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猫、診られる。
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「あん。(なおった?)」
「くぅん。(坊、もう大丈夫よ。で、これはどうしたの。)」
「あん。(おいちゃんにもらったの。)」
オババ、もとい彼女は目の前の黒い毛玉を見て考えた。
見たことのない生き物、尻尾を除けば体長は片手に収まる程度。
少しだけ口を開くと何も噛み殺せそうにない小さい牙がみえる。
手足には微かに爪も見えるが、つまんで押し出してみるも短い。
そのうえどちらも先がとがっていない。
おそらくは何かの赤ん坊だろうが、このあたりで該当する生き物はいない。
まぁ、坊を傷つけることすらできないのは明らか。
「わん。(飼うのかい、坊。)」
「あん、あん。(うん。おおきくなったらきじゅーにすうの。)」
「わん、わん。(坊は大きくなったら、コボルトライダーになるのかい。)」
「あん!(ナイトライダーになう!)」
「くぅ~~ん。(坊がナイトに・・・。)」
彼女は黒くて尻尾の長い騎獣に乗ったナイトが自分を迎えに来ることを夢見ていた。
そして、彼女はおいちゃんと呼ばれていた誰かにGJ(グッジョブ)と心の中で感謝するのだった。
「あん、あん。(これのなーえなににすーかな、うーん。)」
「わんっ?わんわん。(えっ?あっ、名前ね、名前。)」
ふと彼女は思った。
これ、オスメスどっちかしら?
おもむろに尻尾を掴み尻を持ち上げた。
メスね。
そして、そのとき尻尾を持ち上げたからなのか、生き物は目を覚ましたようだ。
「わん。(起きたみたいよ、坊。)」
「あん?(おきた?)」
僕は体がすごく軽くなったような不思議な感覚に襲われた。
理由はよくわからないが、さっきまでの苦しさがうそのように気持ちがいい。
まるで暖かい布団に包まれたような安らぎを感じる。
しかし、その安らぎはすぐに終わった。
また尻尾を掴まれ持ち上げられるあの感覚が襲ってきた。
だが、今回は変なところでその感覚は止まった。
まるで下半身だけ持ち上げられて、これから手押し車でもするのかという感じだ。
そこで意識が覚醒してきた。
そして、今されていることに気が付いた。
股間を見られているという事実に。
僕は恥ずかしさのあまりに逃げようとしたが前足二本ではさすがにバランスをとるのがやっとだ。
どうすることもできず、傍から見ると左右に体を揺らしているようにしか見えない。
そんな僕を見ている視線が二つあることに、今更ながら気づく。
一人はさっきの子供だが、もう一人は何か細身のハスキーのような青い毛並みだった。
だが重要なのは、それが魔法使いのものと思しきローブを身に纏っていることだった。
「に、にぃ~。(えっと、こ、こんにちは。)」
状況がよくわからないので、僕はとりあえず挨拶してみたのだった。
「くぅん。(坊、もう大丈夫よ。で、これはどうしたの。)」
「あん。(おいちゃんにもらったの。)」
オババ、もとい彼女は目の前の黒い毛玉を見て考えた。
見たことのない生き物、尻尾を除けば体長は片手に収まる程度。
少しだけ口を開くと何も噛み殺せそうにない小さい牙がみえる。
手足には微かに爪も見えるが、つまんで押し出してみるも短い。
そのうえどちらも先がとがっていない。
おそらくは何かの赤ん坊だろうが、このあたりで該当する生き物はいない。
まぁ、坊を傷つけることすらできないのは明らか。
「わん。(飼うのかい、坊。)」
「あん、あん。(うん。おおきくなったらきじゅーにすうの。)」
「わん、わん。(坊は大きくなったら、コボルトライダーになるのかい。)」
「あん!(ナイトライダーになう!)」
「くぅ~~ん。(坊がナイトに・・・。)」
彼女は黒くて尻尾の長い騎獣に乗ったナイトが自分を迎えに来ることを夢見ていた。
そして、彼女はおいちゃんと呼ばれていた誰かにGJ(グッジョブ)と心の中で感謝するのだった。
「あん、あん。(これのなーえなににすーかな、うーん。)」
「わんっ?わんわん。(えっ?あっ、名前ね、名前。)」
ふと彼女は思った。
これ、オスメスどっちかしら?
おもむろに尻尾を掴み尻を持ち上げた。
メスね。
そして、そのとき尻尾を持ち上げたからなのか、生き物は目を覚ましたようだ。
「わん。(起きたみたいよ、坊。)」
「あん?(おきた?)」
僕は体がすごく軽くなったような不思議な感覚に襲われた。
理由はよくわからないが、さっきまでの苦しさがうそのように気持ちがいい。
まるで暖かい布団に包まれたような安らぎを感じる。
しかし、その安らぎはすぐに終わった。
また尻尾を掴まれ持ち上げられるあの感覚が襲ってきた。
だが、今回は変なところでその感覚は止まった。
まるで下半身だけ持ち上げられて、これから手押し車でもするのかという感じだ。
そこで意識が覚醒してきた。
そして、今されていることに気が付いた。
股間を見られているという事実に。
僕は恥ずかしさのあまりに逃げようとしたが前足二本ではさすがにバランスをとるのがやっとだ。
どうすることもできず、傍から見ると左右に体を揺らしているようにしか見えない。
そんな僕を見ている視線が二つあることに、今更ながら気づく。
一人はさっきの子供だが、もう一人は何か細身のハスキーのような青い毛並みだった。
だが重要なのは、それが魔法使いのものと思しきローブを身に纏っていることだった。
「に、にぃ~。(えっと、こ、こんにちは。)」
状況がよくわからないので、僕はとりあえず挨拶してみたのだった。
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