがやってきたと口にする。
「どうしたの?」
「今更現れたか」
「現れたって? 誰が?」
何のことだかさっぱり分からなくて、ヴォルフガングに聞くけど、遠くを睨んだまま動かない。一体誰が来たのだろうか?
私も釣られるように同じ方向を見ていたら、ひとりの兵士が足早にやってきて、
『アリア様、王様が謁見の間にお越しになるようにとのことです』
と言われる。
ヴォルフガングの返事を聞く前に、私は急いで謁見の間に足を運んだ。
「お呼びでしょうか?」
重厚な扉を開けば、可愛らしい女性とその両親らしき人が王様と面会をしていた。たぶん初対面だから、私はその場で軽く頭を下げる。
「お初にお目にかかります。わたくしは、セリーナ=カーディンと申します」
淡いブルーの髪を靡かせて、セリーナと名乗った女性が私に挨拶をする。澄んだ綺麗な声で、所作も美しい。どこかの令嬢だろうかと、私は失礼のないように静かに歩み寄る。
「アリア=リスティーと申します」
「此度の活躍は耳にしております」
「活躍?」
「アリア様がライアール国をお救いになったお話です」
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ドラゴンの背に乗って、ド派手な魔法ぶっぱなしといて、いう台詞じゃないけど、出来れば内密にしておいてほしかったのよ。
化け物扱いよりはマシだけど、英雄扱いもされたくないし、できればひっそりこっそり生きていきたい派です。
『まあね』なんて、軽く口にできるはずもなく、私はひとまず苦笑。
「国を救ったのはアシュレイ王太子殿下ですので」
私は大したことはしていませんと、目を泳がせてみる。そうすればセリーナが、少しだけ頬を染めた。
「アシュレイ王太子殿下は、本当に素敵な方なのですね」
「……ええ、そうね」
「隣国の皆様をお救いになるなんて」
頬に手を添えて、セリーナはアシュレイに夢見るように赤くなる。
(人のこと掴みたがる、変人とはとても言えないけど)
これはアシュレイに惚れていると確実に分かる反応。けど、セリーナとは一体何者なの? と、疑問が浮かぶ。
が、それはすぐに分かった。
「アリア=リスティー、セリーナはアラステア国の聖女だそうだ」
王様から告げられた言葉に、私は一瞬視界が揺らいだ。
本物の聖女様。確かに私は真の聖女ではなく、アラステア国で聖女が見つからないから、アシュレイが私に目をつけた。ヴォルフガングの話を信じるなら、一応ライアール国の聖女だったわけだし、当然アラステア国にも聖女様がいて当然なのよね。
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